ときメモ2バトルロワイヤル風SS・第拾九話「新たなる脅威」
智「なあ・・・・。この施設って、いつ頃に建てられたんだろう?」
純「・・・・そうだな・・・,ここまで巨大な建造物は一年やそこらじゃ完成させる事は無理だろうな。」
美帆「ええ、少なくとも一年以上前から建設が始まっていなければ完成出来なかったでしょうね・・・。」
美幸「ここを建てた人は〜、最初から美幸たちをここに連れてくるのが目的だったのかな〜・・・?」
智「さあな、少なくともリゾートホテルにするのが目的じゃない事は確かだけどな・・・。」
純「竹内と八重さん・・・・、今頃どこにいるんだろうな・・・・。」
智「・・・・そうだな・・・。無事だって事を祈ろうぜ・・・。」
美幸「きっと、きっとたけぴーも八重さんも生きてると思うよ〜。何か、そんな気がするんだ〜・・・。」
美帆「そうですね。二人が無事である事をまずは信じましょう。」
美帆の言葉に皆は頷くと、通路をひたすら奥に進んでいった。
しばらく通路を進んでいくと、道が二手に分かれていた。
純「う〜ん・・・・、右に行くか左に行くか・・・・智、お前はどっちだと思う?」
智「そうだな〜・・・、俺に聞くよりも白雪さんに占ってもらった方がいいんじゃないのか?」
美幸「そうだね〜、みほぴょんの占いならきっと美幸たちに安全な道を選ばせてくれるよ〜!」
美帆「分かりました、占ってみましょう・・・。」
美帆はそう言って、静かに目を閉じると意識を集中させ始めた。
他の三人は、真剣な眼差しで美帆の占いの結果に注目している。
やがて・・・
美帆「・・・・・・結果が出ました。」
美幸「どっちに進めばいいの〜?」
美帆「・・・・それが不思議な結果が出たんです・・・・。」
純「不思議な結果・・・?」
美帆「はい、右に進めば必ず安全な通路に進めるのですが・・・、大切な物を失う可能性があると出ています。」
智「大切な物・・・?白雪さん、それは俺たち全員にとって大切な物ってこと?それとも、この中の誰か個人にとって大切な物って言う意味?」
美帆「申し訳ありません・・・。そこまでは私にも分かりません・・・。ただ、今までにこんな結果が出る事は無かったので、とても気になりますが・・・。」
純「じゃあ、左に進んだ場合は?」
美帆「左に進んだ場合、何かを代償にする代わりに大切な物を得る事が出来る・・・・と出ています。」
純「白雪さん、その占いも特定の誰かが大切な物を得るのか、俺たち全員が大切な物を得るのか・・・分かる?」
白雪「申し訳ありません・・・。それもちょっと・・・・。」
純「そっか・・・・。」
智「右に進めば安全な道の代わりに大切な物を失って・・・、左に行けばある物と引き換えに大切な物を得る事が出来る・・・か。」
純「何か、まるで対照的な結果だな・・・。・・・・どうする?」
智「俺に聞くなよ。・・・・う〜ん・・・、参ったな・・・・。」
美帆「それでは、こうしたらいかがですか?ここにコインがありますから、投げてみて表が出たら右、裏が出たら左に進みましょう。」
美幸「うん!それでいいと思うよ〜。どっちが出るかは分かんないから運次第だもんね〜。」
智「よし、じゃあ俺がコインを投げよう。」
純「頼む。」
キィィン!
智は指でコインを真上に弾くと、落下してきたコインを手のひらと手の甲で挟んだ。
純「・・・・どっちだ?」
美帆「・・・・。」
美幸「・・・・。」
智はゆっくりと手をずらしてみた。そこには・・・・。
純「・・・・!裏か・・・・左に決まったな。」
智「よし、じゃあ先に進もうぜ。」
美帆「ええ、行きましょう。」
美幸「うん!」
コインの結果により智たちは左に進む事になった。
・
・
・
・
・
・
智「・・・おい!あそこにドアがあるぞ!」
純「本当だ!ここにはまだ来た事が無いな。・・・入って見るか・・。」
智「ああ、・・・・白雪さんと美幸はここで待っていてくれ。中の様子を見てくるから。」
美帆「分かりました。お二人とも、お気をつけて・・・。」
美幸「がんばってね〜!美幸たちここで待ってるからね〜!」
二人を残して、中に入るとそこは・・・・・。
智「おい・・・!ここって・・・・。」
純「ああ・・・、間違い無い!この施設の管制室だ!」
智「ここから外部と連絡が取れるかもしれないぞ!」
二人は喜び勇んで、二人の所へ戻ろうとした・・・・その時!
