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テーマ別参考書

以下に掲載する文献は、私が独断と偏見でもって選んだ、哲学科の学生にありがちなテーマ別(50音順)の、日本語で読める文献です。現在の出版状況などについては、アマゾン書店のデータを参考にしました。書籍データのあとの★は単に一通りの読みやすさの程度を示し、文献の価値とは何の関係もありません。その基準は、おおよそ、以下の通り。
★★★★★ その著作だけを読んでも、理解不能のもの。予備知識のない者は、ほぼ間違いなく、一頁目で「何なんだこれは!呪文か!?」と呻く。理解するには、良質の参考書と、強力な忍耐力(ときにマゾヒスティックなものさえ要求される)が必要。ちなみに、この参考書自体が★★★★レヴェルであることが多い。このレヴェルのものはたくさんあるが、青少年の健全な育成のために、最低限のものしか掲載しないことにした。
★★★★ 忍耐力さえあれば、何とか一人でも理解可能。ただし、大学生活の最後の年をお気楽に過ごしたい人にはお薦めしない。
★★★ 大学生なら読めるはず。いや、読めて欲しい。
★★ 電車で、でも読める。
お菓子を食べながら、でも読める。

なお、このページは「哲学者別入門書」と相補関係にあるページですので、こちらにないものについては、そちらも見てください。 

ただいま(というか、ずっと)作成中です。


プラトン『饗宴』(岩波文庫、1965年、500円、★★)。ただし、しっかり読みたい人は、少し値がはるが、以下を買って欲しい。『饗宴、パイドン』(朴一功訳、京都大学出版会、2007年、4515円)。

(アガペー、キリスト教の愛)
シエル・シルヴァスタイン『おおきな木』(篠崎書林、1976年、1162円、★)。絵本。
マックス・ルケード『たいせつなきみ』(フォレストブックス、1998年、1680円、★)。絵本。レッテルにとらわれない生き方。あるいは、エリを神と考えないなら、ほかの理解の仕方もある。

(愛全般)
エーリッヒ・フロム『愛するということ』(紀伊国屋書店、1991年、1325円、★★)
小林司『愛とは何か』(NHKブックス、1997年、1070円、★★)
。読みやすいが、こちらの思考を刺激してくるものはない。
今道友信『愛について』(中公文庫、2001年、680円、★★)。読みやすい。


いじめ
松谷みよ子『わたしのいもうと』(偕成社、1987年、1260円、★)。絵本。実話をもとに作られた絵本。転校がきっかけでいじめられてしまうようになった妹。そのうちに学校へ行けなくなり家に閉じこもる。しかし、いじめた人たちは何もなかったかのように中学、高校と進学していく。妹は鶴を折りはじめ、母も泣きながら鶴を折る。その鶴の行き先は・・・。


癒し
(聴くということ)

ロラン・バルト「聴くこと」「声のきめ」、『第三の意味』所収(みすず書房、1984円、絶版、★★★)
鷲田清一『聴くことの力―臨床哲学試論』(阪急コミュニケーションズ、1999年、2100円、★★★)。鷲田は上記の本を参照しているはずなのに、なぜ言及しないのか不思議。
ミヒャエル・エンデ『モモ』(岩波書店、1976年、1700円、★)。この本を時間論の観点から読んでも何もおもしろいことはないだろう。私はむしろ、「待つということ」「聴(聞)くということ」の意義を扱ったものとして読み解いた。人間に人間らしさ(時間性)を取り戻したのは、モモのそうした態度だった。

(死への悲しみからの癒し)
小此木啓吾『対象喪失――悲しむということ』(中公新書、1979年、714円、★★)。心理学の観点から。
スーザン・バーレイ『わすれられないおくりもの』(評論社、1984年、1050円、★)。絵本。



プロチノス『善なるもの一なるもの』(岩波文庫、絶版、★★★)。プロティノスでは神に相当するものは「一なるもの」とされる。
ルクレティウス『物の本性について』(岩波文庫、絶版)。エピクロスの思想を6巻の詩にしてある。近代科学に先立つ自然主義、唯物論の書。魔術的宗教、人間を不安に陥れる神からの解放。一度は読まねばならない。この本を絶版にしておくのは、ある意味、罪。
エックハルト『神の慰めの書』(講談社学術文庫、1985年、1155円)。ドイツ神秘主義の神。
ニコラウス・クザーヌス『学識ある無知について』(平凡社ライブラリー、1994年、絶版、★★★)。対立の一致としての神。否定神学の神
スピノザ『エチカ』上・下(岩波文庫、1975年、660円・500円、★★★★★)。自然=神。汎神論の神。難解、果たして読み通せる人がいるだろうか?
フォイエルバッハ『キリスト教の本質』上・下(岩波文庫、1965年、798円、★★★)。人間を創ったのが神ではなく、人間が創ったのが神。キリスト教圏でよくぞ言った、パチパチ。船山信一の訳は古い。


