ホテルは、ゴールデンウィークから秋までの半年間しか開業して
いない。冬は雪に閉ざされるからだ。それだけ北アルプスに近いことになる。一般の乗用車の進入を禁止しているから、
白樺林の続く山間の道はすがすがしい。そんな絶好の地にあり、短期間しか営業していないのだから宿泊は
どうしても高くなる。室料は連峰の見えない側であまり広くないところも1泊3万円する。テラスから白樺越しに
連峰の見える側は3.5万円以上。1泊してすぐ帰るならば、どうせ外に出て連峰を眺められるので安い方で十分
だろう。ただし、雨にたたられて閉じこめられたときは、窓が小さいのでく少々陰鬱になるだろう。高いか安いかは、
環境をどう評価するか、どう楽しむかにかかるだろう。ホテルへ入る前にバス通りの方へ回ってから正面玄関へ
下ってみる。坂の中腹から赤いホテルの屋根越しに見える穂高連峰は絶景である。写真ポイント(ホテル名は見え
ないから安心)。
木造を主体としているが、設備はかなり良く手入れされている。さすがというところ。サービスは、フロントから
ルームメイドに至るまで申し分ない。常連さんが多いらしく、週末は連泊客で賑わう。マネージャーなどと親しく
挨拶を交わしている光景に出くわすと、一見さんはなんとなく疎外感を味わう。別に粗略に扱われたりすることは
レストランなど
ホテルの1階、正面願館の真ん前に「グリンデルバルド」という喫茶がある。中央に2階まで吹き抜けの
巨大なマントルピースが置かれている。外からはいると、ずいぶん暗い場所のように感ずる。
昼間はもう少し明り取りがあってもよいのではないか。焼きリンゴ入りの(アップルパイとは少し違う)ケーキは、
なかなかのものである。
ダイニングルーム(レストラン名はなくダイニングルームとだけ呼ぶらしい)は、その名にふさわしい
料理の数々が供される。新緑の季節のわさびの若葉のサラダは意外と美味である。このようなところで肉料理の焼き
具合を尋ねないのは不思議な気がする。ミディアムが当たり前なのか?
アラカルトならば、山小屋風の「アルペンローゼ」で食べられるが、同じホテルのレストランとは思えない。
ほかに和食を供するレストランがある。いずれのレストランも予約制だ。
バス停はホテル前にあるのだが、帰りは徒歩10分ほどの終点の河童橋まで行く必要がある。座席が予約制に
なっていて、ホテル前からは乗れない。荷物は運んでもらえるので心配ない。
4つ★か5つ★かは難しいところだ。環境、サービス、料理については満足するが、部屋がもう少し広い方が快適だ、
という点を考慮して4つ★半か。
ホテルは山小屋風の本館とコンクリート造りの建物からなる。
もちろん本館がよい。内部も豊富に木が使われている。部屋の内も木づくりで、山のホテルにふさわしい。
スキー以外のレジャーも楽しめるように温水プールやバー、和食堂などが設けられているが、オフシーズンは
プールだけ。隣接して木造の音楽堂がある。小沢征爾などがタクトを振るとか。内部は見られなかった。
着いた日は全くの閑散日で、夕食の席で宿泊客はわれわれ以外に、もう一組しかいないことがわかった。
宿泊二日目は、他の泊り客はゼロ。食事は特別メニューだった。翌朝の食事は何時になさいますか、
と尋ねられる始末だった。
ホテルの施設はそれほど完備しているとは思わないが、環境、サービス、料理には満足した。寒々とした高原を散歩するのも楽しい。機会があればオフシーズンに再び訪れたい。その点で4つ★。
芦の湖畔にある、ややヨーロッパの古城風の瀟洒なホテルである。写真で見るように赤煉瓦の瓦を頂き、しゃれていて、玄関は写真のポーズを取るのに最適な場所となる。こじんまりとしたホテルなので、静かである。庭へ回ると広大な敷地にツツジとシャクナゲが一面に植えられている。
これが咲く頃遠くに富士山を望む景観は素晴らしい。芦ノ湖からはやや高台になっているので、夕日の映える湖面の眺めも忘れがたい。全天候型のテニスコートが用意されているので、早めに着いて汗を流すことが出来る。
食事は和洋を同じダイニングルームでとることになる。美食倶楽部という名前で、料理と宿泊をセットにしたパックがある。ゴールデンウィークは駄目だが、5月の中下旬にこれを利用するとお安く楽しめる。3万弱。料理は味がよい。
少し北側湖面沿いに大型の箱根プリンスホテルがあるが、ここでの食事はお薦めできない。
万平ホテル(軽井沢)★★★★
からまつの林の中にから松に囲まれて建つ老舗の旅館である。ものの本によると前身は中山道軽井沢の旅籠(はたご)亀屋といい、明治になって外国人らが避暑地として訪れるようになって、佐藤萬平が改名したという。何となく民宿のような名前だ。現在の建物は、昭和になってからのものらしい。正面のアルプス館がもっとも古い。玄関の表記は明治時代と同じだそうで、道理で古めかしいと思った。アルプス館はいわゆるクラシックホテルなので、水回りなどは現代化しているが、部屋の造作や装飾は古さを保っている。したがって、使い勝手は都市にある一級のホテルのようには行かない。古さのムードを楽しむのでなければ無意味であろう。ジョン・レノンが欲しがった
という猫足のバスタブは、シャワールームが別室になっているような使い方は出来ない。クラシックムードを楽しむためのものと割り切るべきだ。アルプス館は改装直後なので、水回りなどはよくできている。ミネラルウォーターだけでなく水が冷蔵庫に用意されているのはありがたい。従業員は十分用意されている感じだ。教育も行き届いている。売店が夕食後では閉店になっているのは解しがたい。少しでも土産物を売ろうという立場からではなくても、サービスのためには必要ではないか。
このカフェテラスではアップルパイが人気だ。から松の林の散策の疲れをいやすには格好の場所にある。メインダイニングは格子状の天井やビロード張りの椅子などクラシックムード満点である。ディナーは洋以外にも和・中とあるが、洋がお薦め。コースは8000,10000とある。都市のコースに比べれば割安であり、味も合格。今は何処へ行っても
バター入りのこってりしたソースは出てこない。和はこれより安いが、京都の料理と比較されるとつらい。(2001年5月) アルプス館室料35000円
追記:ここのホテルからは「ホテルへの意見・感想」に対する返書をいただいた。最近は少ないので特記しておきたい。