パラドールに泊まるスペイン旅情9日間       2001.09.07

  この紀行文はこのタイトルで出かけたJALパックの報告である。ここ25年ほどの間に30回ほど 海外へ出かけたが、旅行はすべて手作りだったので、添乗員付きの旅行は今回が初めてだ。添乗員付きの旅行が いかに気楽なものなのかを実感する旅行だった。スーツケースをターンテーブルから取り出すこともなく、 ホテルに着けば部屋の中まで届けられている。部屋の前に置いておけばチェックインしてくれる。こんな楽な旅行 があろうか。もちろんそれだけの費用は負担しているはずだが、自前の旅行では常にスーツケースの移動に気を配り、 都合のよいリムジンバスはあるのか、タクシーでどれほどかかるのか、たえず気になる。早朝の出発に朝食は間に 合うか、観光バスの予約手配はスムースに行くか、列車の指定は、などなど、一時も気を許せない。その点から 言うと、モーニングコールでおこされ、朝食を済ませると観光のバスが用意されている。黙ってついてゆけば 観光地を効率よく見て回ることができる。初めての土地で一分の隙もなく旅程をくむのは至難の業だ。その点では 第1回目の観光はツアーに任せた方が便利で効率がよい。もっとゆっくりしたいというわがままは許されないが、 気ままな個人旅行はまたの機会にすればよいと割り切ることだ。

 特筆すべき事はスペインの大都市はスリかっぱらいなどで危ないということ。過大ぎみに伝えられていることも あるが事実だ。

旅程は、  第1日目 成田→(アムステルダム経由)→マドリード  ホテル・パラス(五つ星)泊、 
        第2日目 マドリード市内観光、プラド美術館入館、
              昼食はパエリヤ、午後トレド観光、ディナー
        第3日目 マドリード→コルドバ(超特急アヴェ)、
              コルドバ市内観光、建築物メスキータ、
              バスでグラナダへ、アルハンブラ宮殿着
              宮殿敷地内のパラドール・サンフランシスコ
                        (実質五つ星)泊、ディナー
        第4日目 アルハンブラ宮殿観光(ヘネラリーフェを含む)
              昼食 スペイン料理タバス、 バスでセビリアへ、
              ホテル・アルフォンソ13世(五つ星)
        第5日目 ヒラルダの塔などスペイン最大級の寺院など、
              午後自由行動、ディナー  オプションとしてフラメンコ・ショー   ホテルリッツ
        第6日目 午後セビリア→(飛行機)バルセロナ
                          ホテル・リッツ(五つ星)泊
        第7日目 市内半日観光、ガウディの聖家族教会入館、
               グエル公園散策、午後オプションで
               モンセラート観光、ディナー
        第8日目 午前中自由行動、午後バルセロナ→
                         フランクフルト→成田
        第9日目 午後成田着→伊丹  

2001年9月7日出発、9月15日帰着(正確には9月6日伊丹空港のホテルに一泊し9月7日早朝成田へ 向かいツアーに合流した。)
関西空港発ではないので多少面倒だが、思うほど不便ではない。      

第2日目 観光に向かう前に旅程についての感想を記す。東京からスペインへ向かう便はどうしても到着が 真夜中になってしまうので、翌日早く観光に出かけるのは少しきつい。といっても、各地で2泊する日程はかなり ゆったりしている。ホテルも五つ星ばかりなので少し贅沢な旅となる。美術館に長居する趣味はないので、市内観光を もう少し多くしてほしかった。美術館でゆっくりしておいてトレドへのバスツアーに備えさせるつもりか。前日の睡眠 不足があるので、夕方までのバスツアーは強行軍だ。時間がとれればアランフェスへも行きたかった。

第3日目、アルハンブラ宮殿へは早めに着くので、日暮れ時の観光が可能だ。
第4日目、3時間ぐらい歩いて回る。距離はかなりあるので歩きやすい靴が必要だ。
第5、7日目も結構歩き回る。別に早歩きの必要はないのでしんどいと言うことはない。
第4、6日目のホテル着は日のある内なのでそれから自由に歩き回れる。
アルハンブラに2泊できればいうことないが、それは無理というものだろう。1泊でもできれば上等。


