ときメモ2バトルロワイヤル風SS第四話「闇に潜みし恐怖」

ときメモ2バトルロワイヤル風SS第四話「暗躍する恐怖

竹内達が四組に分かれて行動し始めた頃,そこからしばらく離れたところに動く五つの影があった。

???「さて・・・,どうやら目標が動き始めたみたいだぞ。」

???「そうだな・・・。ん?奴らメンバーを四組に分割したようだな。」

???「ほう・・・・。一つに固まらずに行動しているのか。くくく・・・,意外と知恵が働くじゃないか。」

???「だが、我々ハンターの前ではそれも無駄なことだ。」

???「そういう事だ。・・・・どうだ?我々も個々に行動してターゲットを狙ってみないか?」

彼らは、この計画を立てた組織が竹内たちを狩るべく、施設内に送り込んだハンターたちであった。ハンターたちは個人個人、さまざまな姿をしており、それぞれ使用する武器も異なっていた。

 

五人の中で最も小柄なハンターが先頭を歩いていた。小柄とは言っても、身長は170センチ以上はある。彼は、特殊なナイトスコープをしており、どんな暗い場所でも獲物の動きを察知する事が可能であった。そして、その両手には30センチほどある刃が付けられた特殊なグローブをしていて、刃には毒が仕込まれており,相手の身体をかすっただけでも傷口から神経毒が入り、目標を行動不能にする事が出来る。ハンターの中でも装備は割りと軽装だが、人を殺すには充分すぎるくらいの装備である。

むしろ暗闇を静かに,そして迅速に行動するハンターなので、あまり装備は重くない方が彼自身にとって都合が良いのである。

 

二番目を歩いているハンターは背中にマシンガン、アサルトライフル等を背負っており,肩にはサブマシンガンを掛けている。

腰にはサバイバルナイフ、手榴弾、それぞれの銃専用の弾薬が入ったポーチ,防弾・防刃、更に繊維の中に絶縁体を含ませる事によって電流も通さず、極め付けに防熱加工まで施された特殊スーツを身に付けた慎重190センチはあろうかと思われるほどの大柄な男であった。

五人の中でも最も武装されているのがこのハンターであった。

 

真ん中を歩いているハンターは、身長180センチくらいで、背中に通常より明らかに大型のボウガンを背負っており、来ているジャケットの内側や腰にはその為の矢が無数に搭載されていた。

更に腕力も強く,その力は片手で普通の人間を軽々と持ち上げてそのまま首の骨を簡単に圧し折る事も出来るほどであった。

彼はハンターの中で唯一、眼鏡をかけている存在で、一見そんな怪力の持ち主にはまるで見えない姿をしていた。

 

四番目を歩くハンターは慎重175センチ前後で、見かけはそれほどハンターに見えない。だが、五人の中ではもっとも頭が切れ,トラップを仕掛けたり、ゲリラ戦等を得意としており,いかに効率よく相手を仕留められるかを考えて行動する冷酷なハンターであった。

 

最期に一番後ろを歩く男、彼は五人のリーダー的な存在であり,それと同時に最強のハンターであった。

身長は180センチ前後で、背中には日本刀を改造したような武器を背負い,腰にはトンファー、懐にはスタンガンを忍ばせていた。

彼は他の四人のハンターに指令を出し,ハンターを統率する存在であった。

 

五人のハンターは、それぞれこの計画の為だけに訓練されていたのだが、計画が実行に移された際には悪性因子を狩る者、文字通りハンターと化してハンティングをする存在な訳だ。今回はその予行演習のようなモノとして,竹内たちを狙っていた。

