ベランダホイップ奮闘記
コメット UHV-6
BY JA3NCD タイトルへ
UHV-6 奮闘記 2012.9.19-9.21 -9.23-24
2013.2.11改訂
2013.3.3 またまた改訂 3.5メガエレメント追加
2013.3.8 21用ラジアル追加
2013.5 大発見 追加
2016.1 アンテナアナライザを買って調整した
UHV-6についてのまえがき
1.エレメントの長さ
このアンテナは、デッドオアアライブである。つまり同調するかはずれるかという、ラインが極めて微妙である。
まず、エレメント1ミリで共振点は以下のように変わる。
3.5メガ・・・・・1khz
7メガ・・・・4khz
14メガ・・・25khz
21メガ・・・35khz
28メガ・・・50khz
だから28のエレメントを1センチ切れば500khz動く。共振点が見つからなくても少しずつ切っていけば、突然共振点が現れる。また、取り付けの部分で約15ミリほど出し入れができるので、そこまでうまく追い込み調整するとよい。いったん固定すると共振点が動くことはなく、使いやすい状態が続きます。
7メガはメーカーのデータではSWR1.7以下には下がらないとされていますが、私はていねいに調整し、SWR1.0にしました。エレメントは最後は1ミリの出し入れで調整すると覚悟し、ていねいに時間をかけて行うとよいと思います。
2.雨が降ると
雨がふるとどのバンドも20khzか30khzほど共振点が下がります。だから晴れの日に、ここと思う所よりやや高めに共振点を決めていけば晴れでも雨でもいけます。少々のずれはアンテナチューナーでカバーできています。
3.エレメントの扱い
エレメントは本体を持って強くねじ込むとコイルが中で切れることがあります。扱いは丁寧に。
4.アンテナの角度
私は前傾60度から完全垂直にしましたが、角度によってエレメントの長さはかわります。水平から垂直にすると何ミリか短くしないと同じ周波数で共振しません。
UHV-6 奮闘記
平成24年9月
無線を再開し、無線機も買ったら、次はアンテナの整備をせねばと思い、いろいろと検討した。結局コメットの4バンド対応アンテナUHV-6を購入し設置することとした。このアンテナは、調整しながら各バンドのエレメントを切っていくというものである。当然切りすぎるともとには戻らない。
特に7メガの調整は難しい。まずベランダに設置したが、大地となるべきラジアル等をつけねばならない。当初は10メートルのラジアルをつけた。しかし、うまくいかない。この状態でエレメントを切りすぎたことに気がついた。
このアンテナには予備のエレメントがついているので、2本のエレメントを重ね軽く圧着して先っぽのエレメントを出し入れできるようにした。これでもなかなかうまくいかない。
これが実際の出し入れ装置。雨の影響がかなり大きいと思われる。
9月18日 ザーザーの雨
そこで10メートルのラジアルはお店の人が適当に測って切ったものなので長さが足りないのではないかと思い、70センチの線を追加して延ばした。これがビンゴだった。エレメントを4センチほど短くしたところで、7.001あたりでSWRが1.2になった。7.015で1.5ということで、CWしか出ない私にとっては完璧とも思える結果となった。
ラジアルが短いとエレメントは長くなるし、ラジアルが長いとエレメントは短くなるという状態が続いたが、後で考えるとカウンタポイズが不十分であったからであった。
ラジアルはベランダのてすりに沿わせてくくりつけ、あまった部分は下向きの雨どいに沿わして地上5センチくらいのところまで下げている。結局私の新発明のエレメントの出し入れ装置の工夫が功を奏した形となった。
50は1.2、28はほぼ1、21が3を超しているのでこれは今から調整をする。
このアンテナの調整は、一度に2カ所さわらないことである。必ず一カ所だけをさわってその結果を見てみることが大切である。とにかく、ラジアルとエレメントの両方を一度にさわると収拾がつかなくなるおそれがある。
9月19日 晴れ
ところが、翌日は晴れ。SWRがほぼ無限大までいく。エレメントの調節をしてもだめ。
メインラジアルの長さをさらに1メートル伸ばして、少しだけガス管に巻き付けた。・・・・・・SWRは3を少し超す程度になった。
カウンターポイズを一本追加して、ベランダのてすりに巻き付けた・・・・SWRは2.4程度
カウンターポイズ(10メートル程度)をもう一本追加し、ベランダからすぐに下向きのといにはわせ、余ったのは庭にはわすかっこうになった。・・・・SWRはいきなり.1.0となった。
