8日目




<んな〜月んな〜日>



「そうか・・・その犬公帰っちまったのか・・・・・」
「うん・・・・・また友達が減っちゃった・・・」
「くそっ・・・・俺の舎弟にして、なゆきたんの下着とか持ってこさてやろうと思ったのに・・・・」
「ジョニー、近頃変態化してない?」

 ここはジョニーの住処。ドラム缶の中なので、なかなか暖かくて快適だ。

「バーロー!好きなメスの物のひとつやふたつ独占したい気持ちが無ぇなんざぁ、オスの魂が泣くってモンよ!」
「そ、そんなもんなのかなぁ・・・」

 ジョニーは相変わらず明るいやつだった。
 というより、以前にもまして彼なりにレベルアップしているような・・・?
 そう考えていると、突然土管の外から他の猫の姿が現れた。

「あ、兄貴ィ・・・・・・」

 彼の名はブリッツ。真っ白な毛が特徴の猫だ。

「おう、ブリッツ・・・・・ってどうしたんだそのケガは?!」

 やってきた猫のお尻は真っ赤になっているぐらいにひっぱたかれていた。

「た、たいやき屋のオヤジにやられちめぇました・・・・・」
「なにぃ!?・・・・まさか・・・・・・」

 そう言ってジョニーは頭を抱え込んでいた。

「たいやき屋がどうかしたの?」
「ああ・・・・厄介な事になっちまった・・・」

 あのジョニーがここまで落胆するということは、相当な痛手を被ったらしい。

「俺たちにとって、あのたいやき屋のたいやきは格別な味をしていてよぉ、よく盗みに入っていたんだがな・・・」

 そういえばジョニーはこの間、僕をたいやきの盗みに誘おうとしていたな。
 結局あの時以降、一度も実行に移せずに立ち消え状態になっているけれど・・・・・

「あのオヤジときたら、あっしたちを侵入させないために最近になってスゲェ警備装置をつけてきやがったんだ」

 座り込んで自分のお尻をなめて応急処置していたブリッツがそう言った。

「警備装置!?」

 僕はびっくりした。
 たかだか僕たちみたいな猫のために警備装置までつけるとは・・・・・

「この付近の猫たちがその『要塞』ともいえるたいやき屋になんども侵入を試みたんだが・・・・・みんなやられていったんだ・・・・・」

 そう言ってブリッツはがっくりと肩をうなだれた。

 そういえば、最近すれ違うほかの猫たちのほとんどはお尻が真っ赤にはれていたような・・・

「・・・・・・・なぁ、ぴろ公」
「どうしたのジョニー?そんなマジメな顔して・・・・・」
「俺たちで散っていった猫どものカタキをとるぞ!」
「・・・・・・ってまさか・・・・」

 僕は少しギクッとした。
 間違いない・・・・・次にジョニーがいう言葉は・・・・・

「俺たちでたいやき要塞を攻略するぞ!」

・・・・・・・予想が当たってしまった・・・・・

「えええええっ!?僕ムリだよ〜!今回ばかりは無謀すぎる!」
「バーロー!俺たちは絶対不可能と言われた死線を一緒にくぐり抜けてきた心の友じゃねぇか!」
 確かに僕は野良猫時代、ジョニーと何度も危険な目に遭遇してきた・・・・・・・・・・・・ジョニー自身のせいで。
 魚市場から高級マグロ1尾まるごと盗もうとして、一緒に冷たい海に落っこちたり、
 おいしいものを人間からねだってもらおうと金持ちそうな人を尾行していたら、保健所の人間にとっつかまりそうになったり、
 上流の川にいる旬のサケを採ろうとしたら、激流に流されて死にそうになったり・・・・・・

「って微妙に死線をくぐり抜けていないような・・・・・・」

「ち、違う!今までのはただのイージーミスだ!今回は俺もビシッとキめてみせるからよ!」
「けれどさすがに僕たち2匹だけじゃ・・・・」

 僕がオロオロとしていると・・・・

「ならばあっしが同士をかき集めてやりましょうか?」
「・・・・確かに。多勢に無勢ってもんだな」

 突然のブリッツの判断にジョニーがうなずいた。
 たしかに数がたくさんいれば心強いしね。

「ぴろ公、決戦の日は明日の昼だ。同胞集めは俺たちがやるから、お前はさっさと帰って、体調整えとけ」
「うん、わかった。」

 今日のジョニーとの会話はこれでお開きになった。

 そして今僕がこうやって日記を書いている時間が10時。
 そろそろなゆきさんが眠ってもいいころだ。
 僕も明日に備えてそろそろ寝ようと思う。
 明日になったら、どんなドキドキとワクワクが生まれるのか楽しみだ。


・・・・・・というか今日の日記はあまり書いてて面白くなかったなぁ・・・・・・


 続く     

                                   9日目ヘ続く



あとがき


・今回は『作戦会議』みたいな感じで相当地味〜なお話になってしまいました。ゴメンナサイ・・・・・・。
 しかもこの間の次回予告をおもいっきりすっぽかし、しかもKanonキャラがぴろだけという、ある意味とんでもねぇ作品を作ってしまいました(滝汗

 次回こそはちゃんとあゆとオヤジを出すので、私を見捨てないでください。

 ・・・・・・あ、そこのあなた、石を投げないで。

 石じゃないからってパイナップル(手榴弾)とか石の入った雪球とかも駄目ッスよ?


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