彼らは『BRハンター』として総称されているが、個別にコードネームが存在している。先頭のハンターからそれぞれ,

『ナイト』,『ウェポン』,『スナイプ』、『トラップ』、『キング』

と呼ばれていた。

トラップ「そうだな。その方が個人的には仕事がやり易い。」

ナイト「俺もその方が性に合っているし、ハンティングスタイルからしても単独行動の方が何かと都合がいい。」

五人のリーダー格である『キング』の提案に、トラップ&ナイトはすぐに賛成する。

スナイプ「俺も個人行動には異論はない。」

スナイプもそれに同意する。

キング「『ウェポン』、お前もそれでいいな?」

ウェポン「へへへ・・・!ああ、構わねぇよ!もっとも、相手があんなガキどもなら何も五人で行かなくても俺一人で充分だがな!」

大柄の『ウェポン』は残酷な笑みを浮かべると,サバイバルナイフの刃を舌で舐めた。

キング「よし!それでは今からハンティングを開始する!目標のうち、誰かを仕留めたら無線で連絡を入れろ。何かあった時もすぐに俺に連絡しろ!目標を全滅させたら大広間に集合だ。それでは散れ!!」

『キング』の指示と同時に,四人のハンターは素早く分かれるとそれぞれ獲物を探して行動を開始した。

キング「くくく・・・,さて・・・楽しませてもらうとするか・・・。」

『キング』は不気味な笑いを浮かべると自分も他の四人のハンターの様に、暗闇に消えていった・・・。

一方、四組に分かれて行動している純たちは・・・・。

純「なあ、ここってさっきも通らなかったか?」

智「ん?確かに、そう言われてみれば・・・・。」

美幸「も、もしかして・・・・迷子になっちゃったとか・・?」

智・純「・・・・・。」

美幸「あ〜ん!どうしよう〜!!きっと美幸のせいで迷子になっちゃったんだ〜!!うわぁ〜ん!!」

純「こ、寿さん落ち着いて!」

美幸は自分のせいで三人が道に迷ったと思い込み、泣き出してしまった。純はこう言った場合に慣れておらず、どうしていいのか分からずに、ただおろおろしている。

智「おい美幸,お前が気にすることはないさ。俺たちが不注意だったせいでこうなっちまったんだよ。お前のせいじゃない。だから、もう泣くな。」

智が美幸の頭をポンと叩きながら励ました。それによって、ようやく美幸は泣きやんだ。

美幸「ぐすっ・・・ぐすっ・・・・・うん・・。ありがとね、さとぽん・・・。」

純「・・・・・・。」

智「さてと・・・,これからどうする?このままじゃ身動きが取れないからな・・・。」

純「あ、ああ・・・,とりあえず外部に連絡がとれないかどうか試してみないか?」

智「そうか!さっき坂城が携帯が通じるって言っていたな。さっそくかけてみようぜ。美幸,お前携帯持っていたよな?」

美幸「うん、携帯電話なら美幸持ってるよ〜。」

智「よし!とりあえず、警察に通報するのが一番だな!」

純「ああ、それから匠や竹内たちにも連絡しよう。」

美幸「じゃあ、早速かけてみるね〜!」

美幸は警察に通報しようと、ダイヤルしてみた・・・・が。

智「美幸,どうだ?繋がったか?」

智の質問に美幸の表情が暗い。

美幸「ダメだよ〜・・,発信音が全然聞こえてこないよ〜・・・。」

智「そんなバカな!?圏外にはなっていないはずなのに・・・!?」

純「ここの施設内だけ通話が可能って事なのか?それか、何かが電波妨害を引き起こさせているのかもしれないな・・・。」

智「仕方ない,坂城に連絡してみようぜ。」

美幸「分かった〜。かけてみるね〜。」

その頃,匠・光・琴子の三人は施設内のある一室に入って一休みがてら作戦会議をしていた。

匠「駄目か・・・,やっぱり何度かけても全然繋がらないみたいだよ。」

水無月「そう・・・・,それじゃあ、外部との連絡は一切取れないって事ね・・・。」

光「でも、何とかして連絡を取らないとここから脱出出来ないよ。」

匠「そうだね、こんな迷路みたいな所じゃすぐに脱出って訳にもいかないみたいだけどね。純や竹内、秋口たちの組は迷子にならないでいるかな・・・?」

水無月「そうね・・・,特に一人で行動している竹内君が一番心配よね・・・。」

光「うん・・・,白雪さんは一緒に居ると危険だって言っていたけど、やっぱり早く合流しないとその方が危険だよね・・・。」

その時,急に匠の携帯が振動する。着信音は、念の為に消してあるのだ。

匠「ん?着信だ。誰からだろう・・・?・・・美幸ちゃんからだ!」

美幸「(もしもし!?さっきゃん!?美幸だよ〜!)