エレメントを改めて調整してみると、昨日の長さと同じだった。
私がアパマンハムと異なるところは、カウンタポイズ2を縦向きにおろせたことである。これはさほど期待せずにやったのだが、他のどの手段より効果は劇的であった。たてにおろして、コンクリートのたたきの部分に5メートルほどはわせている。つまり接地に近い形をとれたということである。
右はディスコーンアンテナで、ICR8500の受信機につないでいる。左がUHV-6。横に出ているのは、21と28のエレメント。
2013年 1月のアンテナ
結論
やはりカウンターポイズやラジアルで大地をどう作るかが鍵だということがわかった。雨の日は、一本のラジアルでも、雨にぬれて大地の役を大きく果たしていたと思われる。ところが晴れになると、大地の役を果たしにくいのだろう。
とにかく、くどいほどカウンタポイズをとってから、エレメントの長さ勝負にもちこむのがよい。エレメントの長さを調整しても、SWRの動きが悪いときはカウンタポイズが不十分であると思われる。
さっそくこの日、7メガで50ワットでロシアの局2局とCWで交信した。一発回答であった。
結果 24.9.19 24.9.21
7メガヘルツ帯のSWR値 ・・・・欧文のCWマンとしては理想の展開となった。他のサイトをみるとSWR1.5以下の帯域が26キロヘルツくらいというのがあったが、私のばあいは下のようにだいたい40キロヘルツ程度はある。SWRも1.4程度が最低点とする記事もあったが、SWR1はごく自然にそうなっている。要は、このアンテナはきっちたりとした「大地」を作ってやる必要があるということである。私の場合は、下向きの10メートルのカウンタポイズ一本だけでおそらく十分だろうと思う。
19日は晴れ、、21日は明け方雨 23日は本格的な雨 29日夕方から雨
23日6時・・・今は雨が降っているが、これほど共振周波数が下がるとは思わなかった。おそらく35キロヘルツほど下がっておそらく6.70あたりになっていると思われる。1センチ短くすればうまくいくと思われるがそうすると晴れたときにあわなくなる。4ミリ短くしてSWRの最低点を晴れの日の7.30、雨の日の6.90あたりへもってくるのが一番いいかなと。思う。それとカウンターポイズを少し太い線をもう一本縦向きをとってみたら帯域が広がるとか安定するということにはならないだろうか。
23日7時・・・・エレメントを2.5ミリ縮めたら上の表のようになった。共振周波数が30キロヘルツ前後高くなった計算だ。これで6095あたりだと思われる。晴れれば7025あたりになると思われる。
23日17時・・・・・23日のカウンタポイズの追加はSWRに全く関係なしだった、結局エレメントを2.5ミリ縮めて、共振周波数が約10キロヘルツ上昇した形である。7010付近のCWは雨でも晴れでも、SWR1.5程度で運用しなくてはならない。雨の影響さえなければSWR1で運用できるのになあ、と少々残念だ。
24日7時・・・・エレメントを合計4ミリ伸ばして晴れの日の電信バンドがSWR1になるようにした。雨の日は共振点が30キロヘルツほど下がるのてSWRの予想は示したとおりである。おそらく3以下になると思われるので、ここはアンテナチューナーにお願いをすることにしようと腹をくくった。ただ、昨日カウンタポイズを一本追加したら、心なしか帯域が広がったような気がする。友人に聞いたらフルサイズのDPではほとんど雨の影響を受けないそうである。
ここは、短いアンテナの宿命とあきらめるしかない。でも、逆に言えば実におもしろい。アンテナの基本が学べる。
ここで、私が最も認めたくない事実を書こう。それは2ミリの出し入れが決定的な影響を及ぼすわけだが、最初に示した調節用エレメントの出し入れ部分に水滴がたまれば大きな影響があるということである。
あの部分に水が入らないようにすればおそらく雨の影響はもっと少なくなるはずだし、この勝負は勝ちとなるだろうと思われる。
29日 夕方から雨が降ったが、周波数は思ったより下がらなかった、7020あたりのものが7010あたりに下がってきた程度である。これなら実用上全く問題はない。
というわけで、ABS樹脂のパイプに入れれば雨の影響は減らせると思いやってみた。ところがSWRはほぼ無限大。どうも、静電気を帯びる物質のようである。大失敗。
角度について
