4日目
<にゃ〜月にょ〜日>
相変わらずまことさんは就職活動が忙しいようで、全く僕をかまってくれなかった。
もとい、僕が頭の上に乗っているといろいろと面接で不利な状況が起こるらしい。
今日は日照りがいい。
こういうときは公園に出かけるに限るよ。
この公園は噴水がとても綺麗。僕のお気に入りのところだ。
僕は人がたくさんいるようなところは大っきらいだ。
けれど、この場所はあまり人がいないから、とてものびのびとすることができる。
僕は木の陰のところに座った。
噴水を見ながら色々と考えてみる。
これからのこと、今日のこれかからの生き様、ジョニーとなゆきさんの今後の展開、真琴さんの仕事がどうなるか・・・・・・
・・・・そして犬との付き合い方・・・・
話によると、猫と犬は昔から醜い争いをしてきたそうだ。
そして今でもその争いは絶える事が無かった。
ジョニーの話によると、この抗争は映画にもされたそうだ。なんでも犬と猫がそれぞれの組織を作ってド派手に戦うらしい。
その映画は犬も猫も軍事会議があるらしいけれど、現実ではそこまでの団結力なんて無い。
猫同士でも縄張りを争ってケンカすることがあるから。
そんなことで、僕の友達の猫はジョニーしかいない。
・・・・なんだかさびしい・・・・
そんな気持ちがしていたそのとき、向こう側の芝生に何かが座っていた。
緑のじゅうたんの上にペタンと座るぬいぐるみみたいなモコモコした動物。
目はとても小さく、口から舌を少し出していて、とても優しそうな顔だ。
耳やしっぽが付いている。
体は真っ白でまるでまとめられた毛糸のようだ。
間違いない、あれは犬だ。
けれどこんな白毛玉のような犬は今まで見たことがない。
ならば、友達になれるのかな?
犬と猫が仲良くするなんて僕たちの世界ではタブーとされてきたことだけど、僕はその非常識を壊すことで猫界の新たな英雄になれるかもしれない。
何よりもまた1匹かけがえのない友達ができる。
だから僕はこの毛玉君の方へと近づいていった。
もちろん警戒を緩めることはなかった。いきなりガブッて噛み付いてきたら困るからね。
犬の3メートル手前で止まって相手の様子を探った。
見る限り凶暴な野良犬ではなさそうだった。むしろこのやさしい顔つきは飼い犬の証拠。
だから僕は声をかけた。
「やあ、何してんの?」
僕だって少しは犬の言語は解かる。だからいくらでも話せばきっと友達になってくれるだろう。
そしてその白い毛玉君はしゃべりだした。
「ぴこぴこ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぴこぴこ?
「ぴこぴこ、ぴこ、ぴこぴこ」
こんな犬語なんてあったっけな?いや、もしかしたらこれが今の犬界の流行語なのかもしれない。
いや、言葉がわからなくても顔の表情や体の動きで心境を読み取ってやるぞ。
そう思っていたその時。
ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・
どこからともなく腹の虫。
というより、この犬が鳴らしたみたいだ。
「あれ、キミお腹すいてるの?」
「ぴっこり」
あ、今まともな会話ができた。
「じゃあ僕の家まで来てよ。すごく料理が上手な人がいるんだ」
「ぴこ〜」
「ぴろちゃん、おかえりなさい・・・・・あら?お友達ですか?」
毛玉君を連れて帰ると早速あきこさんが質問をしてきた。
「うん。この白い犬、お腹が減っているみたいだから・・・」
「ぴこぴこ」
「あらあら、そうですか。わかりました、何か作ってあげましょうね」
このお方は本当に猫の言葉をわかってらっしゃる。
・・・・やはりあの謎めいたジャムの力なのかな?
数分経つとあきこさんがごはんを持ってきた。
それを見てしっぽを振りながら喜ぶ毛玉君。
「残り物ですけれど、よろしいですか?」
「ぴっこり」
残り物といいつつも、しっかりと調理されている。
床に置かれた料理に毛玉君はいきなり飛びついた。
そして夢中で食べていく。
猫である僕たちからすれば結構な量だったのに、わずか1分足らずでたいらげてしまった。
僕よりも少し大きい体なのに、胃袋はデカいみたい。
彼は食べ終わるとすぐに床の上で横になってしまった。よっぽど疲れていたのだろう。
「秋子さん、犬拾ったんですか?」
2階から最強のエロオヤジが降りてきた。
「ちがいますよ祐一さん、ぴろちゃんの友達みたいです」
「ほほー、お前が犬と仲良しとはな・・・・意外だったぞ」
そう言って僕の頭をなでてくるゆういち。
「やめてくれ、エロがうつるって!」
そう言って必死にもがいてみる。
「体なんかこすりつけちゃって・・・そんなに気持ちいのか、コノコノ〜」
そう言って今度は両手で僕の体を触ってきた!
