ときメモ2バトルロワイヤル風SS・最終話「再会・・・」
花桜梨たちがひびきの市に帰って来てから一ヶ月・・・。依然竹内の行方は不明のままであった。
花桜梨はすっかり塞ぎこんでしまい、美帆や美幸、それに琴子や光が見舞いに行ってもほとんど喋る事もなくなってしまった。
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ひびきの高校屋上にて・・・
純「なあ・・・、八重さん、あれから学校に全然来ないよな・・・。」
涼「ああ・・・、陽ノ下さんたちがたまに見舞いに行っているそうだが、一言も話さないらしいんだ・・・。」
匠「確かに、あんな事があれば無理もないよな・・。」
智「今日、学校が終わったら俺たちもお見舞に行ってみないか?」
純「そうだな・・・。」
そして、放課後・・・。
純「おい、ここだここ!」
智「よし、じゃあ皆揃ったみたいだし、行くか。」
涼「ああ。」
匠「八重さんの家は確か水族館の近くだったよな。」
純「・・・さすがにチェックが早いな。」
匠「当然だろ、女の子の情報に関しては全て調査済みさ。」
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智「ここが八重さんのマンションか・・・。」
純「随分と大きいマンションなんだな。」
涼「とにかく、八重さんの部屋に行ってみようぜ。」
四人は、花桜梨の部屋の前まで来ると、呼び鈴を押してみた。しかし、何度押しても返事は返ってこない。
智「いないのかな・・・。どうする・・?」
匠「八重さーん!坂城だけど!」
匠が中に呼びかけてみるがやはり返事が無い。
途方に暮れてしまった四人の所へ、同じマンションの住民と見られる主婦が近づいてきた。
主婦「君たち、花桜梨ちゃんのお知り合い?」
智「あ、はい。」
主婦「花桜梨ちゃん、最近元気が無いのよ・・・。一ヶ月前に帰って来たと思ったら、何があったのかすっかり引き篭っちゃって・・・。」
純「普段も、部屋から出てこないんですか・・?」
主婦「ええ・・、姿を消してから六日ほどして花桜梨ちゃんが帰って来たものだから、ご両親がとても喜んでいたんだけど・・・、肝心の花桜梨ちゃんがねぇ・・・。」
智「・・・・・。」
主婦「花桜梨ちゃんのお母様からも少しは聞いたんだけど、朝から晩まで食事もほとんど食べずに部屋に閉じこもっちゃっているみたいなのよ・・・。お母様もかなり落ち込んでいたわ・・。今年の四月から明るくなって元気になったから喜んでいたのにある日突然姿を消しちゃって・・・。帰ってきたら今度は前みたいに・・前以上に暗くなっちゃって・・・・。」
涼「・・・・そこまで変わっちゃっているんですか・・・?」
主婦「そうなのよ・・。たまに、同じ学校のお友達らしい娘たちがお見舞に来ているみたいなんだけどねぇ・・・。」
匠「(陽ノ下さんたちの事か・・・。)」
純「普段は家にいるって事は、今も中にいるはずだよな・・・。」
主婦「あ、でも、今日は花桜梨ちゃんは早くから家を出て行ったわよ。」
一同「ええっ!?」
主婦「今朝九時頃だったかしら・・・。花桜梨ちゃんの姿を見たのは本当に久しぶりだったからよく覚えているわ。
何かかなり慌てていたみたいだったけど・・・。」
純「何処に行ったか分かりませんか!?」
主婦「う〜ん・・・、そこまではちょっと分からないわ・・。ごめんなさいね、お役に立てなくて・・。」
涼「・・・どんな服装で出て行ったか覚えていますか?」
主婦「服装?確か制服の上にジャンパーを着ているだけの割と学生らしい地味な格好だったわよ。
でも、学校に行くとしたってカバンも何も持っていなかったから、少し気になっていたのよ・・・。」
涼「そうですか・・・、ありがとうございました。」
主婦「いえいえ。それじゃ、花桜梨ちゃんに会ったらよろしく言っておいてね。」
主婦はそう言い残して四人の所から立ち去った。
純「制服の上からジャンパーか・・・。まるで一年の時の服装だな・・・。」
