アンコールへの旅(カンボジャ)
2002.2
世の中には、世界文化遺産に認定された遺跡は数多くある。東南アジアにあるものは、
日本を含めて寺院や墳墓などの建築物が多い。その極めつけが
アンコール・ワットであろう。アンコール・ワットを訪れればまたかと思うほど石造りの遺跡群に出会う。
ガイドは一生懸命に遺跡群の歴史や由来について語ってくれるが、そんなものはすぐ忘れてしまう ので、石の建造物から直に受ける印象を私は大切にしたい。
アンコール・ワット
はヒンズー教の王の建てた王廟だ といわれている。細かいことは抜きにして、クメール文化、クメール信仰の遺産だと思えばよい。鎌首を もたげた蛇(コブラか?)
の像や彫刻が数多く見られる。守護神らしい。参道の両側の欄干に胴体が長々と 続く様は壮観だ。王たちは現人神としてまつられたので、
その王の住む建造物が次々と王が変わるたびに作られたらしく、お気に召すならば1週間でも滞在できよう。しかし私は1泊2日ぐらいで、
アンコール・ワットと
アンコール・トム
を中心に見て回れば十分堪能できると思う。日本からのパックツアーで1週間あれこれ見て 回るのは多分飽きると思う。何しろ常夏の国である。
30度を超す炎天下を毎日照り返す遺跡群を見て回るのは 大変なことだ。
アンコール・ワットのすぐ近くにアンコール・トム
の遺跡群がある。こちらは仏教系の建造物で、
観音菩薩像を4面に彫刻した塔が51基並ぶのは壮観だ。
「クメール人の微笑」と
呼ばれている。しかしその笑いは何となく不気味で、詩人バイヨンは畏敬と恐怖を感じたという。その
バイヨン廟がアンコール・トムの中心だ。壁画の彫刻なども立派に残って
いる。当時の庶民の生活の一端が伺える。同じクメール人が建造したものだから、やはり蛇神の彫刻が数多く見られる。7つの頭を持ちなどとおどろおどろしい。
遺跡群で古いものはいずれも800年ぐらい経過しているので、内戦がたとえなかったとしても
風化して崩れて当たり前。世界中から多くの復元作業隊が来ているようだが、崩れたままのものもまたいいものだ。
修復が原型に復することを狙っているのならば、間違っていると思う。人工的に破壊されたものを直す程度にすべきだろう。遺跡とはそのようなものだと思う。
石造りのこれだけのものをよくぞ建造したと、王の熱意と権勢の大きさに感服してしまう。メディチ家の役割に言及するまでもなく、「文化は金と情熱がなけれ
ばできない。」とつくづく考えさせられる。
王宮が東向きなのに対し
王廟アンコール・ワットは西を正面にしている。
したがってガイドブックなど には観光は午後にせよと書かれている。すぐ手前に池があり池の手前からの光景が写真ポイントになっている。池面に移る
アンコール・ワットを見るアングルである。観光客が多いので、十分広角でないと観光客を避けて全景を入れるのは
難しい。また、風があると池面が揺れてよく見えない。ガイド付きだとそういつまでも待ているわけにも行かない。池は外敵から守るためのものではなく、
俗界との距離感をあらわすためのものだそうである。
アンコール・ワットのすぐ近くにバケン
山がある。この山上からの夕日に映えるアンコール・ワットも売りの一つである。晴れていないと難しいが雨期を除けばだいたい可能だ。山上へは象に乗ってゆく
手段がある。一度体験するのも面白い。夕日の沈む方向は必ずしもアンコール・ワットの真上ではないので、両者を1枚に納めるのは難しい。夕方になるまで
数多くの観光客が2,3時間待っているようだ。
これらの遺跡群の近くに「ガジュマル」
という巨木の根が進入して破壊しつつある寺院タ・プローム
がある。樹根が建造物に食い込み覆い、廃墟と化して行くすさまじさは気味が悪いほどである。最初に見た人は巨根を大蛇と見間違えたという
ぐらいだから。この寺院は発見当時のまま保存されているそうだ。
シェムリアップの南側に大きなトンレサップ湖
がある。車で1時間ぐらいか。遺跡鑑賞に飽きたら訪れてみるのもいい。大きさは琵琶湖の比ではない。しかし殺風景なところだ。周りは湿地帯なのでクリークがある。
舟で湖へ向かうと、両側に高脚床でつぶれそうな小屋や木造船に数多くの人が居住していることが見て取れる。モンスーン時期には一面が水に覆われ、住民は舟で
山の麓へ避難し、乾季になるとまた戻って来るという最低限の生活を知られているようだ。しかし
学校もあった。
アンコールワットのすぐ近くにシェムリアップ
という小さな国際空港がある。もちろん入管手続きやビザの発給申請が必要となる(写真1枚必要)。カンボジャでは我々が使うお金は米ドルだけと考えておけば間違いない。
ビザの手続きにも米ドルに限られる。
ガイド付きで観光した方が効率よく回れると思う。現地でも雇えるし、バンコックなどからのツアー(日本語)もいくつかある。日本のガイドブックに記載されて
いないものや、日本の旅行社ではその存在すら十分に情報が得られない。私たちが利用したツアーはバンコックにある「S.M.I.Travel co.
LTD」で、
E−mail アドレスは、 yoyaku.wendytr@smi-travel.co.thである。
費用はバンコックからの往復航空運賃、ホテル宿泊費、4食+ハイティー、朝9時空港到着からから翌日午後3時空港出発までの自動車による日本語ガイドつきで
一人あたり6万円(ガイド料は2名に均等に配分されていると考えている。)。
ホテル・アンコール・ビレッジは日本からの観光客の泊まるホテルではないようだ。もっと設備の整ったホテルがかずおくあるから。しかし写真で見てもわかるようになかなかしゃれたホテルだ。渡り廊下を含めほとんど木造でコテッジ風に建てられカンボジャにはふさわしい。しく泊をおすすめする。