釣れ釣れ草  第15話: 苦潮

  

ある日の釣りで大変なものを見てしまった。苦潮である
ネット掲示板に苦潮の話題があり、魚がプカーと浮いてくると書いてあった。
ヘーそんなものかな〜との印象であったが、実際にこの目でみるとそれは恐ろしい光景であった。
それは9月21日、初めて岸和田に釣りに行ったときのこと。しかけを用意していると網を持った人が
魚を掬っている。?、海をみるとなんと青白く濁った異様な海水がドンドン広がってきている。その中で
フグ・メバル・タナゴなどの魚が苦しそうにプカプカ浮いてきているのである。その浮いた魚を網で
掬っている。ある人は70cmのスズキを掬って上機嫌である。
おもわず網を出し私も魚を掬おうと思ったが途中で可哀想になりヤメタ。
魚にとって生命線である海水そのものが毒となっているのである。
これでは魚は救われない。釣りどころではない。何故こんなことが起こるのか?
地元のオジサンに聞いてみた。「こんなことあるの?」、「そうや毎年9月になると起きるんや」とのこと。
 大阪湾の魚達は毎年、苦潮の試練を受けるんや。

さて、苦潮とはいったいなんだろう?あの青白く濁った異様な海水は何なのか?
ネットで調べた。
  苦潮とは、沖の海底に溜まった酸素濃度の低い海水(貧酸素水塊)が風などの影響で沿岸の海面に上昇
  する現象で、貧酸素水塊は硫化水素を含んでいるため、卵の腐ったにおいがする場合もあるとのこと
  また、海水の青白濁化は硫化水素が空気中の酸素と反応しイオウが結晶化し、そのため白濁するとのことらしい
  硫化水素は猛毒。魚にとって良いはずがない

そういえば、思い出すと卵の腐ったような臭いがしていた。その時は、休日なのにどこかの工場が
稼動していて硫化水素の臭いを出しているな。脱臭設備が壊れているのかな〜と思っていたが
ちがう、あれは苦潮の臭いだったのだ!

 苦潮は単なる自然現象なのか。それとも公害の一種なのか自然からの警告なのか
 良く判らないが、こんなことはあってはならない
 なにか良い策はないのだろうか
 
                          第15話   苦潮   おしまい