ときメモ2バトルロワイヤル風SS・第拾八話「決意」

ときメモ2バトルロワイヤル風SS・第拾八話「決意」

純・智・涼の三人は、出口に近い所まで歩いてきていた。

しばらく歩いていると、向こうの方から光たちが現れて竹内・花桜梨以外のメンバーは全員合流する事が出来た。

純「・・・・・と言う訳で,今からメンバーを二つに分けようと思うんだ。」

涼「一つのグループがここの施設内のどこかに居るはずの竹内と八重さんを探す。もう一つのグループがこの施設にあるはずのハンターの上陸艇を探す。そして両チームに共通して、行動に余裕があれば外部との連絡方法を探してみる・・・・と言うのでどうだ?」

智「ああ、それでいいと思うぜ。」

匠「俺もいいよ。」

光「でも、どういうチーム編成にするの?」

純「そうだな・・・・。武器を持っている奴が必ずどのグループにも一人はいないと危険だからな・・。」

智「俺や純、それに秋口は武器を所持しているからいいけど・・・。坂城たちは・・・・。」

智の言葉を琴子が遮るようにして口を開いた。

琴子「待って、・・・・私たちだって、こんな不吉な所に来るのに何も持たずに来る訳ないでしょ?」

匠「そういう事!」

涼「・・・・と、言う事は・・・。」

光「そう!私たちも自分の身は自分で守れるようにしないといけないと思って、幾つか持ってきたの。」

そう言って,光は匠と琴子の顔を交互に見た。

二人はそれに頷くと、涼たちの前に持ってきていた武器を全て出してみせた。

智「!!・・・・こいつは・・。」

純「す・・・すごいな・・・。」

涼「よく・・・こんだけ持ってきたな・・・。」

何と、竹内が持ってきた武器のほとんどを匠たちはここまで持ってきていた。

竹内がショットガンに拳銃を持って,純と智が刀、そして涼が拳銃とナイフを持っているので,残った武器はナイフが5本、ボウガンが一丁、拳銃が二丁,サブマシンガンが一丁となっている。

匠はともかく、光や琴子たち女性が持ってくるにはかなり重い物もある。

匠「お前たち三人は既に武器を持っているからいいとして・・・・。俺や光ちゃんたちが何を持つかだよね・・・・。」

智「そうだなぁ・・・。あんまり重い物は無理だからな・・・。ナイフとか拳銃くらいが妥当なんじゃないのか?」

涼「俺は念のためにもう一つ武器を持たせてもらうよ。」

そう言って,涼はサブマシンガンを手にとった。

光「私はこれにする・・。」

光はそう言ってボウガンを手に取った。

そのずっしりとした重みがこれから始まるであろう実戦のプレッシャーとして、光に伝わってくる。

光「・・・・・・・。(大丈夫・・・・気を落ち着けて・・。)」

智「美幸に重火器を持たせたら暴発して危なそうだから、お前はせいぜいナイフくらいにしておいた方がいいな・・・。」

美幸「う、うん・・・。美幸もその方がいいと思う〜・・・。あんまり、自信無いし〜・・・。」

琴子「私は・・・そうね、これにしておくわ。」

琴子は拳銃を一つ手にした。

琴子「・・・・・重いのね・・。本物の拳銃って・・・。よく刑事が映画でやるように軽々と扱う・・・・なんて、すぐには出来そうも無いわね・・・。」

涼「ああ・・・,俺も初めて本物の拳銃を手にして、そう思った・・・。」

美帆「あの・・・私は・・・。」

純「白雪さんは俺たちにこれからどう行動したらいいか占ってくれないか?」

美帆「えっ?・・・・でも、私は・・・。」

美帆は最初に自分の占いで竹内が危険な目にあった事をかなり気にしているのか、遠慮がちに目を伏せる。

智「最初の事なら気にするなよ,白雪さん。結果,俺たちは施設の外に出る事には成功しているじゃないか。」

美帆「・・・・・・。」

涼「ああ、白雪さんの占いでもう一度メンバーを分割して欲しいんだ。」

光「私からもお願いするわ。白雪さん,もう一度だけ占って見て・・・・!」

美帆はしばらく迷っていたが、やがて顔を上げるとはっきりと頷いた。

美帆「分かりました。私の占いが皆さんのお役に立てるかどうか分かりませんが,やってみます。」

そう言って,美帆は最初のトランプによる分割とは違う占いを始めた。

懐から水晶のネックレスを取り出すと、チェーンの所を持って皆の前に吊るすようにした。

智「・・・・これは・・?」

美帆「これは、一種のダウジングの様なものです。今から、私が皆さん一人一人の前に行って、この水晶の揺れ方を調べます。

水晶は横に揺れたり縦に揺れたり・・・・,全く揺れない事もあるでしょう。この占いで水晶の揺れ方が同じ人を調べて、揺れが同じ方同士で行動すれば、必ずいい結果に結びつくはずです・・・。」