幸福(幸せ)
アリストテレス『ニコマコス倫理学』(京都大学西洋古典叢書、2002年、4935円、★★★)。岩波文庫版より、こちらの訳の方がよい。
エピクロス『エピクロス―教説と手紙』(岩波文庫、1959年、絶版、★★)。ちなみに、ワイド版岩波文庫は入手可(2002年、1050円)。原子論的唯物論者の幸福論(ただし、無神論者ではない)。興味深い。精神的快楽が最高の善であり、幸福は外物に煩わされない、死に対する恐怖のない、心の平静な状態(ト・アタラコン、アタラクシア)である。「ヘロドトス宛の手紙」が最も重要。次いで「メノイケウス宛ての手紙」。後述するアンソロジーにある、荒正人「ストア派の幸福論」、山田孝雄の「ギリシャの哲人どもの幸福観」は、さして参考にならない。詳細は考察のためには、ルクレティウス『物の本質について』(岩波文庫、1961年、絶版)が必要か。
キケロ『トゥスクルム荘対談集』(『キケロー選集』第12巻、岩波書店、2002年、6720円、★★)
エピクテトス『語録』(中央公論社、世界の名著第13巻『キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス』、1968年、絶版、★★)。セネカの『幸福な人生について』は、おもしろくない。
マルクス・アウレリウス『自省録』(岩波文庫、1956年、588円、★★)。岩波文庫では「アウレーリウス」と表記される。ローマ皇帝の幸福論。幸福(エウダイモニアー)とは、善きダイモーン(ダイモーンとはゼウス自身の一部であって、ゼウスが各人に主人として、指導者として与えたものであり、各人の叡智と理性にほかならない、第五章27節)または善き指導理性のこと(第七章17節)。さて、人間が理性的であるとは、人間が社会的であるということであり、肉体的欲情に対して抵抗力をもつということである。したがってよく放埓を抑え、社会的秩序を形成することが人間の幸福である。さすがは皇帝。
亀井勝一郎他『幸福とはなにか』(創元社、創元社学生シリーズ、1951年、絶版、★★★)。著名人たちによるアンソロジー。それぞれの論文のレヴェルは高い。収録論文は以下の通り。三谷隆正「幸福とは何か」、三木清「幸福について」、谷川徹三「幸福について」、河上徹太郎「幸福と幸福論」、串田孫一「孤独なる幸福」、市原豊太「生き甲斐について」、亀井勝一郎「愛慾の悲劇と喜劇」 、北森嘉蔵「聖書の教へる幸福」、荒正人「ストア派の幸福論」、石井立「ショーペンハウェルの幸福論」、陶山務「フィヒテの幸福論」、塩尻公明「ヒルティの幸福論」、市原豊太「アランの幸福論」。残念ながら、入手は困難だろう。国立国会図書館と大学図書館数館にある。
山田孝雄編『世界の幸福論』(大明堂、1979年、絶版、★★★)。執筆者31人によるアンソロジー。一つ一つの論文のレヴェルは上掲書に及ばないが、西洋から東洋の幸福論を網羅しており、守備範囲は広い。参考になりそうなものがあったら、目を通してもよい。第三部のⅣ章「西洋人の幸福観」に収録された論文名のみを記しておく。「ギリシャの哲人どもの幸福観」、「セネカの幸福論―『幸福なる生活について』を中心として」、「セント・オーガスチンの幸福論」、「キリスト教の幸福観―カトリックの立場から」、「キリスト教と幸福」、「英国功利主義者の幸福論」、「ショーペンハウエルの幸福論」、「フォイエルバッハとマルクスの幸福観」、「ヒルティの幸福論」、「アランの幸福論」、「ラッセルの幸福論」、「アンドレ・モロアの幸福論」。
辛島司郎『しあわせの力学―日本語からみた幸福論』(八千代出版、1984年、2957円、★★)
新宮秀夫『幸福ということ―エネルギー社会工学の視点から』(NHKブックス、1998年、1176円、★★) 。なぜか工学部の研究者が出した幸福についての書物。古今東西の幸福論の書物を読み解き、それなりに本格的な幸福論を展開している稀有の書。哲学者の思想の理解については読み違いがあるが、巻末の参考文献表、そして一冊一冊に対するコメントは役に立つ。
アンドレ コント=スポンヴィル『幸福は絶望のうえに』(紀伊国屋書店、2004年、1470円、★★★)。今流行りのフランスの哲学者。講演録なので読みやすい。