(誰か、助けてよ・・・・このままじゃ僕、ゆういちに洗脳される・・・・)
そう思っていたら今度はなゆきさんがやってきた。
「祐一、どうしたの?そんなに騒いじゃって・・・・」
「おお、名雪か。見ろよ、ぴろの友達だってさ」
「わぁ、犬さんだ〜」
そう言って毛玉君を抱きしめる。
「名雪、お前大丈夫なのか?」
「猫アレルギーは犬さんには関係ないんだよ」
そう言ってニコニコしながら毛玉くんを抱きしめたままでいる。
「ふわふわでかわいいっ」
「ぴこ〜」
今度はほおずり。ううっ、僕あんなのされた事ないのに〜・・・・・
僕がうらやましい目でなゆきさんを見ていると・・・
「ははっ、お前あの犬がうらやましいだろ?」
!!ゆういちが僕の心を見透かしただとっ?!
「・・・・俺もああいうのされた事ないんだ・・・」
・・・・ゆういちも同じ心境だったのか。
「・・・・・だからな、モテない俺たちも一生懸命生き抜こうな」
そう言ってまた僕の頭をなでた。
・・・・・・・・・・・・なんだか一瞬だけ心がひとつになったような気がする。
「あぅ〜、今日も面接ダメだった〜・・・・・」
そう言いながらまことさんが帰ってきた。
「お母さ〜ん、ただいま・・・・・・・・・・・・・あれっ!?何で犬がいるの?」
まことさんもすぐに毛玉君の存在に気づいた。
「ぴこぴこっ!」
奇声を発すると、毛玉君はまことさんの頭の上に乗っかってしまった。
「わわっ、重いよ〜〜!」
「ああっ!僕の特等席になにするんだよっ!」
そういって僕は猛抗議をしたけれど・・・・
「でも、フサフサしてて気持ち良いから、いっか。」
ガーーーーーーーーン・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・そこ、僕だけの場所だったのに・・・・・
毛玉君・・・もしかしたら僕の地位を剥奪しようと企んでいるのか?
近頃の犬は猫に劣らずの戦略家が増えたんだなぁ・・・・・お兄さん、おどろいちゃったよ。
続く
5日目ヘ続く
あとがき
・うわっ!今回の作品インパクト無ぇ!!(滝汗
やはり製作しながらKanonのラジオドラマCD聴いていたのが響いたのでしょうかね
(自爆
はい、今回はAirで大(?)活躍していた霧島ポテト君が乱入です。
というわけで(?)、今回は緊急企画ということでポテトにインタビューいってみよー。
・・・・あ、決して作中ネタが無かったからここで埋め合わせるってワケじゃないですよ?
RAIZEN伍長「ポテトって一体何歳なんだ?」
ポテト「ぴこぴこ」
RAI伍「(無視) ふむふむ、それでお前は女、もといメスはいるのか?」
ポテト「ぴこ〜」
RAI伍「(流す) で、今はその言葉遣いがマイブームなのか?」
ポテト「ぴっこり」
RAI伍「(少し納得) そうそう、お前にはなんか俺のガッコ内である疑惑が浮上しているんだが・・・」
ポテト「ぴ、ぴこっ?!」
RAI伍「お前、元ネタはクレヨンしん●ゃんの『シ●』なんだろ?」
ポテト「ぴ、ぴこぴこぴこ〜・・・」
RAI伍「ふん、言い逃れなど無駄だ。逃げたところで俺のバックにはミスリル部隊所属の相良宗介軍曹が・・・・・・」
秋子さん「あの、伍長さん・・・・?」
RAI伍「秋子さん、いま取調べ中です。お引取り願えますか?」
秋子さん「オチない話に意味はあるのでしょうか?」
RAI伍「煤iT□T)」
・・・・・終われw
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