智「なるほど・・・・。」

純「じゃあ、早速やってみてくれないか?」

美帆「ええ、分かりました・・・。」

美帆は返事をすると、一人一人の前に立って水晶の揺れ方を見ていった。

その結果,分割メンバーの振り分けは・・・。

(純・智・美幸・美帆)(涼・匠・光・琴子)と言う風になった。

智「よし!今から二時間後に再びここ・・・,出口の前に集合しよう。」

涼「分かった。じゃあ、俺たちは竹内たちを探してみるから、小倉たちは施設内にあるはずの上陸艇を探してみてくれ。」

純「ああ、みんな、・・・死ぬなよ!」

智「おう!」

琴子「ええ!当然よ!」

美幸「うん!」

光「了解!」

涼「もちろんだ!」

美帆「皆さんもお気をつけて・・・!」

こうして一同はお互い手を重ねるとぐっと気合を入れてから、それぞれに分かれて歩き出した。

その頃,竹内と花桜梨は・・・・。

竹内「・・・・そろそろ痛みも大分収まってきたみたいだし・・・花桜梨さん、行こう・・・。」

花桜梨「うん・・・,じゃあ、肩を貸してあげるから、つかまって。」

花桜梨は竹内の腕を自分の肩にかけると、ゆっくりと歩き始めた。竹内が横になっている間,花桜梨が地下室の中を探索しているうちに、偶然上へ続く階段を見つけたのだ。今から、二人はその階段を昇って上の階に行くつもりだった。

竹内「・・・・花桜梨さん、さっきは・・・・俺、ひどい事言っちゃって・・・・本当にごめん・・。」

花桜梨「えっ・・・・,あ・・・・その事ならもういいよ・・。私の方こそ,あなたの気持ちを察する事が出来なかったから・・・・。」

竹内「・・・・・花桜梨さん、俺は君の事や・・・・,純や匠・・・・智たちの事をあの『トラップ』に話してしまった・・・・。俺は花桜梨さんに向かって、「裏切った」なんて言ったけど・・・、本当の裏切り者は俺なのかもしれない・・・・・・。いや、花桜梨さんにとってだけじゃない、・・・・みんなにとっても、本当に裏切り者なのは・・・・・俺なんだと思う・・・。」

花桜梨「・・・止めて!」

竹内「ははは・・・・,人の事を散々ひどく言っておきながら、自分のことは棚に上げていたんだからね・・・。情けないよ・・・。」

竹内はそう言って自嘲気味に苦笑した。それを見た花桜梨は・・・。

花桜梨「止めて!!

竹内「!!」

花桜梨は鋭く強い声で竹内をたしなめると、そのまま竹内を抱きしめてこう言った。

花桜梨「竹内君は・・・・竹内君は裏切り者なんかじゃない・・・・!あの時は、みんなの事を考えた末の事だったんでしょう?みんなが大切だったからこそ、ああいう行動に出たんでしょう?」

竹内「・・・・・。」

花桜梨「だから私は・・・ううん!私だけじゃない!みんなだって、あなたの事を裏切り者だなんて思っていないわ。」

竹内「・・・・花桜梨さん・・・本当に・・・ありがとう・・・。」

花桜梨「うん・・・・いいよ・・・。私の方こそ、あなたには助けてもらったお礼を言わなくちゃいけない・・・・。」

竹内「花桜梨さん・・・・。・・・・・・・うっ・・・う・・・・うぅ・・・。」

花桜梨「辛かったんだよね・・・苦しかったんだよね・・・。ずっと一人で戦っていたんだもんね・・・・。でも、もう・・・一人で苦しまないでいいのよ・・・・。私が側に付いていてあげるから・・・・。」

花桜梨は母親が子供をあやす様に竹内の頭を優しくなでながら、静かに竹内の苦しみを受け止めた。

竹内はしばらくの間、花桜梨の胸で泣き続けた。

今までの苦しみがやっと癒されて・・・・そして、心から花桜梨の事を信じる事が出来たから・・・。

花桜梨「・・・・・落ち着いた?」

竹内「ああ・・・ありがとう、花桜梨さん・・・。」

竹内は花桜梨の顔を見るとふっと微笑んだ。ひびきのに居た頃に、いつも花桜梨に見せていた優しい笑顔だ。

花桜梨「・・・・うん。(やっと・・・、やっと優しい、いつもの竹内君に戻ってくれたんだね・・・・。)」

花桜梨もそれに答えるように微笑み返すと、再び竹内の腕を自分の肩に回すと歩き始めた。

そして、匠たちは・・・・。

涼「おい、この部屋の奥から通路があるぞ。」

匠「本当だ・・・。進んでみる価値はありそうだね・・・・・。」

光「奥は暗くて見えないみたいだけど・・・・。」

琴子「このまま黙って引き返す訳にもいかないわよね・・・。」

涼「そういう事だな。よし、行ってみよう・・・。」

涼たちは、薄暗い通路を用心深く進んでみた。だが、しばらく歩き続けても何も見えない。

匠「なかなか先が見えないね・・・。」

琴子「・・・・待って!そこに誰か居るわ!!」

涼「!!・・・・そこにいる奴、誰だ!出て来い!!」

琴子が暗い通路の奥に人影を発見して指差した。すかさず涼が拳銃を構える!