心・魂
アリストテレス『心とは何か』(講談社学術文庫、1999年、880円、★★★)
G・ライル『心の概念』(みすず書房、1987年、絶版、★★★★)
B・ラッセル『心の分析』(勁草書房、1993年、3360円、★★★★)

(子どもの心)
中勘助『銀の匙』(岩波文庫、1999年、525円、★★)。子ども(詩人?)の目から見た世界の描写。
サン=テグジュペリ『星の王子さま』(岩波少年文庫、2000年、640年、★)。内藤濯の翻訳は訳語がいささか古い。児童書に参考書というのも変かもしれないが、いかようにも読めるこの書の手引きとしては、まず、同じ著者の『人間の土地』(新潮社、1955年、552円)。これを読めば、サン=テグジュペリの思想的なバックボーンが見えてくる。独立した書物としても、一つの人間観を与えうる名著。その他には、宮田光雄『大切なものは目に見えない―「星の王子さま」を読む』(岩波ブックレット、1995年、504円)、八幡博『「星の王子さま」の心理学―永遠の少年か、中心気質者か』(大和書房、2000年、1890円)、小島俊明『大人のための星の王子さま』(ちくま学芸文庫、2002年、998円)など。


孤独
伏見憲明『さびしさの授業』(理論社、2005年、1050円、★)。まずこの本から読んで欲しい。小学生でも読めると思う。いじめを考える人にも読んで欲しい本。
クラーク・E・ムスターカス『愛と孤独』(創元社、1984年、絶版、★★★)。孤独ということを実存的(?)にとり、「ひとり」と「孤独」、「さみしさ」(loneliness)と「孤独」(solitude)を区別する。「ひとりとは、たいてい過去や未来にまたがった中間的な状態であるが、孤独とは、常に生命に直接、今、ここでかかわっている状態である。ひとりとは、自分に没入していることである。孤独とは、自分と共にありながら、さらにそれを超え、新しい自己を想像しようと激しく一瞬に生きることである」。興味深い分析だが、学問的な厳密さはない。
諸富祥彦『孤独であるためのレッスン』(NHKブックス、2001年、1071円、★★)。読みやすい。
その他、神の前での単独者としての自己を実存ととるキルケゴールがあるが、個人的に好きではないので薦めない。


言葉・意味
フレーゲ「意義と意味について」(坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅰ』、勁草書房、1986年、2730円、★★★★)
ラッセル「指示について」(同上、★★★★)
ストローソン「指示について」(坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅱ』、勁草書房、1987年、2730円、★★★★)
クワイン「経験主義のふたつのドグマ」(『論理的観点から―論理と哲学をめぐる九章』、勁草書房、1992年、2940円、★★★★)。以上の文献に共通する参考書としては、初心者向けのものとしては、大庭健『はじめての分析哲学』(産業図書、1990年、2940円)。やや専門的な議論を含むものとして、飯田隆の『言語哲学大全』各巻(勁草書房)など。