観光

マドリード 市内観光でまず観るのはスペイン広場でドン・キホーテと サンチョ・パンサの騎馬像、その真後ろにそびえるように立つのが生みの親のセルバンテスだそうだが、あまり印象は 残っていない。プラド美術館は、ゴヤ、エル・グレコなどの代表作がこれでもかこれでもかと並べられている。 あまり好きではないので退屈。免税店へ連れて行かれた。男性諸氏はすることがないので外へ出て写真でもtろうと思ったら、 ガイドから「ここの外は待ち伏せているから中で待っていてください」と。王宮前下車、団体写真を撮る。昼食のバエリヤ が待ち遠しい。サングリヤを飲みつつ食す。美味というべきか、日本人の口に合うように作られている。
 午後バスに揺られて1時間、トレドへ向かう。ここはスペイン観光のハイライトの一つ。中世のスペインの都 として栄えたところで、ここにもまたエル・グレコの絵画がある。うんざりするほど。トレドの町は3方を川に囲まれた 丘の上に広がる。石や土づくりの町並みや石畳の道は、エル・グレコの時代からあまり変わっていないと言われている。 エキゾチック度高し。睡眠不足と疲れで女性一人ダウン。高齢者にはマドリッドでもう1泊ほしいところ。

    サンチョパンサの像             王宮                  トレドの街並み

コルドバ マドリードからすぺいんの誇る超特急アヴェ(ビジネスクラス)で、 2時間ほどでコルドバに着く。すぐバスで旧市内観光、花の小径やユダヤ人外などの迷路を歩く。歴史の重みを感じる町だ。 午後メスキータへ入場。アルハンブラ宮殿と双璧をなすイスラム建築。モスクの中央部をキリスト教徒が壊して カテドラルを作った。両文化の混淆から出来上がった林立する柱の装飾は見事だ。薄暗い中で異様な雰囲気を醸し出している。かなり広い。

      カテドラル        花の小径            帰り道                タワー                      

 グラナダまではバスで3時間以上。疲れて眠るに限る。途中のトイレ休憩地ロチで干しイチジクを買う。美味。 グラナダ着6時45分。まだ明るい。アルハンブラ宮殿の中にあるパラドール サンフランシスコに到着。 パラドールは国立ホテルで、元フランシスコ派修道院を改築したもの。王の夏の離宮ヘネラリフェが目の前に見える。 落ち着いた雰囲気のホテルである。是非宿泊をおすすめする。             


                      宮殿内の庭                     パラドール内のパティオ

アルハンブラ宮殿 観るまでは女子供の行く観光名所とさげすんでいたが、 やはりすばらしい。一見の価値あり。イスラム文化がかくも丁寧に保存されているのかと、感服させられる。なんとか何世が どうしたこうしたということはどうでもよい。いまに残されている建造物を素直に楽しめばよい。 対称性のよい構図が 多いのは日本とは違うところだ。色彩は、咲き誇る花それをのぞけばどちらかといえばくすんでいる。その落ち着いた色が またよい。水面に映えるパティオ(中庭)のただずまいは見事だ。イスラム文化の完成度はこの時代西欧文化より 高かったのかもしれない。敷地内には夏の離宮ヘネラリフェがある。ここでも美しいアセキア(水路のあると いう意味だそうだ)のパティオが観られる。バルコニーからは宮殿が眺められる。宮殿の敷地一帯は、どこから眺めても それなりの景観を示している。ツアーで行くとゆっくり写真を撮っている時間がないのは残念だが仕方がない。バス乗り場 前の店に、イスラム文化の寄せ木細工を製造販売している店がある。寄せ木細工は町でも売っているが品数が少ないので、 購入するならお勧めの場所。昼食は名物タバス料理、日本食的な卵焼きあり。
 バスで一路セビリヤへ。3時間ほど250km走る。泊まりはホテル・アルフォンソ13世 ゴージャスの一言に つきる歴史的な建物。エレベータの扉がどこにあるのか迷うほど装飾されている。隣にカルメンに出てくるたばこ工場の跡が ある。夕食は外へ出ず、ルームサービスを取る。正解。疲れた時には無理してレストランへ行くことはない。日本に比べて 食事は安いので好都合。