匠「それに、カバンも持たずに出て行ったって事は学校に行くつもりは無かったみたいだな・・・。」
智「慌てていたと言うのも気になるな・・・。手分けして八重さんが行きそうな所を探してみないか?」
涼「そうだな、八重さんの性格からして中央公園、植物園、後は・・・。」
匠「とにかく、静かな所を重点的に探してみよう。集合は19:00に駅前広場って事で・・・。」
純「よし、そうしよう!」
四人は手分けして花桜梨を探す事にした。
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一方・・・、花桜梨は駅から電車に乗って山に来ていた。季節は秋の終わりで紅葉も終わってしまっている。
その為、人も少なく、山の風景も寂しいものであった。
花桜梨は一人、ハイキングコースから外れたわき道を歩いていた。
花桜梨が山に着いたのは午前11時くらいなのだが、あれからずっと歩き続けている。時間はもう午後4時を過ぎていた。
花桜梨が何故こんな所に来たかと言うと、それには今朝8時45分頃に花桜梨の携帯電話にかかってきた一本の電話だった。
花桜梨は最初、着信音が鳴っても電話には出るつもりは無くベッドの中で目を閉じていたのだが、あまりにもしつこく電話が鳴り続けたので、渋々電話に出てみた。
すると、電話の向こうから懐かしい声が聞こえてきた。
???「花桜梨さん・・・?」
花桜梨「!!!」
???「もしもし・・?花桜梨さん?」
花桜梨「その声は・・・竹内君!・・・竹内君なの!?」
携帯電話から聞こえる声は紛れも無い竹内の声であった。
竹内「良かった・・・。花桜梨さん・・・久しぶりだね・・・。」
花桜梨「今までどうして連絡してくれなかったの!?留守番電話にメッセージとか残してくれれば私・・・!」
竹内「ごめん・・・。俺もあれから色々あってね・・。連絡をしたくても時間が無かったんだ・・・。」
花桜梨「でも本当に良かった・・・!!あなたが生きていてくれて・・・!・・・・今どこにいるの!?」
竹内「・・・・今、俺はひびきの市の近くにまで来ているんだ。」
花桜梨「本当に!?私、今からあなたの所に行くわ!詳しい場所を教えて!」
竹内「・・・分かった。でも、ここに来る際は君一人だけで来て欲しいんだ。俺は半分死んだ事になっているも同然だから・・。」
花桜梨「うん!必ず私一人で行くわ!」
竹内「・・・・・駅から電車に乗って、俺たちが以前よく一緒に行った紅葉の綺麗な山の麓にある駅まで来て欲しい。
駅の待合室のなかにあるベンチの下に待ち合わせ場所を記した地図があるから、その地図の指し示す場所まで来てくれないか。」
花桜梨「駅の待合室ね・・!?分かったわ、私必ず行くから・・・!」
竹内「・・・結構歩くかもしれないけど、安全のために出来るだけ人の目を避けたいんだ。だから、それは分かって欲しい・・。
待ち合わせは午後五時にしよう・・・。待っているよ・・・。」
花桜梨「あ!竹内君・・・!」
電話はそこで切れてしまった。だが、花桜梨に行動を起こさせるにはそれで充分だった。
すぐに着替えを済ませると、花桜梨は飛び出すようにマンションを後にした・・・。
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花桜梨「・・・地図に書いてある場所まであと少しのはず・・。かなり森の奥に来ちゃったな・・・。」
花桜梨は辺りを見回した。樹木でびっしりと囲まれて、帰り道をしっかりと覚えていないとすぐに迷いそうなほどであった。
足の疲れもかなり溜まってきている。ここ一ヶ月間、ろくに食事も取らずに身体を動かさなかったせいで、長時間山道を歩く事は花桜梨にとって大変辛い事だった。
しかし、竹内に会えるという事が花桜梨の足を前に進ませていた。
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更に30分ほどかかって、花桜梨は何とか地図の示す待ち合わせ場所と思われる所まで辿り着いた。