プラトン『パイドン―魂の不死について―』(岩波文庫、1998年、560円、★★)。ただし、しっかり読みたい人は、少し値がはるが、以下を買って欲しい。『饗宴、パイドン』(朴一功訳、京都大学出版会、2007年、4515円)。参考書としては、戸塚七郎編『プラトン ソクラテスの弁明』(有斐閣新書、2000年、絶版)
エピクロス『エピクロス―教説と手紙』(岩波文庫、1959年、絶版、★★)。「われわれが存する限り、死は現に存せず、死が現に存するときには、もはやわれわれは存しない。死は、生きている者にも、すでに死んだ者にもかかわりがない。なぜなら、生きている者のところには、死は現に存在しないのであり、他方、死んだ者はもはや存在しないからである」(「メノイケウス宛ての手紙」)。これ以外の体系的な論述はない。参考書としては、堀田彰『エピクロスとストア哲学』(清水書院センチュリーブックス、1989年、893円)。A・A・ロング『ヘレニズム哲学―ストア派、エピクロス派、懐疑派』(京都大学学出出版局、2003年、5775年)。
マルクス・アウレーリウス『自省録』(岩波文庫、1956年、560円、★★)。エピクロスの影響を受けている。誕生は元素の結合であり、死は元素の分解である。結合された元素が分解するのは、自然の成り行きである(第四章の5・6節、21節、その他、第七章の32・50 節、第八章の18節)。ただし、体系的な論述はない。
岸本英夫『死を見つめる心』(1973年、講談社文庫、448円、★★)
三浦綾子『塩狩峠』(新潮文庫、1973年、580円、★★)。文学書ではあるが、クリスチャンの死生観を読み取ることができる。
ウラジミール・ジャンケレヴィッチ『死』(みすず書房、1978年、8085円、★★★)。死を一人称(自分の死)、二人称(身近な者の死)、三人称に分けて論じる。人称によって死がまったく異なるという、死を論じるときの基準を最初に整理して唱える。
松浪信三郎『死の思索』(岩波新書、1983年、絶版、★★)。読みやすい。
ウラジミール・ジャンケレヴィッチ『死とは何か』(青弓社、2003年、2400円、★★)。ジャンケレビッチについては、上掲書より、こちらの方が理解しやすい。対談集
キューブラー・ロス『死ぬ瞬間―死とその過程について』(中公文庫、2001年、1048円、★★)
モンテーニュ「哲学すること、それはどのように死ぬかを学ぶこと」(中公クラシックス『エセー1―人間とは何か』、2002年、1550円、★★)
鷲田清一『教養としての「死」を考える』(洋泉社、2004年、756円、★★)


時間
アウグスチヌス『告白』第11巻(中央公論社、世界の名著『アウグスティヌス』、絶版、★★★)。絶版でないものとしては、岩波文庫、上下、1976年、660円がある。
カント『純粋理性批判』上(平凡社ライブラリー、2005年、1890円、★★★★★)。本書は理想社版の『カント全集』に収録されていた原佑による翻訳。岩波文庫版よりも、こちらの方がよいだろう。中・下巻は追って発売されるものと思われる。
ベルクソン『時間と自由』(岩波文庫、2001年、700円、★★★)
波多野精一『時と永遠』(『波多野精一全集』第五巻、岩波書店、1989年、3772円、★★★)
大森荘蔵『時は流れず』」(青土社、1996年、1800円、★★★)
ポール・デイヴィス『時間について』(早川書房、1997年、2940円、★★)。物理学的時間論の入門書、ニュートンからホーキングまで。
ピーター・コヴニー他『時間の矢、生命の矢』(草思社、1995年、2940円、★★)。科学の広範な範囲における時間の矢の問題の概観。
滝浦静雄『時間』(岩波新書、1976年、★★)
野矢茂樹『同一性・変化・時間』(哲学書房、2002年、2400円、★★)


