「ある日の放課後」








「なぁ、相沢」

 放課後の教室。それは、北川のとある一言から始まった。

「なんだ?北川」
「美坂ってさ、普段どんな生活してるんだろうな?」
「さあ。本人に訊けばいいんじゃないか?」

 北川、首を横に振る。

「ダメだ。この前訊いたんだけど教えてくれなかった」
「そうか・・」
「美坂の後を着けてみるか。面白い事がわかるかも!」

 何故かウキウキしながら少しハイテンションに喋る北川。

「お前、結構楽しそうだな。ていうかそれはストーカーだぞ」
「ねぇ〜、何の話?」

 祐一と北川が話していると隣に居た名雪が珍しそうに
 訊いてきた。
「ん?そうだ、水瀬さん知らないか?美坂が学校終わったら何してるか」
「香里?一緒に帰るときは百花屋行ったり雑貨屋行ったりしてるけど?」
「他には?」
「それだけだよ。香里ってあんまり自分の事話さないから家で何やってるか全然しらないもん・・・」

北川、はぁっと溜め息をつく。

「あ〜、親友の水瀬さんでも美坂が何してるのかしらないのか・・」
「なぁ、北川」

 祐一の頭に、一つの疑問の疑問が浮かんだ。それは名雪にも。

「なんだ?相沢」
「どうしてそんなに香里のことを気にするんだ?」「の?」

 声をハモらせて同じ質問をする祐一と名雪。流石はイトコといったところか。

「い!?いや・・・それは・・・・・・・・」

 しどろもどろになる北川。怪しいと思い、二人は北川に詰め寄るが

「何やってんの?3人とも」

 教室のドアがガラッと開き、噂の本人の美坂香里が現れた!

「なんだかドラ○エみたいな言い方ね」

・・・・・・・悪かったな。

「香里・・誰と話してるの?」
「ううん、別になんでもないわ。それより3人してどうしたの?」
「香里こそどうしたの?」
「忘れ物。明後日テストでしょ?今日書いたノート、机の中に置いて来ちゃって」

 香里、自分の机の中を探り、ノートを取り出す。どこにでも売ってる
 ようなB4の大学ノートである。

「あ、そういえば明後日テストだっけ」
「えらい落ち着いたように言うな、相沢」
「テストは諦めた!」

 ぐっと拳を握って力説する祐一。名雪、少々呆れている。

「ま、相沢君らしいけどね」

 ふっと溜め息をつきながら自分のノートを鞄に入れる香里。

「美坂、お前に聞きたいことがある!」
「何?北川君。体重なら教えてあげないわよ。スリーサイズならいいけど」

 スリーサイズならいいんかい!と心の中で突っ込んだ祐一と名雪。

「いや、そうじゃない。スリーサイズは知りたいが・・・ってそうじゃなくて!」
「だから・・・何?」
「美坂、お前いつも家に帰ったら何してる?」





 暫しの沈黙。そして、ゆっくりと香里が口を開いた。

「手洗ってご飯食べてお風呂入ってTV観てテスト勉強して寝る」

 一瞬、時が止まったかのように見えた。

「これでいいでしょ?名雪、相沢君、一緒に帰らない?」
「え?あ・・うん。行こう、祐一」
「お、おう。けど、あれ・・・いいのか?」

 とある方向を指差す祐一。

「いいわよ。ほっときましょ。途中で百花屋寄らない?」
「あ!いいね〜。祐一、またイチゴサンデー奢って〜〜」
「なんで俺が!?」
「私の分も頼むわよ。相沢君」
「まじかぁ!?」

 そんな談笑をしながら教室を去っていく3人。その教室の片隅には一人固まっている北川の姿があった・・・・。

―おしまい―



あとがき


・はい、初SS投稿です。今回は香里の謎にピックアップ・・・
 してみたんですが全然ピックアップされてませんね。一応お笑い(?)
 です(わらえねえよ!)それでは。


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