1日目
<にゃ〜月だお〜日>
今日もなかなか目覚めのいい朝・・・・・・・ではなかった。
となりで寝ていたまことさんがいきなり「あぅー!」という悲鳴を上げて起きてきたから。
そして「こらー!ゆういちー!」とか言いながらあのエロオヤジの縄張りへと入っていく。
僕も彼女の後を追っていると大きな衝撃音と共にこんな会話が聞こえた。
「いってぇ!なにするんだ!」
「うるさいわね!私の寝ている間にこっそり侵入してパジャマの中にこんにゃく入れたのはあんたでしょうが!」
「ああ、それか。真琴のところに夜這いをかけた時にお前『あぅ〜、お腹すいた〜』とか寝言言うからわざわざこんにゃく持ってきてやったんだぞ」
「悪さした事認めたわね!絶対許さないんだから!」
そしてまた激しい戦いを物語るかのように、ゆういちの部屋から大きな音が断続的に聞こえた。
その会話の一部始終を聞いた僕は怒りを覚えた。
ご主人であるまことさんに悪さをするとは・・・・ゆるさない・・・・・
月に・・・・・・違った、彼女にかわっておしおきしてやる!
結局今日の時間は「イジワルエロオヤジゆういちをおしおきするためのプラン」なるものを作るのに全てを費やして、そのまま夜になった。
「秋子さん、おやすみなさい」
その声と共にゆういちが上がってきた。
そして眼を手でごしごししながら自分の部屋の中へと入っていく。
でも僕はすぐにヤツの部屋の中へは入ったりしない。完全に眠りについてからでないとこの作戦は実行する事ができないのだから。
・・・20分後・・・
そろそろ敵は眠ったころだろう。僕は作戦を開始した。
まずはドアノブに前足をかけて・・・・・・・・って、全く前足が届かない。
ドアノブは僕の目線よりもはるかに上の部分にあった。
ジャンプしてドアノブに前足をかけようと何度も跳ぶけれど・・・・・やっぱりだめ。
そうだ、気を集中するって前にテレビか何かで言っていたっけ。それを試してみよう。
ハァァァァァ・・・・・・体中の全ての気が後ろ足へ集中するのをイメージして・・・・・
「にょわ!」
っていう奇声と共に大きく跳んだ。すると見事に右前足がドアノブに引っかかる。
ガチャ
その音と共にゆっくりとドアが開いた。第一の難関は突破したんだ!
しかし僕をよせつけないためにこんなもので入り口をふさぐとは・・・・。ゆういちはなかなか防御的なヤツだなぁ。さすがは僕の宿敵。
ゆういちの部屋に侵入。
僕は二つの道具を部屋に持ってきた。その二つとは「くちべに」と「油性マジック(黒)」。(マジックはリビングに転がっていたのを口でくわえて持ってきて、くちべには誰のかは知らないけれど、洗面所にあったから勝手にとってきたんだ)
僕は宿敵・ゆういちの顔を見る。どうやら完全に寝ているみたい。
くちべにを口でくわえて、ゆういちの顔のに近づいた。
両前足でくちべにをはさみ、ゆういちの口のまわりにベタベタと塗りつける。
20秒であっという間に気持ちの悪い顔が出来上がった。
けれど僕の怒りはこれでは収まらない。
一度ベッドから降りて今度はマジックを口にくわえる。
またゆういちの顔に近づいて今度は何をしようかと考えた。
そういえば、まことさんとなゆきさんとゆういちで夕方のアニメ見ていたような・・・。
たしかそのアニメキャラはねじりはちまきに腹巻きをして「バカ●ンのパパなのだ〜」とか言っていたような・・・。
よし、そのアニメキャラのヒゲを描いてみようかな。
キュ、キュ、キュ〜。
よし、できた。
確認のためにもう一度ゆういちの目に注目する。
ヤツ目は閉じて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いなかった。
というかむしろパッチリと開いている。
なんで?なんで開いているワケなの?
ギョロっと僕の方を二つの目玉がにらみつける。
それと同時にゆういちは片手で僕の首根っこをつかんだ。
「・・・・・・・・・・真琴だと思っていたが、まさか犯人がぴろだったとはな・・・・・・」
低い声で言うゆういち。もしこれがマンガだったなら、後ろに『ゴゴゴゴゴ・・・・・』という文字が付いてもおかしくないかも。
「子猫のクセに器用なのはわかった。だが、貴様はそれを駆使する方向が間違えていたようだな・・・・・・」
僕が「離せ!離せコノヤロウ!」と叫んでジタバタしても相手はびくともしない。
「にゃーにゃーうるさい!ちょっと頭を冷やして来い!」
そう言ってゆういちはもう片方の手で窓を開け、僕を力いっぱい放り投げた。
ぐるぐると回転しながら夜空を飛んでいく僕。あはは・・・他の猫たちが豆粒のようだぁ・・・・。
お父さん、お母さん、今僕は北の国で、憎き相手からオーバースローで投げられたわけで・・・・、その飛距離がたったいま約200ヤードを超えたわけで・・・・・
続く
2日目ヘ続く
あとがき
・おっ、なかなかギャグ路線を走っているいい作品ができました。ちょっと満足です。
ちなみに他人の会話の中では人の名前は漢字なのに、会話以外では平仮名であることについてちょっと解説入れておきます。
もともとこの日記は秋子さんが解釈したことにしていますので、秋子さんが猫らしいかわいさを出すためにこんな風に平仮名にした、ということです。
あと、日付は最後に書くと見づらいので、一番初めに書くことにしました。
それではまた今度!
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