この、よき日に、卒業生、保護者、来賓の皆様、教職員一同相集う中、本校の栄えある、第十九回の卒業証書授与式を挙行できますことは、このうえない喜びでございます。
  保護者のみなさま、お子さまのご卒業おめでとうございます。今、たくましく成長されたお子さまの姿をごらんになり、感慨もひとしおと拝察いたします。また、今日まで本校の教育に寄せられましたご理解とご協力に対しまして、厚く御礼申し上げます。
 ご来賓のみなさま、本日は公私何かとお忙しい中、本校の卒業証書授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。高いところからではございますが、心より厚く御礼申し上げます。
 卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。ただいま、中学校三カ年の課程を修めたという卒業証書を、みなさんに手渡しました。
今日は、三年間の中学校生活を終えると同時に九年間の義務教育を終える日でもあります。これからは、今まで学んだことを生かして、人らしく生きていくのです。それは人としての誇りに満ちた旅でもあるのです。
今日は、今まで生徒集会で皆さんに色々な話をしてきましたが、私の心にいつもどういう思いがあったのかを話したいと思います。
 自由に生きなくてもいい。自由に生きようなんて悩まなくていい。
 自分らしく生きようなんて悩まなくていい。自分らしく生きなくったっていい。
 そう、人らしく生きればよい。人らしく生きる、あまり聞かない言い方かもしれませんね。人らしく生きることは、すべてに優先するのです。
 では、人らしい生き方とは何でしょうか。いまから、「人、五箇条」を申し上げますのでよく聞いてください。
第一の条 「人は感謝する」
私たちは人と人の係わりの中で生きています。その中で、自分に向けられた善意や恵みに対して素直に感謝することで、人は、他の人や自然との絆を作り、人類は数万年の歴史を築いてきたのです。これから、あなた方が生きていく社会においては、ともすれば、一人一人がばらばらになりがちな社会となっていくでしょう。だからこそ、感謝の心が必要です。感謝の心は絆や礼儀を生み出します。

第二の条 「人は弱き者を助ける」
人は、有史以来、常に仲間や社会の中で生活していました。幼き子を助けて次の   世代を育み、年寄りを助けて多くの知恵を受け継いだのです。いわば、私たちの   今の繁栄は、弱き者を助けるという当たり前のことを、人が続けてきた結果であ   るともいえるのです。今、あなた方の回りにも、弱い立場の人がいます。弱き者   を助けるのは、人として当然のことなのであり、いや人としての最大の誇りとも   言えるのです。人としての誇りをかけて、弱い立場の人を助けてください。

第三の条 「人は社会に尽くす」
自分さえよければいいという人が多ければ、その社会は滅びに向かいます。石器   時代以来、仲間の利益、社会の利益は、多くの人に様々な利益をもたらしました   し、いつしか自分の利益にもつながっていきました。そのことを知るべきです。   だから、人が社会に尽くすのは当然のことです。職業を通じて社会に尽くすもよ   し、決まりを守れる良識ある大人として社会に尽くすもいいでしょう。しっかり   と勉強をしたなら、次にどうすれば社会に尽くせるか考えてください。社会に尽   くす心は繁栄を生み出します。

第四の条 「人は自制する」
人は自制、つまり自分を制御することができます。人には、理性というものがあ   ります。理性というのは、自分がやりたいことでも、時にはやめようとする意志   の働きです。人は、その理性の働きで、自分で自分を抑えることができるのです。   これは、他の動物にはない、人だけが持っている心の働きです。自制する心は、   安心できる社会と人と人との信頼を作り上げました。

第五の条 「人は向上を目指す」
皆さんは、幼い頃積み木で遊んだことがあると思います。二つしか積めなかった   ら、次は三つ積んでみよう、三つ積めたら次は四つ積んでみようと、向上を目指   したはずです。人はもっとよいもの、もっと高いものを目指して反省と努力を積   み重ねてきました。皆さんも昨日よりもいいものを求めて反省と努力をしてきた   はずです。人は、そういう反省と努力によって文明を築いてきたのです。皆さん   も、そのことを心にとめて、よりよい明日を求めて向上を目指してほしいと思い   ます。

 いま、人らしく生きることを説明するために「人 五箇条」を申し上げました。
      一、人は感謝する、
      二、人は弱き者を助ける、
      三、人は社会に尽くす、
      四、人は自制する、
      五、人は向上を目指す、
 この五つが人らしく生きるポイントなのです。この「人 五箇条」をいつも心にとめて、人らしく生きて下さい。世の中の人みんなが人らしく生きることを心がけたら、もっともっと住みよい社会になっていくのではないかと思います。

 自由に生きようとか悩まなくていい。どういう生き方をしようとか悩まなくていい。 そう、人らしく生きればよい。
 自分らしく生きようとか悩まなくていい
そう、人らしく生きればよい
 人らしく生きることは、人として生まれた者の喜びでもあるのだから。
 人らしく生きることは、人として生まれた者の誇りでもあるのだから。

平成17年3月14日