美幸・美帆「きゃあぁぁぁっ!!」
突然、外にいる二人の悲鳴が!!
純・智「!!!」
それを聞いた智と純は急いで部屋の外に飛び出る!
そこには・・・。
???「くくく・・・!よくここまで来れたな。ただの高校生にしちゃ上出来だ!」
何と、普通よりも明らかに長い刀を腰に携えた大柄の男に美幸と美帆は重ねて男の左肩に担がれていた。
既に二人とも気絶している様だ。
智「何者だ!!」
キング「俺は、お前らを狩るためにここに送り込まれたハンターを統率する者、コードネーム『キング』だ。」
純「とうとう、ハンターのリーダー格のお出ましか・・・・。」
智「二人を放せ!!」
智はそう叫ぶと、刀を抜いて真っすぐに構える。だが、『キング』は智と純を交互に見てこう呟いた。
キング「・・・・・お前らが『スナイプ』、『ウェポン』、『ナイト』を殺ったガキか?」
純「・・・・・そうだと言ったら・・・・?」
キング「(・・・・・・。)」
純の言葉に、『キング』は考え込んだ素振りを見せたがすぐに二人にこう言い放った。
キング「ふん!思わせぶりな事を言っても無駄だ。三人を殺ったのは全て同じ人物で、『竹内』とか言うガキだと情報が入っているんだ。」
純「・・・!(こいつ・・・、今まで俺たちの前に姿を表していなかったが・・・・ずっと情報を集めていたと言う事か・・・?)」
智「そうか・・・!竹内が落とした携帯で俺たちの所に電話をしてきたのはお前だな!?」
キング「いかにも。だが、俺はまだその竹内とか言うガキの面を見ていないんでね。今からこの女どもから居場所を聞き出すつもりだ。」
智「そうは・・・・させるか!!」
先手必勝!!智は一気に『キング』に挑みかかった。
だが・・・・。
キング「ふん・・・、怪我をして動きの鈍いお前の攻撃など避けるまでも無い・・・。」
智「!!?」
キングは智の刀を避けることもせず、瞬間的に刀を抜くと智の攻撃を切り払った。
ガキィィン!!
智の手を離れた刀は、そこから15メートルほど離れた所に回転しながら飛んで行くと、そのまま床に突き刺さる!
智「なっ・・・!?」
キング「・・・・死ね。」
刀を弾き飛ばされて無防備になった智目掛けて、『キング』の刀が一気に振り下ろされる!!
その瞬間!!
ガキィン!
純が間一髪の所で助けに入る!!『キング』の刀は純の持った刀によって、ギリギリの所で受け止められた。
キング「・・・・ほう。」
純「ぐっ・・・!(こいつ・・・!!何て剣圧なんだ!受け止めるのがやっとだ・・・!!)」
智「純!!」
純「智!早く刀を拾え!!」
純は智に叫ぶようにして落ちた刀を拾うように告げる。智はすぐに刀の所に向かって走り出す!
キング「くっくっく!・・・よく受け止められたな・・・。だが・・・・ここまでだ!!!」
純「!!!」
キングは刀に更に力を込める。
ビシッ!!
純「何っ!?(まずい・・・!刀身に亀裂が・・・・!?)」
不意に、純の持っている刀に亀裂が走る!!キングの振り下ろした刀の圧力によって、刀身が耐え切れずに破壊されようとしているのだ。
キング「ふふふ・・・!あと少し力を入れればお前の刀は真っ二つに折れてしまうぞ?さあ、どうする・・・?」
純「くっ・・・!智!!早く刀を拾え!」
智「くそっ!」
智は何とか刀を床から引き抜くと、純の元へ走り出した!
智「(頼む!!間に合ってくれ!!)」
キング「これで・・・終わりだ!!!」
純「!!!」
ガキィィン!!!
ついに、純の持った刀が鋭い音と共に圧し折られてしまった!
キングの刀がそのまま純の顔面目掛けて振り下ろされる!!!