???「ちょっと待った!!」

匠「・・・・・・!?」

涼「!・・・お前は・・・!」

トラップ「へぇ・・・、覚えていてくれて光栄だよ。」

そこから現れたのは『トラップ』だった。『ナイト』と戦った時に部屋から逃走して以来だ。

光「秋口君、この人は・・・!?」

涼「こいつは・・・・見かけは俺たちと同じ高校生だが、中身はれっきとしたハンターの一人さ・・・。」

琴子「なっ!?私たちと同じ年代なのに、敵の一人だって言うの!?」

琴子はまるで信じられないと言った様子で『トラップ』の方を見る。

トラップ「おいおい!そんなに怖い目で睨まないでもいいだろ〜?俺は竹内の命の恩人なんだぜ?」

光「竹内君の命の恩人・・・・!?」

トラップ「そうさ、あいつが施設内をふらふらと彷徨っているところを俺が助けてやったんだよ。もしも、あのまま俺が竹内を助けなかったら、今頃他のハンターに狩られていたぜ?」

琴子「何よ・・・。案外いい奴じゃないの・・・・。」

光「うん・・・、他のハンターみたいにそれほど怖い雰囲気はしないし・・・・。」

光と琴子は『トラップ』の言葉を聞いて、少し緊張を緩めたように見えた・・・が。

涼「騙されるな!!!

光・琴子「!!」

涼「こいつは・・・,そうやって味方のふりをして竹内に近づいてあいつをおかしくさせた張本人なんだ!今だって、何かたくらんでいるに決まっている!!」

涼はそう吐き捨てるように言うと、拳銃の撃鉄を起こして,『トラップ』に狙いを定めた。

トラップ「・・・・・へぇ、なるほどね・・・・。俺の事をよく知っているんだ・・・。」

涼「そのまま一歩も動かずに手を上げるんだ!」

涼は拳銃を突きつけたままじりじりと前に進むと、トラップの懐からナイフを取り上げた。

トラップ「他には何も持っちゃいないよ。俺は『ナイト』や『ウェポン』みたいに武器はあんまり持たない主義なんでね・・・。」

涼「黙れ!!ハンターのお前が言う事を誰が信用するか!!」

トラップ「やれやれ・・・、それはそれは・・・疑い深い事で・・・。」

『トラップ』はそう言ってやれやれという感じで苦笑する。

涼は『トラップ』が他にも武器を隠し持っていないか調べたが,結局何も持っていなかった。

涼「・・・・・。」

トラップ「な?言った通りだろ?」

涼「ちっ・・・!いいか、変な真似をしてみろ・・・!その時は、すぐに容赦なく撃つからな!!」

涼は『トラップ』が丸腰だと分かったとは言え油断する事無く、ゆっくりと後ろに回りこんだ。

『トラップ』は自分が銃を突きつけられていると言うのに、一向に臆することなく四人に語りかける。

トラップ「それよりさぁ、あんたたちはこんな所で何してんの?」

涼「お前に教える必要は無い!」

涼は『トラップ』の言う事には耳を貸さないといった感じで即答する。しかし、『トラップ』もそれだけでは引き下がらない。

トラップ「そんなつれない事言うなよ。何もただで情報を教えろなんて言わないさ。こっちもそれなりにあんたらにいろいろ教えてやるからさ。・・・・・・例えば、俺たちが乗ってきた上陸艇の位置とか、外部との連絡が出来る施設の管理室の位置とかをさ・・・。」

涼・匠・光・琴子「!!!?」

トラップ「俺の言う事が信用できなければ、今ここで俺を撃つといいよ。まあ、信じるかどうかはあんたたち次第だけどね。」

『トラップ』はそう言って、手を上にしたまま前に歩き出した。

涼はあっけに取られてしまったが、慌てて気を取り直すと銃を構えて叫んだ。

涼「止まれ!!本当に撃つぞ!!」

トラップ「どうぞご自由に。ま、俺を殺す前に一応、見られる物は見た方が利口だと思うけどね。」

『トラップ』は涼の警告に全く動じる事も無く、すたすたと先に進んでいった。

光「どうするの・・・・?」

琴子「・・・・あながち口から出任せを言っているとも思えないわね・・・。」

匠「とりあえず・・・ここは一旦、様子を見ようよ・・・・。」

涼「・・・・・・そうだな。」

そして、智・純・美幸・美帆の四人は・・・。

 

<第拾八話・完>

                         (第拾九話に続く・・・)

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