自己(→自己と他者、心・魂)
プラトン『ソクラテスの弁明』(中央クラシックス『ソクラテスの弁明ほか』、2002年、1575円、★★)。参考書としては田中美知太郎『ソクラテス』(岩波新書、1957年、693円)。戸塚七郎編『プラトン ソクラテスの弁明』(有斐閣新書、2000年、絶版)。「ソクラテス」と名のつく本には微妙なものが多いので、注意。例えば、池田晶子のものは薦めない。
デカルト『方法序説』(岩波文庫、1997年、420円、★★★)。デカルトの著作として一冊目に読むべき。さらに進んで二冊目となると、『省察』(『省察・情念論』中公クラシックス、2002年、1418円)。『方法序説』の参考書としてまず読むべきは野田又夫『デカルト』(岩波新書)、ついで山田弘明『「方法序説」を読む―若きデカルト生と思想』(世界思想社、1995年、1998円)。さらに進んでデカルト哲学の全体像を与える、つっこんだ議論を含んだものとしては、所雄章『デカルト1・2』(勁草書房、1996年、2625・2940円)、『省察』の高度な解説としては、最近、所雄章の『デカルト「省察」訳解』(岩波書店、2004年、13650円)が発売された。
ロック『人間悟性論』 名著/古典籍文庫―岩波文庫復刻版(一穂社、2005年、7245円)。岩波文庫版(上・下)の復刻版。古典的な人格の同一性についての議論を含む。
カント『人倫の形而上学の基礎づけ』(中央公論社、世界の名著『カント』、1972年、絶版、★★★★★)。参考書としては以下のものがある。カントの全体像をまとめたものとしては、高坂正顕『カント』(理想社、1977年、絶版、その後、『高坂正顕著作集』第4巻、1965年に収録されるも絶版)、岩崎武雄『カント』(勁草書房、1996年、2625円)がある。前者は極めて高度な内容を含むが全体として表現が古く、難解。後者は前者よりも読みやすいが、それでも用語などはいささか古い。この書に収録されている野田又夫の解説「カントの生涯と思想」(その後、『野田又夫著作集』第Ⅳ巻、1982年、絶版、に収録)は簡潔にして要を得た秀逸の解説であるが、簡潔すぎて難解。最近のものとしては、石川文康『カント入門』(ちくま新書、1995年、756円)があり、読みやすい。『人倫の形而上学の基礎づけ』の参考書としては、和辻哲郎『カント実践理性批判』(『和辻哲郎著作集』第9巻、岩波書店、絶版)、H・J・ペイトン『定言命法―カント倫理学研究』(行路社、1986年、絶版)がある。
S・シューメーカー『自己知と自己同一性』(勁草書房、1989年、3150円、★★★★)。ロック以来の人格の同一性に挑む。
ダニエル・C・デネット『解明される意識』(青土社、1991年、3990円、★★★★)。クオリア(意識内に含まれる感覚的質量)を認知科学の観点から論じた現代意識論の文献。その他、クオリアについては、信原幸弘の著作などを読んで欲しい。クオリアを使用した意識論については、茂木健一郎という人物もいくつかの著作を出しているが、読む必要はない。
鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』(講談社現代新書、1996年、680円、★★)
永井均『「子ども」のための哲学』(講談社現代新書、1996年、735円、★★★)。前半部分。永井には多くの著作があるが、比較的新しいものとしてもう一冊だけ、『転校生とブラックジャック』(岩波書店、2001年、2940円)をあげておく。
村田純一他編『岩波新・哲学講義4―「わたし」とは誰か』(岩波書店、1998年、2520円、★★★)。永井、浜田などの論文を含む。
鷲田清一『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、2000年、★★★★)。「わたし」はどのように形成されているのか。この謎に対して、衣服をキーコードとして、一つの回答を示す。「モード」というコードで意識された枠組みのなかにのみ「わたし」は「内部」=自分という概念を生成する。同じ著者の同じ性質をもった書物としては、『ひとはなぜ服を着るのか』(NHKライブラリー、1998年、920円)、『着飾る自分、質素な自分』(KTC中央出版、2004年、1400円)がある。後者は、NHKの番組「課外授業ようこそ先輩」をもとにしたもの。他者の視線を鏡にして、人は自分のイメージを微調整する。
小阪修平『ガイドブック 哲学の基礎の基礎―「ほんとうの自分」とは何なのだろう』(講談社プラスアルファ文庫、2003年、780円、★★)

(心理学等の観点から)
フロイト『精神分析入門』上・下(新潮文庫、1977年、660円・660円、★★★)
木村敏「自分ということ」(『自分ということ』、第三文明社レグルス文庫、1983年、絶版、★★★★)。離人症を手がかりとして自分を考察する。
木村敏『時間と自己』(中公新書、1982年、693円、★★★★)
浜田寿美男『私のなかの他者―私の成り立ちとウソ 自己の探求』(金子書房、1998年、2310円、★★★)。「私」の形成における他者の不可欠さを、ウソという現象を切り口として考察する。その他、人間生活のなかで自我がどのように形成されるのかという「自我形成論」についての浜田の考え方は、浜田寿美男編『「私」というもののなりたち』(ミネルヴァ書房、1992年、2940円)の第Ⅰ部の第1章と第4章くらいを読めばわかりやすいだろう。浜田寿美男『「私」とは何か』(講談社選書メチエ、1999年、1890円)は前二書の内容をより詳しく展開したものだが、読み通すにはやや根気がいるので薦めない。