・・・・・だが!
バシッ!!
キング「な・・・!何だと・・・!?」
智「!!!」
純「・・・・・。」
何と!純は自分目掛けて振り下ろされる刀を寸での所で受け止めた!
そう、真剣白刃取りという時代劇顔負けの事をやってのけたのだ!!!
キング「ば・・・馬鹿な・・・!!真剣白刃取りだと・・・!?」
純「智!!今だ!!」
純はそのままキングの刀を押さえ込むと、智に合図を出す。
智「おう!!」
智も純がくれたチャンスを逃さんとして、一気に助走をつけると『キング』に飛び掛る!!
しかし・・・。
キング「ちいっ!!」
智が飛び掛る寸前に、キングは刀を手放して後ろに飛び退いた。
智「くっ!」
キングは憎憎しげに二人を睨むと、左肩に背負っていた美帆と美幸の二人を智と純に投げつける。
そして、身軽になった『キング』は、そのまま管制室の中に逃げ込んでしまった。
純「!!」
智「おっと!!」
二人は慌てて二人を抱きとめるとキングの入っていった管制室の方を見る。
しかし、キングは中からカギをかけてしまった様で、いくらドアを開けようとしても無駄だった。
智「ちくしょう・・・!!逃げられちまったか・・・。」
純「いや・・・、寿さんと白雪さんを助けられただけまだマシさ。それに・・・・、あいつが本気を出したら俺たちが二人がかりでも勝てないかもしれない・・・。」
智「何だって!?そんなはずないだろ、確かに強かったけど絶対に勝てないって程じゃない。
現にお前はあいつの刀を白刃取りで受け止める事が出来たじゃないか。」
純「・・・あれは、奴の刀の軌道が俺の顔面に来る事が分かっていたから止められたんだ・・・。それに智・・・お前、気がつかなかったのか?あいつ、肩に白雪さんと寿さんの二人を担いだまま・・・つまり片手だけで俺たちと戦っていたんだぞ?それがどういう意味か分かるだろ?」
智「!!・・・まさか・・・。」
純「それに・・・、あいつが落としていったこの刀・・・。智、ちょっと持ってみな。」
純はそう言って、智に『キング』が残していった刀を差し出す。
智「・・・別に普通よりも長いだけの刀じゃ・・・・・。」
智は何の気無しに『キング』の刀を受け取ろうとした・・・が、予想以上の刀の重さによって、思わず刀を床に落としてしまった。
刀は床に落ちて鋭い音を立てる。
智「な、何なんだ!?このバカみたいに重い刀は!?」
純「判っただろ・・・?あいつは、こんな重い刀を片手だけであそこまで簡単に振り回していたんだ。奴が本気になって、・・・両手で刀を持ってこられたら・・・・。」
智「さっきとは段違いの攻撃が来る・・・・って事か・・・。」
純「そういう事だ・・・・。」
二人は『キング』の圧倒的としか言い様のない力量に、改めて愕然とした。
智「・・・・ハンターのリーダー格と言うだけあって、その強さは伊達じゃないってことか・・・。」
智はうつむきながら悔しそうに呟く。
・
・
・
美帆「ううん・・・・。」
美幸「う・・・ん・・・・。」
しばらくして、気絶していた二人が目を覚ました。
智「二人とも、大丈夫か!?」
純「もう大丈夫だ、二人を襲った奴は逃げたよ。」
美帆「そうですか・・・・・。・・・私たち・・・いきなり後ろから殴られて・・・・・。・・・!お二人こそ、お怪我はありませんか・・・?」
美幸「う〜ん・・・、美幸は〜よくトラックにはねられてるから〜これくらい平気だけど〜、さとぽんたちは大丈夫だった〜?」
純「その様子なら・・・。」
智「大丈夫みたいだな・・・。」
幸い二人とも特に目立った怪我も無く、智と純はほっと胸を撫で下ろした。
・
・
・
・
・
こんな感じで施設のあちこちでグループごとにさまざまな事件や出来事が起きていた。だが、時間はその間も刻々と経過していく。
施設にいるメンバーが安全な場所を見つけて一休みしている頃には、メンバーが二手に分かれてから既に10時間が経過していた。
新たなハンター到着まで・・・あと一時間三十分・・・。
<第拾九話・完>