今年は暖冬の影響か、三寒四温のうちに、校庭の桜のつぼみもふくらみ、桜の開花が待たれる頃となりました。

 この、よき日に、卒業生、保護者、来賓の皆様、教職員一同相集う中、本校の栄えある、第二十一回の卒業証書授与式を挙行できますことは、このうえない喜びでございます。

 本日、保護者の皆様には、本校入学以来お子様の心身の健やかな成長を願い続けた日々を思われ、ここに、たくましく成長されたお子様の晴れ姿を目にされて、喜びもひとしおと存じます。心から、お祝い申し上げます。

 また、この間、本校教育の充実と発展のために寄せられましたご理解とご協力に対しまして、厚く御礼申し上げます。

 ご来賓のみなさま、本日は公私何かとお忙しい中、本校の卒業証書授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。三年間、地域で子どもたちを見守り、育んでいただきましたことに、心より厚く御礼申し上げます。

 卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。今、三年間の課程を修めたという卒業証書を手渡しました。これからは、本校で身につけたことを生かして、力強く歩んでいってください。

 現在私たちを取り巻く様々な状況は必ずしも順調なものばかりではありません。まず地球温暖化に伴う環境の悪化があげられます。あと何十年か後には北極の氷がすべてとけるといわれていますし、温暖化によって大きな台風が世界的に発生しやすくなっているとも言われています。また世界では、だんだんと少なくなっている石油を多くの国が何とか確保しようという動きがますます激しくなることが予想されます。

経済に目をうつすと、我が国では緩やかな景気の回復が見られるとは言われていますが、経済成長率は先進国の中では最低のレベルにあるという報告もあります。

しかし、たとえこういったさまざまな問題があるとしても、人の知恵、特に若いあなた方の知恵で解決していく以外に方法はないのです。時の流れを漫然と見つめていてはいけない。これからの時代を生きていくあなた方は、問題意識をもって、しっかりと学び続けてほしい。

中学校で学んだことは、ほんの基礎知識でしかありません。あなた方の持ち前の能力を発揮していくためには、これからさらに多くの知識を学ぶことが必要です。

一生が学習だとよく言われます。今学んでいる知識は、将来まったく時代遅れの知識になるかもしれない。これからはその時々の世の中の変化に応じて学びなおしていくことが必要になってきます。その中で、物事をどう解決していくのか、どうすれば皆が幸せになるのか、しっかりと考え続けていただきたい。

そして、その時に忘れてはならないのは、知識を学ぶのは実は誰かを支えるため、人を幸せにするためでもある、ということです。

前にふたつの旗があります。こちらは本校の旗、こちらは我が国の国旗です。国旗については昨日お話ししましたね。義務教育を終えると言うことは、この旗からこちらの国旗を意識するということではないかと思います。これは日本の国を象徴する旗ですが、同時に、あなたが多くの人々に支えられていることの象徴でもあると思うのです。自分には携帯さえあればいいんだという人もいるかと思います。でも携帯を作っているのは誰ですか。全国九万か所にアンテナを設置し、電波を監視しているのは誰ですか。販売している人は、など、このように携帯電話ひとつを例にとっても、私たちは実に多くの人に支えられていると言えるのです。

そして同時にあなたは誰かを支えていく。人が最も美しく輝くのは、誰かを支えているときではないでしょうか。そう、人には誰かを支える責務がある。多くの人たちに支えられ、そして誰かを支えていく、この国旗はそういうことをも象徴しているのではないかと思います。これから国旗を見るときは、ぜひ自分と人々とのつながりに思いをめぐらせてほしいと思います。

多くの人に支えられている自分が今度は誰かを支えていく、皆がそういうふうに考えていけば、もっともっと住みやすい世の中になるはずです。

この地球上でおきている様々な問題を解決していくために、そして、多くの人を支えていくために、しっかりと学び続けてください。あなた方の若い力に大いに期待するとともに、心より健闘を祈っています。

最後に、私の好きな詩の一節を朗読して終わりにします。

 

The colors of the rainbow,

So pretty in the sky

Are also on the faces of people goin’by,

I see friends shakin’ hands,

Sayin’, “how do you do!”

They’re really sayin’ “I love you,

I see trees of green ,red roses too

I see them bloom for me and you,

And I think to myself

What a wonderful world.

Yes, I think to myself

What a wonderful world.

 

それでは体を大切に。お元気で。

平成十九年 三月