地図に示された場所は古びた山小屋だった。
花桜梨「・・・・ここが待ち合わせ場所・・なのかな・・?」
恐る恐るドアを開けてみようと、ノブに手をかける。
ギィィィ・・・
嫌な音がして、ドアはゆっくりと開いた。鍵はかかっていないようである。
花桜梨は中を覗いて見るが、誰もいない。山小屋の中は、天井に蜘蛛の巣が無数にかかっていて、ほこりが床に積もっている。
ここ何年かは誰も中に入らなかったのだろうか・・・。
花桜梨「・・・・待ち合わせの時間まであと15分か・・。ここで待ってみよう・・・。」
花桜梨は薄暗い山小屋の中にあった椅子を見つけて軽くほこりを払って座り込んだ。
そのうち、山道を歩いた疲れのせいでいつのまにか眠り込んでしまった・・・・。
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???「・・・さん・・・花桜梨さ・・・・・。」
花桜梨「・・・・う・・ん・・・。」
どれほどの時間が過ぎたのだろうか、花桜梨は誰かに呼ばれて目を覚ました。
竹内「・・・・よく来てくれたね・・・。花桜梨さん・・・。」
花桜梨「た・・竹内君!!」
花桜梨が目を開けると、そこには最後に管制室で見た格好の時のままで竹内が花桜梨の傍に立っていた。
黒いジャケット、黒い皮の手袋、雪の様に真っ白な白髪、そして腰にはハンター専用武器『黒桜花』・・・・。
花桜梨「会いたかった・・!ずっと・・!」
花桜梨はすぐに竹内に抱きついて泣き出した。
竹内「・・・君にはいろいろと迷惑をかけちゃったね・・・。本当にごめん・・・。」
竹内も花桜梨の背中に手を回して優しく抱きしめた。
花桜梨「いいの・・・。あなたが生きていてくれて・・・こうして会えたんだから・・・私はそれだけでいいの・・・!」
竹内と花桜梨はしばらくお互いの再会を確かめ合うようにして抱き合っていた。
だが・・・竹内は静かに口を開いた。
竹内「・・・・花桜梨さん、君に会えて俺も嬉しいよ・・・。いつまでもこうしていたい・・・。
でも・・・もう俺には時間が残されていないんだ・・・。すぐにここを去らなければいけない・・・。」
花桜梨「!!・・・どうして!?せっかく会えたのに・・・!」
花桜梨が驚いて竹内の顔を見つめる。
竹内「・・・あの後、管制室で俺は『キング』と戦った。勝負はすぐについたよ・・・。俺は『キング』を戦闘不能にまで追い詰める事が出来たんだ。だが、『キング』は最後にとんでもない事をして死んでいった・・・・。」
花桜梨「何をしたの・・・?」
竹内「奴は、あの施設内の外敵駆除装置を緊急で作動させたんだ。おかげで、施設内は隅から隅まで毒ガスで一杯になった。」
花桜梨「毒ガス・・・!?でも、あの後の捜索では・・・・。」
竹内「あの施設に散布されたガスは時間が経つと自然と消えてしまうタイプのガスだったんだ。
俺と『トラップ』は二人で小型上陸艇まで走った。大型上陸艇の方は花桜梨さんたちが脱出するのに使われたから、更に奥にある小型上陸艇にまで行かなければならなかったんだ・・・。しかも、証拠を消すためにハンター全員分の死体とはいかなくても、せめてハンターのリーダーであった『キング』の死体だけでも運び出さなければならなかった・・。」
花桜梨「・・・・そうだったの・・・。」
竹内「俺と『トラップ』はぎりぎりのところで施設を脱出する事に成功した。だが、無傷で・・・と言う訳にはいかなかった・・・。
小型上陸艇の所に辿り着いた時には、俺たちは毒ガスを微量だが吸い込んでしまっていたんだ。」
花桜梨「・・・・・・。」
竹内「意識が薄れていく中で、俺と『トラップ』は何とか自動操縦システムを作動させるとそのまま気絶してしまった。
俺が目を覚ました時には、『トラップ』の所属する委員会が管轄しているハンター本部の医務室だった・・。
俺はそこで治療を受けて、正式にハンターとして活動する事になったんだ・・・。」