自己と他者(→自己、心・魂)
エマニュエル・レヴィナス『時間と他者』(法政大学出版局、1986年、1800円、★★★★★)。参考書としては、熊野純彦『レヴィナス入門』(ちくま新書、1999年、725円)が最良。合田正人のものは薦めない。
R・D・レイン『自己と他者』(みすず書房、1975年、2900円、★★★)
大森荘蔵「他我問題の落着」「他我問題に決別」(『時は流れず』、青土社、1996年、1800円、★★★)。まったく関係ないが、大森のもので初心者がまず一冊読むとすれば、『流れとよどみ―哲学断章』(産業図書、1981年、1890円)。
大森荘蔵『時間と自我』(青土社、1992年、2310円、★★★)
野矢茂樹「他我問題」(『哲学・航海日誌』第Ⅰ章、春秋社、1999年、2500円、★★★)
池上哲司「自分のなかの他人、他人のなかの自分」(池上哲司他編『自己と他者―さまざまな自己との出会い』所収、昭和堂、叢書《エチカ》3、1994年、2427円、★★★)
鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』(講談社現代新書、1996年、680円、★★)
佐野洋子『100万回生きたねこ』(講談社、1977年、1400円、★)。絵本。


社会・国家
プラトン『国家』上・下(岩波文庫、1979年、987・1050円、★★★)
ホッブズ『市民論』(京都大学学術出版会、2008年、4095円、★★★)

ルソー『社会契約論』(岩波文庫、1954年、630円、★★★)。参考書としては、小笠原弘親『ルソー社会契約論入門』(有斐閣新書、1978年、絶版)。柴田光蔵、 柴田信子『ルソー社会契約論を読み解く』(行路社、1995年、7875円)。ルソー哲学の全体像を与えるものとしては、野田又夫「ルソーの哲学」(『野田又夫著作集』第Ⅳ巻、1982年、絶版)。
ロック『市民政府論』(岩波文庫、1968年、630円、★★★)。友岡 敏明『ロック市民政府論入門』(有斐閣新書、1978年、絶版)、松下 圭一『ロック「市民政府論を読む」』(岩波セミナーブックス、1987年、絶版)。


自由・人間の尊厳
ルター『キリスト者の自由・聖書への序言』(岩波文庫、1955年、420円、★★)。安価、入手のしやすさという意味でこちらを挙げておくが、綿密に読もうとする人には、翻訳の正確さ、解説の懇切さという意味で、以下のものをおすすめする(ただし、いかにもクリスチャンっぽい解説はしんどい)。『自由と愛に生きる―「キリスト者の自由」全訳と吟味』(教文館、1997年、2625円)。
ジョバンニ・ピコ・デッラ・ミランドラ『人間の尊厳について』(国文社、アウロラ叢書、1985年、4500円、★★★)。
アイザィア・バーリン、「二つの自由論」(『自由論』、小川晃一他訳、みすず書房、新装版、1997年、★★★)


自由・人間の尊厳・責任
カント『人倫の形而上学の基礎づけ』(中央公論社、世界の名著『カント』、1972年、絶版、★★★★★)。上記参照。
ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧―ドイツ強制収容所の記録』(みすず書房、1985年、1800円、★★★)。「責任」が重要。参考書としては、諸富祥彦『フランクル心理学入門―どんな時も人生には意味がある』(コスモス・ライブラリー、1997年、2520円)。


宗教
ルドルフ・オットー『聖なるもの』(岩波文庫、1968年、絶版、★★★)。宗教に興味をもつ者なら、必ずオットーの思想をマスターしなければならない。古典中の古典。
西田幾多郎「宗教」(『善の研究』第四編、岩波文庫、1950年、630円、★★★)
西谷啓治「宗教とは何か」『西谷啓治著作集』第10巻(創文社、1987年、絶版、★★★★)
岸本英夫『宗教学』(原書房、2004年、1680円、★★)
田川健三『宗教とは何か?』(大和書房、1985年、絶版、★★★)
島薗進『新新宗教と宗教ブーム』(岩波ブックレット、1992年、絶版、★★)。旧宗教、新宗教に対する新新宗教の特徴。宗教ブームといわれる現代の宗教の特徴をとらえていく。わかりやすい。
島薗進『ポストモダンの新宗教』(東京堂出版、2001年、2415円、★★)。上掲書を詳しくしたもの。
中村雄二郎「先端技術時代の宗教意識」(『宗教とは何か』第Ⅳ章、岩波現代文庫、2003年、1050円、★★)