このアンテナは垂直にすると、聞こえにくく飛びにくい。7メガのノイズでSゼロ。弱めの局でS2くらい。強めでもS5を超すことがない。飛びも聞き直しが多く、359などというレポートもあるくらいである。
だから、25日に前傾約60度くらいに斜めに出した。7メガのノイズでSゼロ程度だが、聞こえた局はたいていS5を超すことが多くなる。全体にバンド内が賑やかになる感じである。
傾けるにつれてエレメントは2ミリ程度長くしないと同じ周波数で共振しなくなる。
垂直と斜め60度ではSにして2つか3つははっきりと違う。ベランダから出す場合にはできるだけ斜めにするのがいいと思う。
27日にほぼ水平にした。ただ先が重いとしなりすぎるので思い切って28メガのエレメントは外した。
垂直 ノイズS0 かすかな信号S0
60度 ノイズS1 かすかな信号S2 エレメント2ミリ長くする
水平 ノイズS3 かすかな信号S5 エレメントさらに5ミリ長くする。
出し入れ用の調節エレメントは26センチのものから12センチのものに取り替えたら、
SWRの下がる帯域がぐっと広くなった。そして、エレメント全体の長さを2ミリだけ長くすると、表のようにSWR1の帯域が下に動く。ここでよしとする。雨がふったらもう少し低くなるかもしれないので、ここでとめておくことにする。要は、カウンタポイズさえしっかりとれていれば、このアンテナは必ずSWR1.0になるということである。
19日 21日6時 21日13時 23日6時雨 23日7時雨 23日17時 24日7時
21.03 SWR1.4 1.0 1.3 2.8 1.5 1.2 1.2
21.05 1.0 1.3 2.9 1.7 1.2 1.1
21.1 SWR1.4 1.1 1.2 3 2.0 1,2 1.0
21.15 1.4 1.2 3.2 2.25 1.3 1.0
21.2 2.2 1.3 3.5 2.5
28.01 1.1 1.8 2.6 1.4 1.6 1.75
28.1 SWR1.3 1.0 1.3 3.2 2.0 1.1 1.25
28.2 SWR1.1 1.2 1.0 3.8 2.7 1 1.0
28.25 1.5 1.0 4 3.0 1.15 1.0
28.3 1.2 4.2 3.5 1.15
50.01 1.0 1.0 1.5 1.4 1 1.1
50.1 SWR1.0 1.0 1.0 1.7 1.5 1 1.0
50.3 SWR1.2 1.3 1.8 1.8 1.0
というような、実に満足のいくものになった。
追伸・・・21日は雨が降った。21と28は共振周波数が少し下にずれているようだ。7は、特に共振周波数が動いていないが全体に0.1ずつ上昇している
23日6時雨・・・・全体に共振周波数がかなり下に移っている。まあ、3以下であるからチューナーでなんとかなる範囲ではあるが。
23日7時雨・・・・7のエレメントを2.5ミリ縮めたら21と28の数値がかなり改善された。つまり共振周波数が高い方へ動いたようである。問題はこの状態で晴れたらどうかわるかである。
14メガエレメントの追加 2013.2
14.15 ・・・2.4
14.12 ・・・1.7
14.1 ・・・1.0
14.75 ・・・1.3
14.5 ・・・1.8
14.01 ・・・3.0
雨がふると共振点がかなり下がるので、やや高めに共振点を設定している。
144メガの運用 2013.2
現在、アンテナデュープレクサーで、FT857DMにもつないで144メガのSSBに50ワットで出ている。SWRはほぼ1.0で無信号時はSゼロで信号だけが浮かび上がってくる。430メガも出られる。
このアンテナは一粒で何度もおいしい。
3.5メガのエレメントを追加 2013.3.2
3.5メガは夜がけっこうにぎやかなので、出てみたいと思うようになった。コメットに問い合わせてみると正式な販売はしていないが注文すればあるということであった。
3月2日に入手した。ところが思いのほか大きく長い。いままでの7メガのエレメントを横向けにつけて、3.5をトップにつけることとした。7のエレメントの1.5倍はある。
今まで斜め60度に傾けていたが、それでは危険だと思い、完全垂直とした。
3.5のエレメントは5ミリずつ短くしていき、3.014あたりでSWR1.2まで落とすことに成功した。
さっそく電波を出したら、強く聞こえる局には強く届くし、かすかな局には届かないというけっかであった。7メガよりQSBが強い感じがした。
ラジアルに10メートル追加 2013.3.5
3本あるラジアルのうち一本に10メートル足した。20メートルとした。3.5メガにはちょっどいい長さである。
