ランカウィ島(マレーシア)2003.2.10

どんなところ マレーシア半島の西海岸にある小さな島で面積は淡路島ぐらい。2時間ほどで一周出来るそうだ。政府がリゾート地として作り上げた島なので観光以外の産業はない。マレーシア半島はほぼ赤道の直上北に位置するので常夏の島だ。西海岸にはパンコール・ラウペナンなどと並んで著名なリゾート地となっている。西海岸の雨期はだいたい6月〜9月なので、夏休みは一応×ということになるが、降り方は梅雨とは違うので、乾期より雨が多いという程度と心得ればよいらしい。

 海岸は北向きに近い。朝7時過ぎにホテルの入り口の方から日が昇り、夕方7時過ぎに目の前の島影に日は沈む。手前に島が邪魔して夕日はそれほどきれいには映えない。それでも雲がかかれば多少は夕焼けが見える。東西2kmほども続く白砂海岸なので、気持ちがよい。島々は珊瑚礁からではなく地盤が隆起して出来ているので、層状の模様が美しい。

ホテル玄関 ロビーから ロビーから ロビーから

タンジュン・ルー・リゾートホテル
 タンジュンは岬、ルーは西洋杉を意味する。細い針のような葉を持つ杉がきれいに彩っている島だ。島の北北東ぐらいに位置するリゾートホテルで、オープニングには、あの高名なマハティール首相が出席したという銘板がホテルロビーに設置されている。3〜4階ほどの高さに伸びた椰子の木に囲まれ、落ち着いている。外観はホテルというよりは、コンドミニアムといった方がぴったり来るような素朴な造りだが、室内のフロアは大理石とウッドで内装され、木材を多用したマレーシア風というのか、エキゾチックな雰囲気を醸しだし、いかにもリゾート地へ来たな、という気にさせる。ほぼ半円を二つ合わせたような形に客室は配置されているので、内装は同じでも一部の部屋からは海は見えず、庭向きとなる。通常は部屋の位置を選り好みできないので、運としか言いようがない。また、1階は便利だが、通路が近くカーテンを開けておくことが出来ないのは困る。レースのカーテンが用意されていればよいのだが。部屋によっては、目の前まで木が茂り目隠しをしているところもあるが、それはまたそれで室内が暗くなっているようだ。庭のスペースの取り方の問題かもしれない。

 客室にはテレビが2台の他にCDプレーヤーがあり、癒し系の音楽が聴けるように1枚だけセットされている。読書室からCDは借り出す事が出来る。夕方からはここで生演奏が行われ、ホテル中に波の音とともにかすかに響いてくる。音楽を耳にしながら海岸を散策するのもなかなか乙なものだ。日本語放送のテレビはNHK海外放送が受信できるので、時差1時間を考えてスイッチを入れれば、日本にいるときとあまり変わらない雰囲気になってしまう。旅行が非日常性を求めるものならば、これは邪魔になる。贅沢を言うな。新聞は一応英字新聞が毎日配布される。ローカル新聞なので、世界情勢には弱いようだ。

海側より 裏手の庭 部屋の前から バレンタインプレゼント


 バスルームから海が見えるのを売り物にしているが、 その気持ちは分からない。バリ島のホテルでもそのような仕掛けがあったと記憶する。狭い部屋に住み慣れていると、 ソファーやテレビが2カ所にあったりすると使い方に迷ってしまう。これも贅沢さ(ゆとり)の表現の一つなのか? アメニティーグッズは一応そろえられているが、もう少しエキゾチックなアロマがあっても良いかなと思う。
 リゾート地のホテルにしては衣類を収納する引き出しが少ない。スーツケースに入れたままにしておくのは使い勝手 が悪い。木製のタンスのような置物があるのでこれが物入れになるとありがたい。また、洗濯が出来る共有スペースが ない。真夏ですぐ乾くのだが、ベランダに干すわけにも行かず困る。

 ガウンがタオル地と薄手のものと2通り用意されているのはありがたい。またタオルも

ヘメロカリス

ふんだんに用意されている。水は本土よりパイプで輸送されているので高価なはずだが、庭木などへもたっぷり散水していて、水に不便はないようだ。ただしわれわれには飲み水としては使えない。

 ビーチはフラットな位置にあるので、気楽に出かけられる。プールとそのまわりにビーチチェアが多数用意されていて、1日のんびりと日傘の下で過ごすのがここの生活らしい。ビーチへ向いたチェアからは白砂の広がる海岸海が一望でき心休まる。プールは泳ぐためと言うよりは遊ぶ浸かる為のものと考えられる。椰子の木以外にも多くの樹木が木陰を作っている。いわゆるプール上の水面は15m×10mぐらいしかなく、コンクリート枠に植えられた木や花がプールの浅い方に点在し風情を漂わせている。ここは浅い。
 プールサイドには腹こしらえの出来るショップがある。聞いたことのない料理を頼んで失敗するのもまた楽しからずや。ほとんどの人はなにすることもなくビーチチェアでくつろいでいる。これが彼らのリゾートの過ごし方。プライベートビーチなので他に人影もなく、泳ぐ人はまずいない。芋の子を洗うような日本の海岸も、沖縄のホテルのビーチへ行けば変わり、この雰囲気は多少あるが、やはり人が多いのはどうしようもない。

