〜ホントに楽しい!?白馬国際コルチナ編〜

3度目の正直

スキーに行き始めてかれこれ3度目の冬がやってきた。
思いきって、こんな会話を切り出してみたこともある。
私「あのさあ、ロクに滑れない人と一緒に行っても、楽しくないことない?」
彼「ううん♪」
私「2年後にはさ、またイギリス行きたいんだよね。スコットランドの田舎にも行ってみたいしさ。
それでコツコツ貯金しようかと思ってるんだけど・・・スキーに私連れて行くの、お金がもったいなくない??」
彼「それとこれとは別!!」
と、「立て板に水」状態となり、結局今年もスキーに行く事となった。やれやれ・・・

バスに乗る
私は車にとても弱い。運転は大好きなのだが、助手席が苦手である。すぐに酔ってしまう。
そんな私だが、鉄道で行くシュプール号とバスの金額を比較すると、断然バスの方が安いことに気がついた。
思いきって今年は、酔い止めを握り締めバスに乗り込むことにした。
行きのバスは、ロイヤルサルーンカーという種類のバスで、前方がとても広く、足が自由に伸ばせた。
最後の坂道では多少気分が悪くなったものの、我慢できないほどではなかった。

バスの中
出発前に軽食しか食べなかった為、夜中にお腹が空いた私達は
途中休憩のサービスエリアで「飛騨牛コロッケ」のコーナーで
不気味なまでに笑顔を浮かべて夜食を買い求め、人の目も気にせずむしゃむしゃ食べた。
(こんな事をするから、後で調整に苦労するわけである。とは言え、苦労するのは私ひとりであるが。)
このバスは、足用のリクライニング出来るシートがついていた。いい気になって、一番高い所まで上げて
その上に足を置き、横たわってみたがだんだん足がしびれてくる。上げれば良いという訳ではない事が良く分かった。
なんとなく眠くなって、頭を脇の肘掛けに置いて寝ていたら、頭の上に何かがのしかかった気がする。
後で聞いたところによると、なんと私の頭の上に、彼が頭を置いて寝ていたのである。
彼曰く、丁度良い高さに、枕があると思ったらしい。(そんな事が許されて良いのか?)

仮眠前、バスから夜の景色を眺めながら、私は彼にふと尋ねた。
「向こうについたら、仮眠するんでしょ?」
「ナニ言ってんだよ、チェックインは3時だし、着替えてゲレンデに行くんだよ。」
「ええええ〜っ!!」
私はそれから急いで眠ることにした。悠長な事は言っていられなかったのだ。

到着
そんな具合で、のんびりと仮眠している内に、空が明るくなって来た。朝が来たのだ。
バスの窓から眺める朝の景色は初めてだ。辺りは既に雪国であった。
どこまでも続く長い雪道をバスがひたすら昇って行く。乗っていた人達がひとり、ふたりと消えて行く。
私達2人は最後に残った客であった。

スキー場にて
久々のスキー場に、雪の降る中のリフトに乗る事は、初心者にとってはなかなか怖いものである。
しかもリフトが上がっていくにつれ、「リフトからの飛び降り禁止!」なんて立て札が目に入る。
この様な所から喜んで飛び降りる様な奇特な人がいるのかと思うだけで、身震いがする。
転ぶのを覚悟で、思いきって滑り始めることにする。
初級ゲレンデから初めて滑った時、自分が意外と滑れる事に気がついた。
なんと、1度も転ばずに傾斜を滑れるようになっているではないか!
こんな芸当を何時私は身につけていたのだろう。
「足の形と重心に気を配るんだよ、もう一回行く?」
という彼の言葉にも素直にはいはいと笑顔で応えて、再度チャレンジすることになった。
何時になく機嫌の良い私に彼も安心したようだ。
初めは舞い散る雪が風で顔に張りつき、視界も悪かったが、午後から暖かい小春日和の様な天候に
回復した。滅多に見られないパウダースノーと、雪質の良さも手伝って、その日は8回ほど同じコースを滑っていった。

ここのゲレンデには子供連れのお客さんが大勢いて、子供にスキーを教えている親の姿が目立った。
青やピンクのスキーウェアに小さなスキー板を履き、ストックを握り締めながらスーっと滑っていく姿がなんとも愛らしい。
まるでの様であった。
父親か母親がその姿を見守りながら、いざという時には抱き起こし、ひざと腕で抱えながら滑り降りるという
私にはとても考えられない離れ業をやってのける人もいた。かつてはスポーツ万能で、何かの選手だったのだろうか。
幼子の健気な様と親の厳しくも暖かい眼差し・・・・そんな姿を目にして勇気づけられ
なんだか急にやる気がみなぎるのを感じた私は、その日は8回、2日目に至っては中級コースにも出向き
リフトに乗っては滑降を繰り返した。リフトにはその日13回乗ることが出来た。

