はじめに・・・このSSは、15000ヒット記念にゆーとぴあイアウエオ企画さんにプレゼントしたSSです(5回目)。

 

 

 

 

 

holy night in the snow-dropping town

 

 

 

 

 

今日は12月24日。2学期の終業式だ。

水瀬家で生活し始めてから、もうすぐで1年がたとうとしていた。

慣れとは恐ろしいもので、今はあまり寒いと感じなくなっていた。

今年の初めのあたりがまるで嘘のように・・・

俺は相変わらず朝が極端に弱い名雪を叩き起こし、学校へと向かっている。

「結局今年も最後まで走らなければならないのか!」

「でも、祐一も走るのにずいぶん慣れたよね〜」

「できれば慣れたくなかったのだがな・・・」

そんな会話を全力疾走しながら平然とできるようになってしまった。

普通は絶対に身につかないスキルだ。

 

 

「ま、間に合ったか・・・」

「ギリギリだったけどね」

教室の扉を開けると、今まさに終業式のために体育館へ移動しようとしていた香里に会った。

「最後までこの調子だったわね、あなたたち・・・」

「その言い方だと、俺まで寝坊しているような言い方じゃないか・・・」

「え?違うの?」

名雪が驚いた顔で言った。そんな名雪がムカついたので、両手で思いっきり頬を引っ張ってやる。

「い、いはい、はにするほ、ゆういひ」

「誰のせいだと思ってるんだ、だ・れ・の〜〜〜〜!!!」

「はいはい、それくらいにして、早く体育館へ行くわよ」

「おう、そうするか」

「う〜・・・」

俺は名雪の頬を引っ張っていた両手を放し、体育館へ向かうことにする。

 

 

終業式が終わり、俺たちは教室に戻ってきた。

「それにしても意外だったわ。相沢君が推薦で大学に合格しちゃうなんて」

「私も驚いたよ〜」

「まあ、それなりに勉強はしていたからな」

そう、俺は推薦で大学に合格したのだ。なので、クラスのやつらが受験勉強に必死になっているときに、俺は余裕の学校生活を送っていた。

当然かもしれないが、香里も推薦で合格している。

「いいな〜、2人とも・・・」

「授業中に寝てばっかりのお前はどうひっくり返っても推薦枠には入らないだろ」

「そうね・・・」

「う〜、酷いよ2人とも・・・」

「それじゃ私、そろそろ帰るわね」

「おう、また来年な」

「じゃあね、香里〜」

香里は鞄を持って、教室から出て行った。それと入れ違いになって、栞が教室に入ってきた。

「よう、栞」

「こんにちは、栞ちゃん」

「こんにちは、祐一さん、名雪さん」

「どうした、何か用か?」

「用が無いと来たらいけないんですか?」

「いや、そんな事は無いが・・・」

「ふふ、ちゃんと用はありますよ。祐一さん、今日のお昼からデートだということを忘れていそうでしたから、確認に来たんです」

「・・・え?」

「・・・・・・本当に忘れていました?」

「・・・そんな事は無いぞ」

「なんですか今の間は?それに、何で外を見ながら言うんですか?」

「それよりもデートだろ?今から行くのか?」

「いえ、一旦家に帰って着替えてからです。1時に駅前でいいですか?」

「ああ、俺は構わないぞ?」

「いいですか、1時ですよ?今度は忘れたら駄目ですよ?」

「そんなに信用無いか?俺・・・」

「今日のデートの約束を忘れてたじゃないですか」

「う・・・」

「それでは、一旦さよならです」

そう言って栞は教室を出て行った。

「・・・祐一、本当に忘れていたの?」

「いや、そんな事は無いぞ」

「そうだよね・・・祐一、あれ作るのに必死だったもんね」

「・・・まあな・・・そろそろ帰るぞ」

「うん」

俺は、すでに部活を引退している名雪と共に家路についた。

 

 

12時30分

俺は駅前にいた。

本当はもう少し後に行くつもりだったのだが、名雪にさっさと行くように急かされてしまったため、こんな時間になってしまった。

栞はまだ来ていないようだな。

それに、ちゃんとこれも持って来ているな・・・

とりあえず近くのベンチに座り、待つことにする。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

遅いな・・・まだか・・・?って俺が早いのか・・・

時計を見たら、12時45分だった。

俺は再び視線を戻す。すると突然俺の視界が何かにふさがれた。

「な、何だ?」

「だ〜れだ?」

「その声は栞か?」

「ふふっ正解です」

俺の視界を塞いでいたものが無くなる。そして、俺の目の前に栞が現れた。

「こんにちは、祐一さん」

「おう」

「ちゃんと約束、覚えていましたね」

「おいおい、いくらなんでもさっき聞いた事を忘れたらヤバイだろ」

「それもそうですね」

そう言って栞はクスクスと笑う。

「じゃあ、そろそろ行くか?」

「はい」

俺は立ち上がり、栞と並んで歩き出した。

 

 