プールサイド プールサイド プールサイド プールから海へ フルーツミックス


マングローブ・リバークルーズ
 ランカウィ島には、原生林ではないがかなりマングローブの林が残っている。朝の出発はかなり急ぐ。あまり干潮になる と船が奥まで入れないらしい。川の一番奥に洞窟があり、たくさんのコウモリが生息している。そこまで海を全速力で進む ので、かなり水しぶきを浴びる。船は小型なので、運転手のいるあたりが一番揺れないが、前の方が上下動は大きく揺れる がしぶきは少ない。内海にはいるまでは遮るものなく水しぶきがかかり続ける。ホテルでタオルを借りてくることになって いるが、それぐらいでは間に合わない。さて、マングローブとは総称たこの足のような根っこを持つ樹木の名前と思っていた が、そうではなく、海水と淡水とが混ざり合う流域で生息できる樹木の総称で、その種類は100種類を超えるという。 二酸化炭素の吸収し酸素を放出する能力にすぐれているが、近年激減の方向にあるそうだ。我々が好む海老の養殖もこの林 を切り開いてやっているとか。単純な種で増殖するのではなく、長さが1mにも及ぶ棒状の種子で、親木からから落ちて 刺さったところで成長するという面白い性質を持っている。我々が通過したときには猿の集団が現れたが、鳥類も多い。 帰途のハイライトは、鷲や鳶の餌付け。鶏肉などを撒くと、目では確認できないような高さから一気に急降下してくる。 視力は6.0ぐらいで、東京タワーの上から銀座のネズミが見えるほどとか。

洞窟内のこうもり マングローブ 垂れ下がるマングローブの種

ホテルのレストラン  3種類用意されている。マレーシア料理の サンヅ(SANDS)、海を一望できるテラスにある地中海料理のサフラン(SAFFRON)、それに ホテルではもっとも高級な、フランス料理のルー(RHE)がある、朝食はサンヅのみ。サンヅはメニューもあるが、 多くはビュッフェ風となっている。若者には向いている味かもしれない。脂っこく香辛料の強いものがかなりある。夜は 鉄板焼きを勧めている。サフランはいわゆる一流ホテルでの味ではないが、アジアのど田舎のホテルとしてはがんばって いるかもしれない。何しろ安いのだから。地中海料理のメニューは一応とそろえている。ブイヤベースを頼んでみたが、 中に入れた魚などの煮込みが足らずうまくなかった。屋外なので夜は料理を目で楽しむ訳には行かないようだ。まあこの うすぐらいなかでのディナーは西洋風の特徴で日本人がいくらがんばっても無理なことだが。
 レストラン ルーは2回訪れた。室内室外にテーブルが設置され、100人以上が同時に食することが出来る最大で、 このホテルの最高のレストラン、太りすぎと思えるフランス人らしいシェフが料理長らしい。大型の海老の尾などは日本円で 3000円ほどするから都会のホテル顔負けの料金設定だが、美味であることも事実だ。ここで一度ディナーをとると他の レストランへは行きたくなくなる。
ちょうどバレンタインデイの特別ディナーに出かけた。2人でシャンパン1本つき10000リンギット(約30000円) 。旅先でこんな豪勢な食事をとるつもりはさらさら無いのだが、種明かしは後ほど。潮風に吹かれながらフルコースでひと ときをのんびりと過ごす、至福の時だ。

レストラン ルー 1階 レストラン ルー 2階 レストラン サンズ


 ホテルの外には歩いて行けるレストランはない。缶詰状態になるので、ホテル内ですべてをまかなわなければなら ない。そこで「オールインクルーシヴ」という面白いセットメニューがある。はじめに25000円払うと、アルコール以外 ミニ冷蔵庫内を含め食するものは、5泊6日滞在期間中すべてフリー、ルームサービスも良い。これは上に記したフランス 料理を何回か食すれば十分元が取れる設定だ。先の30000リンギットの食事もシャンペン代を250リンギット取られた だけだ。

追加
クアラルンプール
 帰途クアラルンプールに一泊、ホテル・リージェント。中華レストランはなかなかよい。ちょうど非同盟諸国会議直前で各ホテルは厳重警戒。空港の搭乗口並の検査態勢で、玄関を出入りするたびに検査される、こんな経験ははじめてだった。しかもホテルは各階エレベーター前に複数のポリスが待機している。市内の警察とは別組織のロイヤルポリスというそうだ。おかげで夜街へ出たのち、交通規制にひっかかってタクシーにホテルへ行って貰えず焦った。半日だけ観光した。国立モスク、規模は大きいが建築美なし。KLタワーは展望台が地上300mほどのところにあるそうだが、あいにく雨で視界不良残念だった。ペトロナス・ツゥィン・タワーは市内どこからも見え壮観だ。低層階はショッピング街だった。免税店は今にもつぶれそうな雰囲気。
わずか1日に滞在なので特に意見なし。シンガポールの方が街はきれいだ。 

王宮前 国立モスク 記念広場前