リヨン

  パリのリヨン駅からTGVで2時間ほどでリヨンへ着くと書くと、 人をおちょくるのかと言われそうだ。我が国などとは違い、パリ市には、 方面別に5つだったか6つだったかの始発駅がある。相互に結ばれてい ない奇妙な交通システムだ。リヨン駅は南フランスへの出入り口になっている。 フランスにはフランスなりの理屈はあるのだろうが、旅人には不便きわまりない 。新幹線開業当時には、東海道、東北方面の始発駅は違っていた。それが不便 だから我が国では改善し、乗客の便宜を計った。フランスの名誉のために一言 付け加えておくと、パリの北方に位置するドゴール空港から南フランスへの 直通列車が最近はできている。面倒な乗り換えを強いていては、お客に逃げ られることを悟ったのであろうか?

  さて、パリからの列車の到着駅はリヨン駅ではない。パール・デュー駅か ペラーシュ駅なのでわかりにくい。時刻表を見るとどちらか一方に止まるように なっている。これも不便なことだ。リヨンはフランス第二の都市という。駅へ 着いた印象は、もっと小さい街という感じだ。地下鉄は縦横に走っていて便利 である。パリなどに比べると新しい感じだ。2本の川が南北に流れ、右側の ローヌ川はスイスのかの有名なレマン湖からのものだという。1日だけの 観光目的の宿泊ならば、地図の上で左側を流れるソーヌ川の左の地域(旧市街)か、 真ん中(プレスキル--2本の川が南下した後合流するので半島というらしい) がよい。右側は新市街なので見るべきものは少ない。

  観光はプレスキル地区の中心に位置するベルクール広場から始めたい。 かなり広い領域を持ち、周りの風景は美しい。観光案内所が東の端にあり、 地下鉄の駅もある。西側にフールヴィエールの丘が真正面に見える。公園からは、 リヨン一の繁華街(レビュブリック通)が続き、これはかなり長い。1kmも あろうか。専門店やブティックが並ぶか、土産物を買うのは止めた方がよい。 パリの方がやはり優れている。ウインドウショッピングが好きならば、観光 案内所の裏手の通りにもいろいろあるが、購買意欲をそそるものはない。

  やはり観光の中心は、旧市街なかんずくフールヴィエールの丘であろう。 高いところへ上がるとすべてがお見通しになる。麓のサン・ジャン駅から ケーブルに乗る。隣接している地下鉄の駅名は、ヴュー・リヨンというのだから ややこしい。ものの5分ほどで終点につく。
大きな寺院がそびえている。クリーム色のきれいな建物で、ノートルダム・ フールヴィエール寺院というそうだ。夕日に映える景色は美しい。少し歩くと ローマ劇場の入り口につく。紀元前の建造でフランス最古の劇場だそうだ。 当日は催し物があり入れなかったが、シーザーの時代を彷彿とさせるほど 見事なものだそうだ。残念!。時間があれば歩いて下るのも楽しいが、 お急ぎの方は再びケーブルに乗ろう。下り着いたところにも大きな教会がある。 サン・ジャン大司教教会という。これもかなり立派な教会だが、前庭が狭く、 全体を写真に入れるのが苦しい。
  このあたりの小道を練り歩くのが旧市街散策の楽しみだろう。小さな レストランが軒を連ね、どこで食べてもそこそこの味がする。さすが美食の都 リヨンだけのことはあるわい、と納得する。なにしろ5ツ星のシェフ、ポール ボキューズの店があるところだから。

それでは夕食を食べに行こう。宿泊したホテルはベルクール広場に面した 古風なものでホテルロイヤルといった。そのすぐ近くにラ・シュッド(La Sud) というレストランがある。これはボキューズ系のレストランだそうで、 予約なしに行くと路上の席しかとれないほど繁盛しているが、それほど高くは ない。納得する値段で食べさせる。われわれはご覧の通り路上のテント席だった。

  ホテルロイヤルは古い建築で、内装もかなり古風だが、サービスはよい。 交通至便の位置にあるし、なかなかのホテルだと思う。地方へ来たら、アメリカ式の ホテルを止めて、大きな重い鍵を渡されるこんなホテルが好ましい。


グルノーブル をのぞきたい方はどうぞ


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