イギリスについて2
風のように
ロンドンについた翌朝、日本から持ってきた「地球の歩き方」と
ホテルの電話帳を睨めっこしながら、とりあえず、ヨークぐらいなら、その日の
うちに列車で行けるんじゃないかと思い、ヨークのB&Bに連絡をとってみた。
ヨークはイギリス北部にある素晴らしく小さな可愛い街で、中世期に造られた
城壁で囲まれたヨーロッパの香りがぷんぷんした。
街はとても小さく、その中で暮らす人達も素朴だ。
ロンドンやバーミンガム、マンチェスターなどの都市に行くと疲れてしまうような
人には、ここは最適の空間だ。
私はそこからエディンバラ、リバプール、ストラッドフォード・アポン・エイボン
そしてバースと、英国が誇るInterCity125(日本で言うJRか)で、ぐるぐるとめぐっていた。
どこが一番よかったか、それは答えるには難しい。
好き、嫌いはともかく、全てその街の空気は、初めての人間にとっては新鮮だ。
敢えていうならば、夜遅くまで知り合いになった人と語らったリバプールだろうか。
リバプールは、言うなれば労働者の町で、道もなんとなく雑然としていて、
初めて見たときは、ちょっとがっかりしたものだ。
ラッキーなことに、そこの宿で泊まっていたカナダ人がかなり
親切な人だった為、夜遅くまで、音楽のこと、働くこと、などについて話すことが
できた。
「エジンバラはどうだった?」「言葉が難しかったし、なんか無愛想だったよ。」
「ロンドンは?」「田舎の方が好き」「ドウシテ〜???」
そんな、私が誤解してる街の印象を、「そんなことないよ」と解説して
くれることになった。
「ここの宿のおじさんは、スコットランド出身だよ、彼のこと無愛想だと思う?」
宿の人は、とても親切で、度々外出する私に鍵まで持たせてくれたのである。
私は少し自分が恥ずかしくなった。
そこのB&Bには、古いピアノがあり、私は夕方になると必ずピアノを触っていた。
私のピアノは、お世辞にも誉められたものではないが、幸いなことに、そこには
ビートルズの楽譜が一杯並べられていた。
なんだかんだ言ってもルーツはやっぱり彼らだ。「Hello,Goodbye」をこっそり弾いていると、
宿のおかみさんが曲に合わせて歌ってくれた。
あんな下手な演奏を喜んでくれたことが、とてもいい経験となった。
リバプールの街を歩いていると、何故ここで世界最大のロックグループが
生まれたのか、その理由が分るような気がする。
ここは、ドラえもんのポケットだ、ありきたりの街角を曲がっただけなのに、
どこか、違うところに辿りつき、さ迷ってしまう。そして、下町の商店街の活気。
太陽の日差しを浴びて、ゆっくりと散歩をしたり、美術館があったりする。
この雑然とした港町は、想像力の源になるに十分足る力を持っていたようだ。
(C)Hazuki. 2000