花桜梨「そんな・・・、竹内君が・・・ハンターに・・・。」
竹内「俺は常に『トラップ』と二人一組で行動するように義務付けられた。俺に暗示をかけて操れるのは奴だけだからなんだ。
俺が変な行動を取らないための、監視役って事なんだろう・・・。」
花桜梨「・・・・でも良く正気に戻れたね・・・。私、もう二度と竹内君とこうやって話すことだって出来ないと思っていたんだよ・・・。」
竹内「ああ・・・、俺は本部で実戦訓練をしている時に頭をひどく怪我した事があってね・・・。
その時のショックで暗示が薄れたんだと思う。
だから、奴に「キーワード」さえ言われなければ俺は普通の人間の感情を保っていられるようになったんだ。」
花桜梨「だから、今こうして話せるのね・・・・。」
竹内「だが、俺はその事を『トラップ』には知られないように気を配っていた。
もしも、暗示が薄れた事を奴に知られたら俺は再び洗脳を受ける事になる。そうなったら・・・・。」
花桜梨「・・・・・。」
竹内「だから、俺はずっと操られているふりをしていた・・・。そうしたら今回の様にたまたまひびきの市を舞台とした任務を与えられた。俺は隙を見て『トラップ』から逃げ出すと君に連絡をしてここに来た・・・って訳なんだ・・。」
花桜梨「じゃあ、この近くにあのハンターが・・・?」
竹内「いや・・・、今のところ奴の気配は感じられない。だけど、あいつに居場所を見つかってあの「キーワード」を言われたら俺はまた・・・・!!」
竹内はそこまで言うと、目をきつく閉じて顔を両手で覆う。
竹内は『トラップ』に見つかる事を心底恐れているようであった。
花桜梨「竹内君・・・・。」
竹内は花桜梨を改めて抱きしめるとそのままこう告げた。
竹内「花桜梨さん・・・・、俺が今話したことを信頼のおける人に・・・伊集院さん辺りが妥当だろう・・・伝えてほしい・・。」
花桜梨「警察には伝えなくてもいいの?」
竹内「警察じゃ、リスクが大き過ぎるんだ・・・。俺の両親・・・事実を知った君やみんなだってただで済むとは思えない・・・。
だから、警察には言わない方がいい・・・。」
花桜梨「分かった・・・!必ず伊集院さんに伝えるわ!」
竹内は花桜梨の返事を聞いて、頷くと窓から外を見回した。
竹内「・・・・もうかなり暗くなっているな・・・。そろそろ花桜梨さんは戻った方がいい。
俺が通常の山道まで送っていくから、早くここを出よう。」
花桜梨「竹内君はどうするの・・・・?」
竹内「・・・本当なら家まで送ってあげたいけど、町に出る訳にはいかないからね・・・。格好も格好だし・・。」
花桜梨「・・・・。」
竹内は自分の服装について苦笑すると、再び真剣な顔になる。
竹内「俺はこれから『トラップ』に見つからないようにして、何とか国外に出ようと思う。
それからこれからの事について考えるよ・・。」
花桜梨「・・・・もうひびきのには戻って来れないんだね・・・・。」
竹内「ああ・・・、残念だけど・・・。」
花桜梨「・・・・そう・・・なんだ・・・・。」
竹内の言葉に、花桜梨は悲しそうに俯いてしまった。
竹内「・・・・・・。」
そんな花桜梨の顔を竹内は両手で優しく起こすと静かに自分の唇を花桜梨の唇に重ねた。
花桜梨「・・・!・・・ん・・。」
花桜梨は最初はびくっとして身体を震わせたが、やがて花桜梨も抵抗せずに静かに竹内の首に両手を回した。
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竹内と花桜梨は暗い山道を進んでいた。しっかりと手を繋いで・・。
花桜梨「竹内君、道が分かるの?」
竹内「ああ、俺は暗闇でも眼が見えるように訓練を受けていたからね。このくらいならまだ余裕だよ。」
花桜梨は竹内の背中を見ながら頼もしいと思いながらも、彼が自分の暮らしている世界とはかなりかけ離れた存在になってしまった事を寂しく感じていた。
そして、もう少しでハイキングコースに出るというところで・・・。