商店街

「で、相も変わらず俺たちはここに来るんだなぁ・・・」

「いいじゃないですか、私は好きですよ?商店街」

「そうは言ってもなあ・・・」

俺たちはいつもと変わらない道を歩いていた。

「それにしても、今日はなんだかやけに騒がしいな・・・」

今日の商店街は、いつもと比べたらやたらと飾り付けをしており、人も多い。

「それは、今日がクリスマスイブだからですよ」

「あ、そういえばそうだったな・・・まあ、だからと言って別にどうするわけでもないけどな」

「・・・・・・・・・」

この時、一瞬だが栞が少し沈んだ表情になった・・・

 

 

一通り回り、俺たちは以前栞に教えてもらった公園に来ていた。

「ふ〜、今日は結構歩いたな〜」

「そうですね・・・」

「辺りももう大分暗くなってきているし」

「そうですね・・・」

「って、栞・・・?」

「何ですか・・・?」

「どこか体の調子でも悪いのか・・・?」

「どうしてですか・・・?」

「いや、何か浮かない顔をしているから・・・」

「別に、何でもありません・・・」

・・・そろそろ頃合いかな・・・

「栞、実はお前に渡したいものがあるんだ」

「え・・・?」

「これだ」

そう言って俺は栞に少し大きめの包みを渡した。

「これは・・・?」

「まああけてみろ」

栞は言われるがままに包みを開く。

中のものを見たとき、栞の表情は一変した。

「あの・・・祐一さん・・・これは・・・?」

「クリスマスプレゼントだ。一応俺の手作りだぞ」

「祐一さん・・・!」

「ほら、今年の初めあたりに、俺が新しいやつを編んでやるって言ったじゃないか」

俺が栞にプレゼントしたのは、俺手作りのストールだったのだ。

「手作りだからちょっと形は悪いが、我慢し・・・ってうおっ!?」

俺の言葉が言い終わらないうちに、栞が俺に抱きついてきた。

「ありがとうございます祐一さん。私、とっても嬉しいです!」

「すまなかったな・・・栞の驚く顔が見たくて、今まで何も分からないふりをしていたんだ・・・」

俺は栞の頭に手を置いて言う。

「もう、祐一さん、意地悪です・・・」

そういった栞の顔は、この上ない笑顔だった。

「あ・・・雪・・・」

栞が空を見上げる。俺もそれに合わせて空を見上げた。空からは、雪がちらほらと降り始めていた。

「ホワイトクリスマス、ですね・・・」

「と言うか、今まで降らなかった方が不思議だろ、ここでは・・・」

「祐一さん、その場の雰囲気を読んでください」

「ああ、悪い悪い」

「ところで祐一さん、私もクリスマスプレゼントがあるんですけど・・・」

「ん?そうなのか?」

見たところ栞が何かを持っている様子は無いのだが・・・まさかポケットか?

「はい。それで、祐一さんには少し目を閉じていて欲しいんです」

やっぱりポケットから出すのか?その瞬間を見られたくないから俺に目を閉じろと言うのか・・・

「ああ、分かったよ」

俺は言われるままに目を閉じた。

その次の瞬間・・・

 

(・・・え・・・?)

 

俺の唇に何かが重なった。目を開けると、真正面に栞の顔があった。

しばらくして、栞の唇がが俺の唇から離れる。

「祐一さん、今のが私からのクリスマスプレゼントです」

「・・・お約束・・・だな・・・」

「そうですね・・・でも、私は、そういうお約束は嫌いではないです」

「ああ・・・俺もだ・・・」

公園で見つめあう2人を祝福するかのように雪は降っていた・・・

この恋人たちに幸あれ・・・

 

 

 

 

 

あとがき

AAA「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

栞「あれ、作者さん、どうしました?」

AAA「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

栞「作者さん?」

AAA「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

栞「もしもーし」

AAA「・・・・・・・・・・・・はっ!?」

栞「どうしたんですか?先程から固まっていましたけど」

AAA「いや、慣れないSSを書いたものだから、しばらく機能が停止していたようだ・・・」

栞「これは、私が主役のほのラブSSですね」

AAA「最近ギャグや壊れしか書いてなかったし・・・」

栞「他のジャンルも練習しましょうよ・・・」

AAA「確かにいろいろ書けたほうがいいのだが・・・」

栞「・・・だが、なんですか?」

AAA「SS書いてると、どうしてもギャグを入れたくなってきてなぁ・・・」

栞「・・・」

AAA「自分がつくづくギャグ作家なんだなって思わされるよ」

栞「リクエストを受けるのなら、いろんなジャンルが書けないと駄目ですよ」

AAA「それは分かっているのだが・・・」

栞「まあ、今回は私が主役だったので、これ以上は何も言いません」

AAA「さていかがでしたでしょうか、15000ヒット記念SS!」

栞「この作者さんにしては珍しいほのラブSSでした!」

AAA「ゆーとぴあさん、15000ヒット、おめでとうございます&ありがとうございました!」

栞「よかったら感想くださいね?」

AAA&栞「それでは、さようなら!」

 

 

 

 

 

(シリアスは書かないのですか?)

(絶対無理・・・)




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