シルバーウィング全方位徹底検証 

  16.4.12   21000キロ走破

足つき性はどうだ

180センチの私の両足がべったりついて膝が曲がる。スクーターとしたら、シート位置は高いと思うが、ステップに切り欠きがあるために足つきはよい。たいていの人は、間違いなく両足がつくので、230キロ近く重さがあるが、転倒する心配はほとんどない。重さという点では、重心が下にあるため、実感として重いと感じたことはない。

ライポジはどうだ

排気量が大きいわりには、シートとハンドルの位置が近い。これは、前に乗っていたスカイウェイブ400に比べても近い。スカイウェイブ400は、ふんぞりかえったらハンドルに手が届かなかったが、このバイクは届いてかつ腕が曲がる。本当に近い。だから、ミラーの位置も近い。その分だけ首を左右にふる必要が出てくる。

 女性が乗っても、シートの背もたれの調整も含めて考えるなら全く問題がない。ハンドル位置の近さは、原付なみと言えばわかっていただけるであろう。高速で体をふせてみようとしても、このスクーターでは体を伏せることができない。足のステップ位置はけっこう下の方にあるという感覚である。いすに腰掛けた感覚とでも言おうか。

上半身がまっすぐ立った殿様乗りで、そのままハンドルが握れる。腰がいたくなったり、手のひらがうっ血するようなことはない。ライポジに限って言えば、非常に疲れの少ない姿勢で運転ができる。

防風効果はどうだ

大型スクリーンを備えているため、体に直接風があたることはない。しかし、完全ではない。多少なりとも巻き込み風の影響は受ける。後ろからの巻き込み風の影響は受けるが、ウェアの腹が常にふくらむようなものではない。両腕の袖はばたばたとするが、肌に痛いほどのものではない。風の影響は、ほどほどのものである。

気がつきにくいのが、下半身。特に、足、膝は直接風があたることがないので、冬は助かる。靴下から風が入ることもない。下腹付近には、風が全くあたらない。

動力性能はどうだ

600CCであるから、あらゆる場面で必要なレベルを超えている。ただ、発進からぐいっとアクセルをひねった場合、時速70キロまでは前のスカイウェイブ400の方が早かったような気がする。ただ、80キロくらいから140くらいまでは、さすが600と思わせるものがある。あっという間に加速してしまう。600であるから、燃費を気にしなければ、あらゆるスクーターより速いことは間違いない。スカイウェイブ400では100キロを維持しようとすれば、アクセルは2分の1ほどひねらねばならなかった。しかし、このバイクは、10ミリか15ミリでその速度に達する。少なくとも、動力性能を問題にする必要のないバイクと言えばおわかりいただけるであろうか。

町中のストップアンドゴーでは、クラッチがない分だけ負担が少ない。発進時にエンジンの回転があがるので、ややうざったい。

安定性と制動力はどうだ

どの本にも書かれているとおり、低速ではハンドルがゆらゆらする。まるで自転車のまえかごに荷物をつんだような状態である。逆にこのことが、Uターンでは曲がりやすい癖にもつながる。直進安定性は、抜群である。前のスカイウェイブ400も安定性は高かったが、甲乙つけがたい。高速ではやや振動が多いことを除けば問題はない。特に高速で不振な挙動をしたといったことは一度もない。どっちりとひたすら走るといった具合である。重さがある分だけ、グリップはしっかりしている。路面のでこぼこで跳ねても、不安定な感じはしない。90キロから110キロくらいの間は不思議と振動がすべて打ち消されたかのごとく、振動がきわめて少ない。

すり抜けはしやすいが、ミラーの幅があり、ちょうどワンボックスカーのミラーと高さが同じなので注意が必要である。車高が高いので、歩道のわきを走っても少々の段差ならこすらずに走れる。

カーブで思い切り倒し込むと、後輪が滑っている感覚に陥るときがある。おそらく、車体フレームの剛性がないため、一瞬フレームがゆがみ、あとから後輪がついてくるような感じである。

制動力は、自転車のブレーキの感覚である。相当力を入れれば止まる、という感覚である。ということは、ちょっと握ったらロックしてしまったなんてことは絶対にないというような制動力である。個人的にはもう少し神経質に効いてもいいと思うが、強く握ってもロックしないという点では、万人向けのセッティングと言える。逆に言うと思い切り握らないとロックしない。

計器類はどうだ

メーターの視認性はよい。液晶の油量計は、かなり正確であり、燃料の残量がほぼ予想と一致する。バックライトのついた液晶は、前にスカイウェイブ400より明るく見やすい。計器類の豪華さでは、マジェスティに一歩劣る。ただ、これはどのメーターにも言えることだが、「6」と「8」の区別がわかりにくい。一瞬見ただけでは間違う。何とかならないものだろうか。

スポーツ性はどうだ

もとよりスポーツ性を期待するバイクではない。しかし、倒し込めばけっこうその気にさせてくれるバイクである。ただ、どちらかというと立ちたがる車体であるのでハンドルを押さえ込んでこらえなければならない。このあたりは、けっこうおもしろいところかもしれない。

荷物積載性はどうだ

これは、スクーターの中でも最も優秀な部類に入る。マジェスティやフォルツァはシート下のトランクが完全な箱ではない。前に少し入って、後ろにたくさん入るという感覚である。途中は浅い部分になっており、深さのない部分である。完全な箱形になっているのが、スカイウェイブと我がシルバーウィングである。そういう意味では、優秀であると思う。毎日、通勤カバンを入れてまだティッシュの箱が4つくらい入る。ホームセンターで衝動買いしても、まずきれいに入る。フロントトランクは、左がかなり大きくカッパが入る。右は、チケットボックスとなっている。

燃費はどうだ

通勤でリッターあたり15.5キロほど。ツーリングで18キロほどである。グランドマジェスティ250でリッターあたり20キロを考えれば、まずまずと言える。タンクは16リットルで、けっこう多いと感じている。