64歳の心境 その3 やりたいことが見つかった


やりたいことが見つかるのに結局は4年半かかった。

私は校長時代から、退職後を見据えできるだけ趣味を増やして趣味にかける時間もとってきた。

だから、退職したらすぐに自分のやりたいことがやれていくはずだと思っていた。

確かに退職したら、それまで培ってきた趣味が生きたしそれなりに自分のやりたいことだと思って楽しんできた。しかし、気がついたのは様々な趣味は結局は過去の遺産であって、退職後にやりたいこととの間に微妙な差があることに気がつく。

つまり、カメラもバラもあの忙しい校長時代であったからこそ大いに癒やされたのかもしれない。ところが退職して日々癒やしの生活を送ってみると、今までの趣味が、それほど輝かないことに気がついたのである。

となると、退職後に適度に緊迫感のある趣味をやりたくなってくる。しかし、それが何かがわからず過ごしていた。

3年前から、無線ネタの笑い話を書き始めて現在160作を超えている。

今年の2月から京都旅歩きをはじめて、週に一作ずつ小説を書いている。

だんだん、小説を書くのが楽しくなり、自分でも書きたいものが書けるようになってきた。

つまり小説は趣味と言えるところまできたと言うことである。
ここにきて、私はやりたいことが見つかった。まず小説を書くことである。

そして京都の町を歩いて歴史の勉強をする。

こういう簡単なことにたどり着くのに4年半かかったということである。

もしも、再雇用をされていたら、65歳まではやはり宮仕えであるから、落ち着いてものを考えなかったと思う。65歳で仕事をやめてやりたいことが見つかるまで約5年とすれば、70歳になってようやくやりたいことを見つけることになる。

今更ながら、60歳ですぱっと宮仕えから解放されてよかったなと思う。

遊ぶ時間は長い方がいいに決まっているから。