第六話(作者・月本 樟さん)




 遊園地の西にあるアイス屋で買ったソフトクリームを持って、栞の待ってるベンチに戻る。

「ほら。ソフトクリーム」
「ありがとうございます。裕一さん」

 満面の笑顔で俺からソフトクリームを受け取る栞。
 はしゃぎすぎたのか少し疲れた顔をしている。

「裕一さんは食べないんですか?」
「俺は甘いものが苦手だからいいよ。それに・・・・・・」
「それに?」
「俺は栞の笑顔だけでおなか一杯だからな」

 見る見る間に顔が赤くなってゆく。

「えっ。わっ。そんな」

 照れてる時の栞は可愛い。
 そんな栞が見たくてついからかってしまう。

「ゆっ、祐一さん。冗談ですよね」
「もちろん本気だ。俺は栞の笑顔だけで生きていける」

 真顔で答えてはいるが、我ながらかなり恥ずかしいセリフだと思う。
 でも、今日はとことん栞を照れさせるつもりだから、まだまだクールでいないと。

「・・・・・・・・・・・・・」

 まっかになってうつむいてる栞を尻目に話を続ける。

「ずっと言おうと思ってたけど。栞は俺の最高最愛の彼女だ」

 そう言って栞の肩を抱き寄せる。

 栞はまっかになって、ソフトクリームをにぎったまま固まっている。

 俺の顔だって真っ赤だろう。こんなセリフは生まれて初めていう。
 恥ずかしく無いわけない。
 もちろん本心ではあるが。
 それに、今こうやって栞と一緒にいられて素直に幸せだと思う。

 そして、二人が身を寄せてからどれだけ時間がたっただろう。
 栞がポツリとつぶやいた。

「ゆういちさん」

 顔をあげた栞が俺を上目遣いで見つめる。

「わっ、私にとっても裕一さんは最高最愛の彼氏ですよ」

 まっかになりながらもお互いの目はあったままだった。
 こんなに照れた栞を見るのは初めてだった。
 自分がこんなに照れるのも初めてだった。

 いつかの噴水での出来事が頭をかすめ・・・・・・・・・・

 ゆっくりと栞の目が閉じられていく。

 俺は栞の顔を両手で包むように持ち。

 自分の顔を栞の顔に近付けた。

 そして、二人の唇と唇が重なろうとしたまさにその時・・・・・

 後ろにある薮から何かが飛び出してきた。



 続く     

                                   第七話ヘ続く





あとがき


 初めまして。月本 樟です。
 実話を元に書きましたが大分長くなりました。すいません。
 次回も頑張るつもりなんでよろしくお願いします。



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