山陽

常茂恵(萩)★★★
 「ともえ」と読む。あまりあちこちに小京都があって有り難みは薄れるが、萩は毛利氏の城下町で、 山陰の小京都と言われる古い町並みの残るところである。10年前にこの地へ新築するまでは、老舗の名 にふさわしい旅館だった。新しい建物は、武家屋敷の残る観光地にふさわしく、武家屋敷風の門構えを持 つしゃれた旅館である。しゃれたと行っては語弊がある。新装した旅館という方が正しいだろう。白壁の 建物の中、客室へ通じる広い石畳の廊下と壁面を飾る色々な美術品が豪華さを漂わす。玄関を入ったとこ ろには、萩の特産品である萩焼とビードロが、商品としても展示されている。客室は、それぞれ庭に面し た離れ風の部屋である。団体様御用達の旅館ではないので、静かな雰囲気である。この格の旅館にしては、 部屋は広くない方だろう。1泊4万円程度。JTBの「華やぎの宿」シリーズにしばしば名が見られる。
 ここは、料理で名を誇る旅館と聞いて訪れた。確かに新鮮な海産物を用い立派な膳が供される。しかし この程度の立派さと味の料理ならば、京都でいくらでも見つけることが出来る。京都を知らなければ優れ ものと評価するかもしれないが、京料理を越えた何かがほしいところだ。特に料理で売るためには。




ホテルリマーニ(牛窓)★★★

 日本のエーゲ海 といわれる牛窓のあたりの瀬戸内海は、新興(といってもすでに20年以上は経った) 観光地である。ヨットハーバーがあり、丘陵地はオリーブ畑とそろっている。白い小さな白い花がいっせいに 咲く頃は実にきれいだ。海岸に沿って白亜のホテルリマーニがある。ヨットで来館チェックインできるように 桟橋が設けられている。音楽祭などが開かれるリゾート地の一角にホテルが位置することになる。ホテルとその 近傍だけに視界を狭めればなかなかのリゾート地といえる。ごたごたした古い町並みや漁港に目が行くと、無理が あるな、と思ってしまう。
 ホテルは日光の下では底抜けに明るい。リゾート地のホテルとしての設備が良いというわけには行かない。悪く 言えば張りぼての白亜の殿堂、よく言えばヨットで昼食に寄れるちょっとしゃれたレストランということになる。 観光案内によると大型リゾートホテルとあるが、いくら何でも言いすぎだろう。しかしこんな鄙びたところに突然 出現した面白いホテル、と言うことは出来る。客室はベランダ付きで海に面しひろく明るい。リゾート感はある。 3万円弱。JRの駅からはやや不便なところにある。岡山からはバスで1時間ぐらい。




城西館(高知)★★

 四国高知では1、2を争う老舗の一つである。政財界の名士を数多く迎えたところなので、それなりに格の ある旅館なのであろう。建物は立派で新館は最上階に展望風呂を設けるなど設備には金をかけているようだ。ところが現実に宿泊してみるといかにもサービスの行き届かない田舎旅館という雰囲気だ。インターネットで予約したのが悪かったのかも しれないが、階段脇のやや幅の狭いビジネスホテル向きの部屋である。朝食込みで2名25000円は高い。 フロントから部屋への案内まではまずまずだが、朝食の案内にわざわざ部屋の扉を開けて伝えにくるのは無神経であろう。 ホテル形式にしたが中身は旅館形式の運営が残っているのだろう。朝食後ラウンジでコーヒーを飲む。客は一人もいないの に済んだ後のテーブルは片づけられていない。格別忙しそうでもないから、のんびりしているのだろう。総じてサービス の面で減点である。この程度ならば老舗のこの旅館を選ぶことはない。(2001.8)


ナティーク城山(尾道)★★★

 尾道からバスで1時間ほど、因島の南側の土生港よりに位置する。しまなみ海道の本道からは少しはずれているので、わざわざ立ち寄る人は少ないだろう。10室あるかないかの、いわゆるプチホテル、白亜の建物で、かつては日立造船の迎賓館になっていたとか。海側の客室からは港が見える。設備が良いというわけではないが、面白いホテルだ。夕食のフランス料理もまあまあいける。夏の日の夕暮れにでも訪れてみる価値あり。(2002.11)




舞子ホテル(明石)★★★
  瀬戸大橋のたもとが舞子である。その高台にホテルはある。 旧船主の別邸で高級船員の宿泊施設として使われていたらしい。 玄関側はレトロっぽい雰囲気を漂わせている。ホテルとは名ばかりで、トイレは男女共用、風呂場は数人でいっぱいになるほど小さく、 宿泊施設としての機能は貧弱。ここの取り柄は日本料理である。1万円出せばかなりの夕食がとれる。 (宿泊2食付きで1万3千円ほどから)今まで一緒に訪れた人々には満足してもらっている。食事だけに来る人も多い。 結婚披露宴によく使われているようだ。早朝の海岸沿いの散歩は心地よい。食事はここで、泊まりは舞子ビラ(近く)というのがお勧め。


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