三寒四温のうちに、校庭の木々の芽もふくらみ、春の訪れを感じる頃となりました。このよき日に、卒業生、保護者、来賓の皆様、教職員一同相集う中、本校の栄えある、第十八回卒業証書授与式を挙行できますことは、この上ない喜びです。
保護者のみなさま、お子様のご卒業おめでとうございます。今、たくましく成長されたお子様の姿をご覧になり、感慨もひとしおのことと拝察いたします。また、今日まで本校の教育に寄せられましたご理解とご協力に対しまして、心より厚くお礼申し上げます。
ご来賓の皆様、本日は公私何かとお忙しい中、本校の卒業証書授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。高い所からではございますが、衷心より厚く御礼申し上げます。
卒業生にささげる言葉
プロローグ
卒業生の皆さん、こちらを見て下さい。今から私が手を打ち鳴らします。
・・・・・・
今、音がしました。ここで皆さんに聞きます。いま、右の手がなったのでしょうか。左の手がなったのでしょうか。

第1章
卒業生のみなさん。ご卒業おめでとうございます。この3年間は皆さんにとって、どういう3年間だったでしょうか。毎日の授業や部活動、様々な活動を通じて、非常に多くのことを身につけた3年間ではなかったでしょうか。この3年間で身につけたことを基礎として、さらに多くのことを学び活躍してほしいと思います。
 今日は、私から皆さんに二つのことをお願いしたいと思います。ひとつは、この社会の発展に尽くしてほしいということです。自分は社会のために何ができるのか、しっかり考えてほしいと思います。
 ふたつ目は、いつも言っているとおり、社会で正しいとされていることを、しっかりと身につけた大人になってほしい、ということです。そのためには、正しいことを見極める判断力が必要です。どうしたら、そういう判断力が身につくのでしょうか。

第2章
生き方という言葉があります。生き方は、他の人や社会との関わりの中から、自然と決まっていくものだと思います。だから、自分のことだけではなく、ほかの人のことや社会のことをよく知ろうとすることが大切です。自分がどんな人生を過ごしたいのか、常に他の人や社会というものと、自分自身をかかわらせながら考えていかねばなりません。
第3章
今日の卒業式には、主人公がふたつあります。わかりますか。・・・・
 ひとつは、間違いなくあなた方卒業生です。もうひとつは誰でしょうか。 後ろを見て下さい・・・君たちを育んで下さった保護者の方がおられます。左には、あなた方を支えて下さった地域の方、右には3年間あなた方のことを心配して下さった先生方、周りには励ましてくれた友人、そしてこの式場の外であなた方を支えている何百万、何千万人もの人たち、こういう人たち全部が二つ目の主人公です。あなた方は決して一人ぼっちではないのです。

第4章
この国では、何千万人という多くの人たちが、衣食住をはじめ、文化・伝統・社会の規範などあらゆる方面からあなた方を支えています。その何千万人もの人たちは、文明を先輩から受け継ぎ、発展させて、次の時代に伝えていこうとしているのです。
そういった人々の熱い志があなた方を支えているとも言えます。
と同時に、この国には、あなた方の支えを待っている人たちがたくさんいます。みんな待っています。だから、支えられていると同時に、この社会を支えていく、そういう強い志をぜひ持っていただきたいと思うのです。
あなた方の支えを待っているのは、何も今生きている人たちばかりではありません。別の座標軸から見ると、過去数千年に及ぶ歴史の営みを続けてきた人たち、あるいはこれから先の未来数千年以上にわたっていく人たちも、あなた方が今、この社会を支え文明を伝えていくことを、きっと望んでいるはずです。あなた方は決して一人ではないのです。

エピローグ
さきほど、両手を打って音がでました。片方の手だけでは、つまり自分だけでは決して人生と言う音を響かせることはできません。もう片方の手、つまり他の人や社会というものがあって、それと自分とがうまく出会うことによって初めて、人生と言う音が響くのです。正しいものを見極める判断力も、その中で身についていくはずです。
これから、皆さんが多くの人たちとの豊かな出会いを通じて、他の人や社会との関わりを大切にし、この社会と文明を支えていく志を持っていただくことを切に期待しております。
 皆さんは、決して一人ぼっちではないのです。だから大切、だから勇気。