セビリヤ ゆっくり起きても市内半日観光は十分できる。おきまりのカテドラルや スペイン広場。あまり印象なし。昼食はサンマルコというイタリヤレストラン。午後自由行動に市内をぶらついてみる。 危険性なし。かつては一番危険な町だったそうだ。専門店とデパートのあるあたりへ行き、手書きのマグカップを購入。 特に観るべきものはない。ディナーにオマールエビなどが出るがオードブルを含め3皿とは少しひどいのではないか。 ディナーの後、深夜にフラメンコ・ショー鑑賞に行く。午前2時帰着。あまりうまい踊りではないと思うが、 観光に供されるものとしてはしょうがないのかもしれない。あるいは本当のジプシーの踊りはこの程度のものなのかも しれない。芸術的な踊りをテレビで観すぎた咎か。ところでこのツアーとは関係ないが、アメリカのテロ事件が、この夜 からCNNで連日放送されることになる。

バルセロナ 午後の便で向かうので、午前中は自由行動が できる。バルセロナのホテル・リッツ着午後5時前。スペイン旅行最後のホテルだが、もっとも装飾が重厚華麗だ。 その名だけのことはある。客室のシャンデリヤは部屋ごとに違うそうだ。ゴージャスな雰囲気が漂う。1919年創業だそうで そろそろ1世紀になる。内部はアンティークぞろいだ。まず夕方の町をガイドとともに一巡、町の感覚をつかむ。 マーケットが面白い。果物などがきれいに並べられているところは写真になる。古い町並みを通り抜けてカテドラルに至る。 中世に建てられたもの、地震のない国でなくては残れない建物という気がする。にぎやかな町だ。危険性は低く見えるが、 ご用心。港町なので、夜シーフッドを食べにガイドら数人と出かける。エビかになどで満足。

 市内観光ではガウディが関係したグエル公園、モンジュイックの丘を歩く。土煉瓦の造形や砕いたカラータイル で製作された像や壁などのモザイク模様が面白い。
 さて今度の旅行最後のハイライト、サグラダ・ファミリヤ聖堂、これを見たさにスペインにあこがれただけの 価値あり。ガウディが生まれてからまだ150年ほどしか経っていない。4本の鐘塔がガウディの作だそうだ。 糸杉を模したもので、糸杉は墓の周りの木に使われている。建物の色はくすんでいてきれいとはいえないが、異様さでは 天下一品であろう。今日もなお建築が続行中で後50年ほどかかるそうだ。その時最初の建物は耐久期限になるとか。 全景を1枚の写真に取り込むためには、後ろに下がれないので、28ミリ以上の広角がおすすめ。鐘楼へはエレベーターで 登れる。また違った景色が望まれる。ガウディ関連を全部ゆっくり見て回るためには、1日たっぷり取る必要があろう。

                                                  モンセラートの岩山
 奇怪な岩山のモンセラートは一見の価値あり。キリストやマリヤの像には興味ないが、建造物と一体化した 風景がすばらしい。ガウディもこの山並みから想を得たといわれている。
 


食事 パエリヤが名物だがスペイン風オムレツなどが小皿でサービスされる タパスもなかなかいい。いずれも京料理と比較すれば塩辛い。生ハムは上等なものを選ぶといい。日 本で食べるもの よりも遙かにおいしい。骨付きのもも肉の生ハムが軒にぶら下げられているが、気候の違う日本へはもちろん無理、しかも 動植物検疫に引っかかる。大きな輸入食料店に行けばまま見られるが、かなりいい値がする。

スペインの土産といえば革製品と言われるが、本当によい品が安いのかどうかは知らない。