匠「美幸ちゃん?どうしたの?」

美幸「(うん、実は美幸たち迷子になっちゃって〜、一歩も動けないでいるんだ〜・・・。警察にも電話してみたんだけど、全然繋がらなくて〜・・・。)

匠「そうなんだ・・・,実は僕たちも警察に通報してみようとしたんだけど、こっちも全然繋がらなくてね・・・。やっぱり、この施設内でのみ通話が出来るみたいだよ。」

美幸「(あ〜・・・,やっぱりそうなんだ〜・・・。困ったな〜・・・。)

匠「美幸ちゃん、そのまま通路に居たら危険だよ。とりあえず、そこから一番近い部屋の中に隠れてて!」

美幸「(一番近い部屋?うん、分かった〜!探してみるね!)

匠「それと、出来れば僕たちがもしも通りかかった時に分かるように、目印のような物を残しておいて欲しいんだ。」

美幸「(目印〜?うん、残しておくね〜。)

匠「また何かあったら連絡して。こっちも用があったら連絡をするから。それじゃあね。」

美幸「(うん!バイバ〜イ!)

純「寿さん,匠は何て言ってた?」

美幸「いつまでも通路にいたら危ないから、そこから一番近い部屋の中に入れって。それと、何か目印を残しておくようにって言ってたよ〜。」

智「そうか・・・,確かにこのままいつまでも通路にいたらハンターとやらに鉢合わせになるかもしれないからな・・。」

純「よし、どこか入れる部屋を探そう。」

美幸「うん!」

こうして、純・智・美幸の三人は今いる場所から一番近い部屋を探して、一旦その中に隠れている事にした。

そして、花桜梨・涼・美帆の三人は・・・。

美帆「次は、この道を右に曲がって下さい。」

涼「ここを右・・・・っと。」

花桜梨と涼は、美帆の占いで安全な道を選んでもらい順調に進んでいた。

花桜梨「白雪さん・・・,今頃みんなどうしているかしら・・・?無事に帰ることが出来るのかしら・・・。」

美帆「大丈夫ですよ,八重さん。きっと皆さん全員で帰ることが出来ますわ。」

花桜梨「そうだといいんだけど・・・。一人でいる竹内君の事がどうしても気になるの・・・・。」

涼「あいつなら、平気さ。」

涼があまりにもあっさりとそう言ったので、花桜梨は驚いた顔で涼に聞き返した。

花桜梨「どうして?」

涼「竹内はああ見えてもやる時はやる奴だ。それに、あいつは結構運もいいからな。きっと、また合流出来るさ。」

花桜梨「・・・そんな!・・・・・そう・・・そうだよね。」

花桜梨は、随分と無責任に安易な事を言う涼に対して一瞬反感を覚えたが,きっと自分を元気付ける為に言ってくれたのだと思い直した。

涼「それより、あれからかなり歩いているけど、まだこの施設からは出られないの?」

美帆「ええ・・・。さっきから占っているのですが,出口までは、まだしばらく歩かないといけないみたいです。」

涼「そうか・・・,まったく、とんでもない所に連れて来られちまったな・・・・・。」

涼が苦い顔をしながら文句を言う。その時,急に美帆が歩くのを止めて、表情が険しくなった。

花桜梨「白雪さん・・・?どうしたの?」

美帆「・・・・いけません!向こうから私たちに敵意を持つ者が近づいてきます!早くどこかの部屋に隠れないと!」

涼「!?何だって!?まさか・・・,ハンターとか言う奴らが来たって事か?」

美帆「恐らくそうだと思います・・・。このままでは、私たちは揃って狙われてしまいます!」

花桜梨「そこに部屋があるわ!」

涼「よし!早くそこに入って隠れるんだ!」

花桜梨たちは近くにあった部屋に急いで隠れた。部屋の中は思ったよりも広く,どこかへ通じていると思われる通路が2つあった。

花桜梨「ここから更に通路がある・・・。どこへつながっているのかしら・・・・?」