7メガはやや帯域が広くなった感じはするが、3.5はSWR1.7のまま。14以上はかわらない。しかしSWRの谷間は3.515付近にできているから、エレメントの長さの問題ではない。
おそらくラジアルがあと2メートルほど足りないと思われる。このアンテナはけっこうこのあたりが微妙なのである。
結局ラジアルの10メートル追加分は切った。2013.3.5
ラジアル10メートル 3.512で SWR1.3
ラジアル20メートル 3.512でSWR1.7
意外なことに3.5メガであっても、ラジアルは短い方がSWRがはるかにいいことがわかった。
21用ラジアルの追加 2013.3.8
実験ということで3.52メートルのラジアルを一本追加した。そしたら21メガ、28メガが、SWR1.5以下の帯域がものすごく広がった。21に至っては、21から21.3あたりまで1.5以下である。
このアンテナは各周波数別のラジアルをつけることで俄然力を発揮するようである。
10メートル 2本
11メートル 1本
3.52メートル 1本
という具合である。
このアンテナの飛び
このアンテナを使って半年。ずばりこのアンテナはよく飛ぶ。7メガは、パイルでなければほぼ国内は無敵と言える。どこでも飛ぶ。韓国やロシアにも飛んでいる。21では、中国・フィリピン・マレーシアに飛んだ。28では、RTTYでポーランドと交信できた。
DXCC 2013.1.4現在
アメリカ
イギリス
スイス
イタリア
ペルー
オーストラリア
フィンランド
カンボジア
フィリピン
香港
中国
韓国
ロシア
ペラルーシ
スロベニア
カザフスタン
ウズベキスタン
モンゴル
モンテネグロ
チェコ
ポーランド
カナダ
ハンガリー
インドネシア
参考データ
調整用エレメントの長さ・・・・・私の場合はたまたまこうなったというものです。あくまで参考にしてください。仮圧着部分の調節用のエレメントの長さによっても、全体のエレメント長はかわってきます。
このアンテナは使用帯域が非常に狭いです。エレメントが2センチ長ければSWRは無限大になります。最後は調節用のエレメントを1ミリ単位で出し入れすることになります。7メガでCWもSSBもバンバンやろうというのはかなり無理っぽいです。21や28でもCWかフォーンか焦点をしぼらないと厳しいと思います。
7.12メガヘルツ 46.7センチ
21.1メガヘルツ 5.52センチ
28.2メガヘルツ 5.65センチ (設置角度60度の場合)
大発見 2013.5
デュプレクサーでわけたVHFの線をICR8500につないでみたら、エアバンドがむちゃくちゃよく聞こえるではないか。D303というエアバンド専用のアンテナとは比べ物にならない。現在山陽セクタと四国北セクタの管制官の声が「55」で入ってくる。
ちなみに133.55メガヘルツ(山陽セクタ)を受信してみると、
自作ヘンテナ・・・・・ノイズでS3.8くらい
D303・・・・・・・・・・・ノイズでS2.0くらい
UHV-6・・・・・・・・・ノイズでSゼロ
という具合なのである。
このアンテナは、隠れたエアバンド用のアンテナでもあった。
アンテナアナライザを買った 2016.1.8-1.11
コメットのCAA500マーク2を買った。早速、アンテナエレメントを調整した。青( )は雨の時の値
3.5メガ・・・・・3.531→3.514→3.512(3497・・・-15khz)
7メガ・・・・・・6.988→7.023→7.020(6965・・・-55khz)・・・・このバンドはCWの7010とRTTYの7038にも出られるように調整した。
14メガ・・・・・14.101→14.078(13935・・・-143khz)・・・・JT65専用みたいになってしまった。
21メガ・・・・21.346→21.235→21.126(20840・・・-286khz)・・・・・よく使うのはJT65の21076でEスポが出ると21180くらいに出る。
へとそれぞれ調整した。
しかし、7メガのエレメントと14のものが相互に関係し合い、両者の調整が非常に難しい。
よく使う周波数より全体に上に合わせたのは、雨がふると共振周波数が20から30khz下がるためである。雨の時、上の場合、3.5は使い物にならない。7メガはぎりぎりCW帯で出られるかも。14と21はおそらく雨でも問題ないと思われる。
このアナライザはメーターとカラー液晶で非常にわかりやすい。62000円。買って良かった。