私をあつくしたギタリストたち
    18.9.10



1位 ノーキーエドワード

ご存じ、ベンチャーズのメインギタリストである。世界にはたくさんのロックグループがあり、きら星のごとく有能なギタリストがいる。し

かし、彼こそはおそらく誰もが認める世界一のギタリストである。ベンチャーズの曲というのは、ブルースを基本にしている。しかし、メ

ロディー部分は、8音階を使って曲が作られている。実は、ギタリストにとって、この8音階でふつうに作られた曲ほど難しいものはな

いのである。彼は、これを、ほぼミスピックなしに弾きまくるのである。アドリブの部分でも、南部のにおいたっぷりにさえ渡る。一見、

まねのしやすいように見えるが、聞けば聞くほど奥が深い。特に、キャラバンのドラムソロの後の間奏は、絶対に彼にしかできない超

絶技巧である。加山雄三もまねをしたが、うまくごまかしている。演奏法の秘密は、親指につけたピックと薬指のツーピック奏法である

。これが、演奏の幅を広げている。シカゴの初代ギタリストがお手本はノーキーと言っていたのもあながち根拠のないことではない。御

年70を超したが、元気にコンサート活動を続けている。私にとっては、先生であり神様であり、青春そのものなのである。



2位 ジミーページ

レッドツェッペリンのギタリストである。かれは、華麗なギターテクニックの持ち主と言われているが、実は曲作りやコンポーザーとして

の才能の方が秀でている。曲作りにおける彼の役割は、曲全体の構成をすることであり、5作目くらいまでのアルバムでは、彼の才能

がさえ渡っている。特に、カシミールでは、ギターを弓で弾くなどのアイデアはすばらしい。また、ギターが半音ずつ5回あがっていく伴

奏は、ともすれば調性を見失いがちになるが、そこはそれ、ロバートプラントという才気あふれるボーカリストとのコンビで、調性を保

つことに成功している。

演奏者としての彼は、典型的な3本の指でフレットをあやつるタイプである。また、彼は決して早弾きではない。一回フレットを押さえる

間に、ピックでその弦を3回くらい弾くから早く聞こえるだけのことである。フレットをあやつる左手はさして早く動いているわけではない

。音数としてはたくさん作っているわけではないが、ピックでトレモロ奏法をするからスピード感がでるのである。しかし、同じ奏法でも

モトリークルーのギタリストは、仕掛けが見え見えでスピードと変化に欠ける。ジミーは、それでも大変なスピード感を演出するところが

天才といわれゆえんであろう。また、彼は、アドリブ中にけっこうリズムを崩しやすいところが見受けられるが、ドラムのジョンボーナム

がうまくカバーしている。ツェッペリンというグループは、全員が「大人」というグループであった
。私の奏法は彼ともっともよく似ている。



3位 ジミヘンドリクス

サウスポーのギタリストである。フレットの音数が多いという意味での早弾きなら、ジミーより優れている。一言で言えば、荒削りと緻密

さの同居したギタリストである。荒削りで豪快という一面はあるが、実際には、かなりの早弾きで実に緻密に音を繰り出してくる。そし

て、難しい指使いのコードなどをいとも簡単にやってしまう。忘れてはならないのは、彼が歌いながらギターを弾くということである。こ

れは、ジミーページや、後のリッチーブラックモアにも決してまねのできないことなのである。また、ブルースを弾かせたら、天下一品

で、ブリティッシュロックのようにブルースの様式だけを取り入れたものとは全く違う。

後に出てきた多くのギタリストたちが、自分こそは、ジミヘンの後継者と名乗りを上げたのを見ても、いかにカリスマ性のあったギタリ

ストであったかがわかる。ロビントロワーなどが名乗りをあげたが、遠く及ばなかった。24歳で急逝した。



4位 リッチーブラックモア

ディープパープルやレインボウのギタリストである。大ギタリストである。独特のフレーズや早弾きはスリリングで、20世紀のロック界で

は燦然と輝く超絶技巧ギタリストである。一つは、左手が大きいと思われる。人差し指をあるフレットに固定すると、中指で3度の音を

小指で4度程度の音を安定して押さえることができる。かれは、一度のピッキングでそれらの指を瞬時に順番に引っかけていくから、

ピッキングより音数の方が多い。そして、彼のフレーズは厳密にはブルースの音階ではない。中世ヨーロッパのにおいをぷんぷんとさ

せている音階が彼のアドリブの原点である。有名なハイウェイスターのギターソロのコード進行は、バッハの曲からとったという話であ

る。趣味がチェロの演奏であることを考え合わせると、彼は中世音楽に原点を持ち、ブルースも強引にその音階にはめ込んだという

ことなのだと思う。

彼の趣味が色濃く出たのが、レインボウになってからの1作目と2作目である。あれは、中世ロックである。ここに彼が、他のだれとも

にていないスタイルを保ち続けた理由がある。

しかし、中世ロックを色濃く出し過ぎ、そのごアメリカでの売り上げが減ったことで、レインボウというグループはイージーリスニング路

線に転換していくのである。


5位 デュアンオールマン

オールマンブラザーズバンドのギタリストである。彼は、ボトルネックギターの名手である。南部のにおいむんむんのギターであるが、

ボトルネック以外はあまり印象に残らないくらいである。彼のボトルネックの特徴は、決して音が混ざらないと言うことである。それに

は、奏法に秘密がある。右手の一指し指で3弦を、中指で2弦を薬指で1弦を担当する。弾く時は担当の指ではじき、弾かない弦は担

当の指でミュートしてしまうのである。これを瞬時に繰り返す。これが簡単なようで、なかなか難しい。オールマンバンドの第二ギタリス

トは、デュアンが生きているときに相当教わったと言うが、彼を超えてはいない。彼にしかできないボトルネックギターの奥義とでも言

おうか。

代表作としては、ステイツボロブルース。この曲は未だにボトルネックのバイブルとして輝いている。

ちなみに、いとしのレイラのテーマを弾いているのが、デュアンオールマンであった。そして、ボトルネックでアドリブを弾いているのが

エリッククラプトンである。