中部太平洋 某国後方基地司令部
基地司令・浅井長政大佐「平和だな、ワルリッヒ君」
同参謀・ウルリッヒ少佐「そうですね……って、私はウルリッヒです!!」
平和といっても暇ではない、なぜなら司令官室には事務的な書類が山済みされているからだ。
長政「そうか……ではウルリッヒ君、ゲームレビューを行なうぞ」
ウル「ごまかさないでください!!」
長政「上官の命令に従わない場合は、軍法会議に処せられる事もあるぞ……」
ウル「いえ、喜んで」
長政「……では、今回レビューを行なうのは「インペリアルの鷹」、DCで発売されてるコンバットフライトシュミレーションだ」
ウル「大佐の好きそうなゲームですね」
長政「まぁ、かなり好きな種類のゲームだが……ストーリーは史実の日独VS米英を名前を変えて登場させている。無論、登場兵器もそれぞれの国に応じている。ただ、日本に相当する国が「ヤマト」とという捻りも何も無い名前なのが不満だが……」
ウル「大佐、そこはあまり関係ないのでは?」
長政「……そうだな……だが、悲しいかな。コンシュマーではこのしょせん程度かと嘆かねばならない……」
ウル「それほど酷いのですか?」
長政「あぁ、例えば空母に搭乗するのだが、その空母の護衛が2、3隻だったり、まぁ、敵も同じくらいの数だがな。他にも、名前のあるパイロットが10人にも満たないからって攻撃隊も10機以下、しかもこれで敵基地を攻撃したりせねばならん」
ウル「すなわち、1機で1000機分働けというのですか……」
長政「あと、航空力学というのも問題ありだ、いくらなんでもB−29で宙返り可能というのは問題ありだ」
ウル「!? B−29って……あんな化物で宙返りなんて、犬に車の運転させるくらい危ないですよ」
長政「その例えはどこから出てくる……まぁ、他にもあるのだがな。それを文にするにはあまりにも難しい」
ウル「それを表現できるような脳みそが無いからだろ(ボソッ)」
長政「ウルりッヒ君……」
ウル「何でしょう?(汗)」
長政「爆雷投下台から飛ばされる、爆雷の気分を味わう気はあるかね?」
ウル「申し訳ありませんでした! 以後口を慎みます」
長政「……では続けよう。これは最終面だがネタバレとは到底言いがたい「敵総司令部を爆破して講和しよう」という、あまりにも安直かつ安易であり、このゲームがまともな検証を行なわれずに開発されたと言われても否定することのできない決定的証拠だな」
ウル「たしかに、爆撃によって首都を破壊されても降伏した国は一つも無い事ぐらいすぐわかるのに……」
長政「他にも細かい所でツッコムべき所は多いぞ、例えば、爆弾と魚雷のグラフィックが書き分けられていない、爆撃機なのに戦闘機と同じ操縦席のグラフィック、飛行場の滑走路の目の前に建物があったり等、他にも探せばまだあるだろうな……」
ウル「大佐、書いてて虚しくないですか?」
長政「虚しいとは違うが……何か嫌になるもがあるな……」
ウル「……」
長政「……ま、気を取りなおして続けよう」
ウル「まだあるんですか? これ以上長いとゆーとぴあ大統領に怒られますよ」
長政「むっ……ま、まぁ、2,3書いたら終わる、辛抱してくれ」
ウル「アイ・サー……」
長政「最後の文句だ、登場する機体に関してだが、多分機体の数字による性能だけを見て、実績をほとんど見ていないと思う。なにせ一撃喰らっただけで火を噴く零戦が結構頑丈だからな、その逆もしかりだ」
ウル「なるほど……しかし文句ばかりですね。では、逆にどんな所が良かったのですか?」
長政「良かった所か? BGMがそれなりに良かった、設定の一部、登場する機体の一部がマニア好み。と、これだけだな、私が良かったと思うのは」
ウル「それだけですか!?」
長政「うむ、これだけだ」
ウル「……」
長政「グラフィックが綺麗でも、リアルというわけではない、このゲームはその典型だな」
ウル「……」
長政「……」
数分の沈黙の後、一人の将校が慌てて駆け込んできた
「敵襲です! この基地に多数の航空機が接近中です!!」
長政「!? あんですとぉー!?」
ウル「げ、迎撃準備!! 戦闘機を発進させろ!!」
こうして1日が過ぎていく
太平洋を紅く染めながら……
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