(キリスト教)
波多野精一「基督教の起源」(『波多野精一全集』第三巻、岩波書店、1989年、絶版、★★★)。古めかしい書き方なので、若い人にはかなり読みにくい。ただし、苦労して読むだけの価値はある。
新井智『聖書―その歴史的事実』(NHKブックス、1976年、966円、★★)。『聖書を読むために』(筑摩書房、1981)というのもあったが、絶版。まったくの初心者がまず読むものとしては、これがいい。荒井献や田川健三などの諸著作はこの後にして欲しい。
田川健三『書物としての新約聖書』(勁草書房、1997年、8400円、★★★)。新約。相当の力作。

(イエス)
ブルトマン『イエス』(未来者、1963年、1890円、★★★)。古典
八木誠一『イエス』(清水書院センチュリーブックス、2000年、893円、★★)。どれか一冊と言われれば、これを薦める。ブルトマンはやや無味乾燥な嫌いがあり、田川は大部なのでしんどい。
田川健三『イエスという男―逆説的反抗者の生と死』(三一書房、1980年、絶版、★★★)

(パウロ)
波多野精一「パウロ」「パウロの生涯」(『波多野精一全集』第三巻、岩波書店、1989年、絶版、★★★)。古めかしい書き方なので、若い人にはかなり読みにくい。ただし、苦労して読むだけの価値はある。
八木誠一『パウロ』(清水書院センチュリーブックス、2000年、893円、★★)。どれか一冊と言われれば、これを薦める。


人生の意味
ヴィクトール・E・フランクル『それでも人生にイエスと言う』(春秋者、1993年、1785円、★★★)
ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧―ドイツ強制収容所の記録』(みすず書房、1985年、1800円★★★)
(むなしさ)
諸富祥彦『〈むなしさ〉の心理学』(講談社現代新書、1997年、735円、★★)。トランスパーソナル心理学の立場からの見解。ただし、宗教がかったものが嫌いな人は生理的に受け付けないと思う。


生命
M・シェーラー『宇宙における人間の位置(地位)』(『シェーラー著作集第13巻』所収)(白水社、1982年、絶版)
C.U.M.スミス、『生命観の歴史』上・下(岩波書店、1981年、絶版、★★★
ラ・メトリ、『人間機械論』、(岩波文庫、1957年、絶版、★★★)
H・ベルグソン、「意識と生命」(中央公論社、世界の名著『ベルクソン』、1979年、絶版、★★★)


善と悪
カント『人倫の形而上学の基礎づけ』(中央公論社、世界の名著『カント』、1972年、絶版、★★★★★)。上記参照。
ニーチェ『道徳の系譜』(岩波文庫、1964年、560円、★★★)。ただし、翻訳はちくま学芸文庫版の方が読みやすい。竹田青嗣『ニーチェ入門』(ちくま新書、1994年、756円)。竹田の解釈には問題があるが、読みやすさという意味で薦める。
ハンナ・アーレント『イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告―』(みすず書房、1994年、3800円、★★★)
永井均『「子ども」のための哲学』(講談社現代新書、1996年、735円、★★★)。後半部分。


戦争と平和
カント『永遠平和のために』(岩波文庫、1985年、420円、★★★)。新しい翻訳が出ているが、これでよいと思う。
西谷修『夜の鼓動にふれる――戦争論講義』(東京大学出版会、1995年、2415円、★★)。戦争論。

知識・認識
プラトン『メノン』(岩波文庫、1994年、460円、★★)
プラトン『テアイテトス』(岩波文庫、1966年、700円、★★)