この様に、リフトに昇っては降り、昇っては降り・・・と永遠に繰り返す事を「二十日ねずみ現象」と言うのだそうだ。
もっともらしいネーミングだが、彼が勝手につけた名前かもしれず、そんな専門用語など、百科辞典をを引いてもおそらく見当たらない
事だろう。しかしながら、二十日ねずみになった気分は、なかなか爽快である。繰り返すにつれ、リフトに乗っている時間の方が
滑って降りる時間よりも長く感じるようになる。毛嫌いしていた私ですらそうなるのだから
全く物事は最後までやってみないと分からないものである。
「下山」している人も見た。下山。それはかつて吹雪く北海道の中級コースで経験した屈辱だった。
(Back No.の「Fluffy Skier〜魔の北海道編」を参照)
2年前の苦しかった時のことをふと思いだし、私は彼に言った。
「それでもさあ、あのシーンが一番おもしろかったみたいだよう、読んでいる人にとっては。」
彼は張りついた笑顔のまま答えた。
「俺は辛い。」

二十日ねずみに飽きると私達は戸外にあるホットドック屋さんに出向いてお昼を食べた。
雪景色の中で食べるカツサンドやフィッシュサンドはことさらおいしく感じる。
ここの店の前には簡易な椅子とテーブルが並んでいて、のんびり座って食べることができた。
お店を営んでいる人は今日はロック、その次の日はダンスビートなどと毎日BGMを変えていた。
どうやらオアシス(イギリスのロックグループ)のファンらしく
彼らの懐かしいファーストアルバムからの一曲を聴いた時はちょっとうれしかった。

ホテルでのひととき〜迷惑な客
「この写真を撮りたいなあ。」
私達はホテルの片隅にある、窓際で窓越しに光るつららを見つめていた。
「窓を開けて撮りたいなあ。」と思った彼は、力をふりしぼって開けようとしたが、全く開かない。
「かしてみりん」と私はえい、と力を込めた瞬間窓は開いた。
自らの怪力に驚愕しながらも写真に納めた後、満足して窓を締めようとした。
「あれ???」
窓は全く閉まらなくなった。2人で頑張っても、駄目である。外気の寒さが影響したのか。
開け放たれた窓からは零下何度かと思うような寒気が風に乗ってやってくる。
やばい、このままでは本当に閉まらなくなってしまうと思った私達は、情けないことに
フロントの方に頭を下げてお願いした。
係りの女性は「男の人達に手伝ってもらいますから」と微笑んでいた。
私達はしばらく反省ザルの様に頭を垂れていた。
少し時間が経ってから、こっそり窓の様子を伺った。
なんとあの女性がひとりで閉めてくれたらしい。
全く恥ずかしい事をしてしまった。

「ねえ、やっぱり予定通り、カラオケに行こうよ」
私はおもむろに口を聞いた。
「ええ〜!!もう大人しくしてたほうが良くない!?」と彼は驚いた。
「だってさ、カラオケすれば、ホテルにお金が入るじゃん。その方がホテルにとっても良いと思うよ。」
と私は言ったが、正直善悪の判断がもうついていなかった様に思う。
カラオケがしたかったのだ。
ホテル内にあるカラオケボックスは異常に高かったが、懐かしの80年代洋楽が勢揃いしていて
とても楽しませてもらえた。しかしながら、高価な遊びだった為か、はたまた罪悪感ゆえか
あれ以来カラオケには行っていない。

ホテルのロビーの一角には、が喜びそうなお菓子で出来たホテルの模型があった。
早速記念撮影をする事にした。
私達は、やっぱりちょっと変な客だったに違いない

雪国の印象
白馬は去年も入れて2回目になる。雪国にいてのんびりしていると時間を忘れてしまいそうだ。
宿泊先の印象も全体的にとてもおっとりしていて、のどかで素朴な人柄が伝わってくるようだ。
苦手なスキーもこんな風にのんびりした環境にいることで上達していく様に思う。
買ってきたジャムを食するごとに、また雪化粧を見たいなと思う今日この頃である。


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