???「もう、用事は済んだのか?竹内・・・。」
竹内「!!!」
花桜梨「・・・この声は・・!?」
竹内は声のした方を見上げる。
そこには、10メートル以上はある大木の枝に立っている『トラップ』の姿があった。
竹内「・・・・『トラップ』か・・・。(まさか、ここまで行動が早いとは・・・!)」
トラップ「やれやれだよ・・・。いきなり姿を消したと思ったらこんな山の中にいるとはね・・・。
・・・逃げ出したからにはそれなりの覚悟は出来ているんだろうな?竹内・・・。
ま、俺はお前の居場所くらいとっくに気が付いていたけどね・・・・。」
竹内「何だと!?どういう事だ!?」
トラップ「・・・・お前の行動くらいお見通しって事だよ。」
竹内「・・・ちっ!」
『トラップ』はおもむろに樹の枝から飛び降りると、二人の前に静かに着地した。
花桜梨「!」
トラップ「・・・・本当はお前をもっと早く連れ戻そうと考えたが、せめて野暮用が終わるまで待ってやろうって事で、あえて今まで泳がしていたんだぜ?感謝しろよ、俺の気遣いにな。」
『トラップ』はにやにやと笑いながらゆっくりと二人に近づく。
それを見た竹内は、花桜梨をかばうようにして彼女の前に立つと腰の黒桜花に手をやった。
トラップ「へぇ・・・、俺と殺り合う気かい?」
竹内「花桜梨さんには手を出すな・・・!」
トラップ「くくく・・・!お前が愛しい彼女を守れるかどうか・・・・少し試してやるよ。・・・『ソード』、『アックス』!!
出て来いよ!竹内に少しお仕置きをしてやりな!」
『トラップ』がそう叫んだと同時に、竹内と花桜梨の両脇にあった樹がメキメキと音を立てて倒れてくる!
花桜梨「!!・・・樹が・・・!?」
竹内「花桜梨さん、俺につかまって!!」
メキメキメキ・・・・!!
ズズ・・・ン!
竹内は花桜梨を抱きかかえると、倒れてくる樹を間一髪で回避した。
そして、倒れた樹の陰から出てきたのは・・・・。
???「上手くかわしたな・・・。・・・流石は我が委員会に所属する中で最強の戦闘能力を誇るハンターだ・・・。」
???「だが・・・、女をかばってどこまで戦えるかな・・?」
右からはまるで『キング』が使っていたような大型の刀を持った長身の男が現れ、左からは巨大な戦斧を持った大男が現れた。
竹内「・・・こいつらは・・・。」
トラップ「そうさ、お前が実戦訓練で総合的に苦手としていた二人だよ・・・。苦手な二人を相手として・・・しかも彼女をかばってどこまで戦えるかな?」
竹内は実戦訓練で自分に暗示を薄れさせるきっかけを作った相手を思い出した。
確か、大型の刀を持ったハンターが相手だった・・・。
花桜梨「竹内君・・・・。」
花桜梨は不安そうに竹内のジャケットの背中をぎゅっと握る。
竹内「大丈夫・・・!!花桜梨さんには指一本触れさせないよ・・・!」
竹内は花桜梨に力強く声をかけると、黒桜花を抜いて身構えた。
竹内「(・・・しかし何故だ・・・?何故『トラップ』は俺をすぐに操らないんだ・・・・?こんな手の込んだ事をしなくても俺を連れ戻す事など、奴にとってはたやすい事なのに・・・・。)」
竹内は『トラップ』が何故こんなにまどろっこしい事をするのか分からなかった。
人数では相手のほうが有利だ。しかも、自分の苦手なハンターを一度に二人も相手にしないといけない。
しかし、まずはこの二人を倒さないと花桜梨を守ることは出来ない。竹内は、不利を承知で覚悟を決めた。
竹内「・・・さあ!かかって来い!!」
ソード「・・・・行くぞ!」
アックス「・・・・俺たちを相手にいつまで元気でいられるかな・・・。」
竹内「花桜梨さん、君は隠れているんだ!(・・・・隙を見て逃げて!)」
竹内は花桜梨にそう告げると、襲い掛かってくる二人の追撃ハンターに向かって黒桜花を構えて突撃した・・・!!
竹内「うおおおおおぉぉっ!!」
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<最終話・完>