涼「さあな・・・,とにかく今は通路よりもハンターに見つからない様に隠れるのが一番だ!」

花桜梨「そうね・・,でも、何処に隠れたら・・・・。」

花桜梨は室内を見回してみたが,まったく隠れるに適した所が見つからない。

そして、部屋の前には歩く武器庫のような姿をした、『ウェポン』が来ていた・・・。

ウェポン「確かこの辺りで声が聞こえたが・・・。何処に隠れやがった・・・?この部屋が怪しいな・・・。」

『ウェポン』は、ドアノブに手を当てるとゆっくりと回した。そして、少し開いたドアをアサルトライフルの銃口で押し開けると中に入った。

ウェポン「ちっ!ここにもいないか・・・・。どこに行きやがった・・・、あのガキどもめ・・・!」

室内を見回しても誰もいないと見て取ると、『ウェポン』は荒々しく足音を立てて部屋を出て行った。

そして、今開けっ放しになったドアの裏側には・・・・。

花桜梨「もう・・・,大丈夫みたいね・・・。」

涼「い,今のがハンターって奴かよ・・・。何て物騒な物を持っていやがるんだ・・・・。冗談じゃないぜ・・・全く・・・!」

美帆「これで、しばらくは戻ってこないと思います・・・。今のうちにここを離れましょう。」

三人は、入り口のドアの裏側に隠れていて、何とかハンターの目をごまかす事が出来た。意外とドアの裏と言うのは盲点なのだった。

涼「でも、何処に行けばいいんだ?下手に歩き回ったら、またさっきの奴と鉢合わせするかもしれないぜ。」

花桜梨「そうね・・・,あっ!そうだ!私、携帯電話を持っているわ!それで外部と連絡を取ってみましょう!」

美帆「そうですね。携帯電話なら私も持っていますから、花桜梨さんが竹内さんに、私は警察に通報してみましょう。」

涼「よし、俺も携帯は持っているから、俺は匠や純たちにかけてみよう。」

花桜梨たちは、それぞれ別々に連絡をとってみる事にした。

美帆「・・・・駄目みたいですね・・。警察だけではなく、私の家にも繋がりません・・・・。」

涼「その事なんだが・・・,匠や純たちも同じように外部と連絡を取ろうとして失敗したらしい。」

花桜梨「・・・・・・。」

美帆「八重さん、どうしたのですか?」

美帆の質問にも、花桜梨は黙り込んだまま、一向に一言も発しない。

涼「八重さん、竹内に何かあったのか・・・?」

花桜梨「竹内君も携帯電話を持っているはずなんだけど、さっきからちっとも出ないの。呼び出してはいるみたいなんだけど・・・。」

涼「・・・・どこかに携帯を落としたのかもしれないな。」

花桜梨「どうしよう・・・,もしそうだとしたら竹内君だけ誰とも連絡を取れないって事になる・・・。」

涼「とにかく、まだそうと決まった訳じゃない。しばらくしたらもう一度かけ直そう。」

花桜梨「うん・・・。」

花桜梨が竹内のことを心配している頃、彼は電話に出たくても出られない状況にあった・・・・。

 

<第四話・完>

                                    (第伍話に続く・・・。)

 

あとがき

どうも、ATFです。ここまで書いて、かなり竹内君には損な役回りを与えているなって思いました。(苦笑)

そして、竹内君と純にライバルとしてオリジナルキャラ(うち一人は友情出演)を登場させて、人間関係を複雑にしてみました。

このSSは単純にハンターたちとの戦いを書くだけではなく、仲間同士での精神的な衝突、絆等を表現したかった訳でして、それにはどうすればいいのか?その結果がこれです。(^^;)

次回は今回出番が無かった、一応(笑)主人公の竹内君に出てもらいます。

お楽しみに〜♪

 

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