プラトン『饗宴』(岩波文庫、1965年、500円、★★)。ただし、しっかり読みたい人は、少し値がはるが、以下を買って欲しい。『饗宴、パイドン』(朴一功訳、京都大学出版会、2007年、4515円)。
プラトン『パイドロス』(岩波文庫、1967年、560円、★★)
カント『判断力批判』上・下(岩波文庫、1964年、700円・760円、★★★★★)
ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』(中央公論社、世界の名著『ショーペンハウアー』、1980 年、絶版、★★★)
ハイデガー『芸術作品の根源』(平凡社、2002年、2310円、★★★)。ガダマーの懇切な解説つき。
ヴァルター・ベンヤミン『複製技術時代の芸術』(晶文社、1999年、1995円、★★★)。映画や写真などの複製芸術の可能性。参考書としては、多木浩二『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』(岩波現代文庫、2000年、945円)。
大西克禮『美学』上下(弘文堂、1959・60年、絶版、★★★★)。美学を体系的に論じたものとしては日本人になるものとして最高のもの。全て読み通さずとも辞典的に使える。
今道友信『美について』(講談社現代新書、1973年、756円、★★)。入門書。まず最初にこの辺りから始めるのもいいだろう。
中井正一『美学入門』(朝日選書、1975年、1155円、★★)。入門書として読む。
佐々木健一『美学辞典』(東京大学出版会、1995年、3990円)。辞典ではあるが、読み通すこともできる。大西ほどは体系的ではないが、信頼できる内容。
R・G・コリングウッド『芸術の原理』(勁草書房、2002年、絶版、世界の名著『近代の藝術論』に抄訳あり、★★★★)
佐々木健一『美学への招待』(中公新書、2004年、819円、★★)。入門書。今道よりも現代的で、現代アートに力を入れている。

(日本的美)
鈴木大拙『禅と日本文化』(岩波新書、2003年、735円、★★)
川端康成『美しい日本の私』(講談社現代新書、1969年、693円、★★)

(写真論)
ロラン・バルト『明るい部屋―写真についての覚書』(みすず書房、1997年、2800円、★★★)
スーザン・ソンタグ『写真論』(晶文社、1979年、1600円、★★)
西村清和『視線の物語・写真の哲学』(講談社メチエ、1997年、絶版、★★)
伊藤利治『20世紀写真史』(ちくま学芸文庫、1992年、1000円、★★)
多木浩二『写真論集成』(岩波現代文庫、2003年、1400円、★★)


(映画論)
ロラン・バルト『映画論集』(ちくま学芸文庫、1998年、880円、★★★★)

(演劇論)
アンリ・グイエ『演劇の本質』(TBSブリタニカ、1981年、絶版、★★★★)。演劇論について平田オリザのものは薦めない。
鈴木忠志『演劇とは何か』(岩波新書、1988年、絶版、★★)


(音楽美学)
ハンス・リュック『音楽美論』(岩波文庫、1960年、絶版、★★★)。音楽美論の古典中の古典。
ハンス・メルスマン「音楽の現象学―時間と音楽」(中央公論社、世界の名著『近代の藝術論』、1979年、1529円、★★★★)。音楽に対する専門的な知識が必要。
ロラン・バルト『第三の意味―映像と演劇と音楽と』(みすず書房、1984年、絶版、★★★★)
ミケル・デュフレンヌ『眼と耳―見えるものと聞こえるものの現象学』(みすず書房、1995年、4000円、★★★★)
。視覚と聴覚の現象学的な分析。聴覚の役割と芸術との関係の考察。共感覚など。
ウラジミール・ジャンケレヴィッチ『音楽と筆舌に尽くせないもの』(国文社、ポリロゴス叢書、1995年、2400円、★★★)

(天才)
残念ながら、天才論に関して、哲学科の学生にすすめたいと思うものは、まだ見つけられない。カントの天才論は『判断力批判』に見られるが、まとまった論述ではない。シェリングの天才論は、前途ある学生がまず最初に研究すべきものではない。ピアジェやアイヒバウムなどの精神医学系の古典はもちろん、飯田真、中井久夫『天才の精神病理―科学的創造の秘密』(岩波現代文庫、2001年、1155円)さえ、予備知識のない哲学科の学生には難解。福島章『天才―創造のパトグラフィー』(講談社現代新書、1984年、693円)は手軽な読物となるが、それ以上のものではない。


歴史
R・ブルトマン『歴史と終末論』(岩波書店、1959年、★★★)
E・H・カー『歴史とは何か』、清水幾太郎訳、(岩波新書、1962年、★★)
神山四郎『歴史入門』(講談社現代新書、1965年、★★)
。歴史哲学関係で唯一とも言えるコンパクトかつバランスのとれた入門書。すでに絶版だが、歴史哲学を志すものはまずこれから読むべき。
W・H・ウォルシュ『歴史哲学』(創文社歴史学叢書、1978年、★★★)
A.Я.グレーヴィッチ「歴史的事実とは何か」(『歴史の革新─「アナール」学派との対話』第四章、平凡社、1990年、絶版、★★★)

R・G・コリングウッド『歴史の観念』(紀伊国屋書店、2002年、3360円、★★★)

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